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305/334

305話 俺はイケメンを見ると、無条件で殺したくなるんだ。


 305話 俺はイケメンを見ると、無条件で殺したくなるんだ。


 ラーズは、そこで、コホンとセキを一つはさんでから、


「……クロッカ様は、カドヒトを利用して、現体制の力を削いでいくだろう。その裏で着々と、センエース戦闘団の牙を研いでいく。カドヒトも、クロッカ様を利用するつもりだろうから、センエース戦闘団には手を出さない。こうして、ガリオ様陣営とクロッカ様陣営の戦力差は、時間と共に徐々に縮小されていく」


「そして、その差が逆転した時に……私たちも、クロッカ様陣営につく……ということですね」


「そうだ。そこで一つ問題というか懸念がある……」


「懸念……なんでしょう」


「カラルームの街に現れ、十七眷属の一人ヒークルを殺害したアンデッド。デス」


「報告書は読ませていただきました。相当な怪物のようですね。クロッカ様の犬『センエース』ですら、手玉に取られたという」


「デスの殺意がどこに向いているのか……それが懸念点だ。十七眷属や、龍神族に対して憎悪を抱いているのは、報告書を見る限り、明らかだが……その殺意が、もし、かりにクロッカ様にも向いてしまうとなると……問題だ……」


「できれば、クロッカ様だけは例外という扱いにしてもらいたいところですが……そういう話が通じる相手なのか……なんせ、生者を憎むアンデッドですから」


 と、二人が、そこまで言葉を交わしたところで、




「……随分と、楽しそうな話をしているじゃないか。俺も混ぜてくれよ、ラーズ爺さん、ライラス坊ちゃん」




 声のする方に、

 ラーズとライラスは、バっと視線を向けてみた。


 すると、声の主は、部屋の壁にもたれかかっていた。


「はじめまして、ライラス。俺はカドヒト・イッツガイ。邪教団ゼノのリーダーを担当している。よろしく、どうぞ。……ラーズは前にも会ったな。相変わらず、顔面偏差値が高いイケオジだな。腹が立つぜ。俺はイケメンを見ると、無条件で殺したくなるんだ」


 カドヒトは、そう言いながら、壁から背を離して、

 すたすたと優雅に歩き、近くのソファーに寝転がると、


「挨拶してんだから、なんか言おうぜ。シカトはいただけねぇなぁ」


 カドヒトにそんなことを言われたライラスは、

 冷や汗を浮かべつつも、一度、生唾をゴクっと飲んでから、

 自分の心に対して『落ち着け』と強い命令を下しつつ、


「邪教団ゼノのリーダー『カドヒト・イッツガイ』。……お初にお目にかかる。私はカール大帝国の皇帝ライラスだ」


 ライラスに続いて、ラーズが、

 にこりと柔らかな笑みを浮かべて、


「ひさしぶり……というほど時間は経っていないかな。カドヒト殿。また会えてうれしく思う」


「ラーズ……てめぇ、この前、ウチの大幹部ゼミルが、十七眷属のイルドカを襲撃した際、邪魔してくれやがったな、この野郎」


「運悪く居合わせてしまってね。立場上、放置するわけにもいかなかったのだよ。こちらの立場についても、少しは慮ってくれるとありがたいね。今の私は、所詮、十七眷属の犬。龍神族の意向に歯向かうことは、そうそうできないのだ」


「大変だねぇ。サラリーマンは。あんたの場合は、国家公務員……高級官僚かな。まあ、なんでもいいが……」


 と、簡単に枕を置いてから、


「俺もそれなりに忙しくてな。ごちゃごちゃお喋りしているヒマはねぇ。単刀直入に言うぞ。……お前らもご存じの通り、現在、クロッカと、その犬が色々と地盤を固めている。これをサポートする形で、今後は、俺も、動いていくつもりだ。そして、最終的には、ガリオ主導の体制を崩壊させる。……今後、世界は大きく変わっていくだろう」


 そこで、一度言葉を区切る。

 カドヒトは、強い目で、ラーズとライラスをにらみつけて、


「……で、お前らはどうする? 誰につく? ガリオか? それともクロッカか?」



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― 新着の感想 ―
カドヒトの登場シーン、鳥肌が立ちました! 皇帝と十七眷属筆頭の密談に、 さも当然のように割り込んでソファーに寝転ぶ不敵さ。
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