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301話 カール大帝国。


 301話 カール大帝国。


 ――覇権大国、カール大帝国。

 その城は、大陸の中央に位置する。

 カール大帝国は、この世界を支配する唯一国。

 『龍神族の祝福を受けている国』……という名目だが、実際のところは、龍神族に支配されている傀儡くぐつの国。

 『面倒な国家運営の職務』だけ押し付けられており、支配権などは皆無に等しい。

 明確に内実を一言でいえば、『龍神族のパシリ』である。


 現皇帝の名はライラス。年齢は35歳と、まだ若い。

 ライラスは、間違いなく、カール大帝国の皇帝だが……『国家運営における発言権に関してはゼロに近い』と言っても過言ではない。

 『世界の支配権』はすべて龍神族が握っており、ライラスはただ、龍神族が望むままに政治を行うお人形さんに過ぎない。

 間違いなく『皇帝』ではあるし、存在値も『70』と、相当な実力者だが、『実質的な権力』としては『十七眷属以下』という扱いになっている。



「……父上……父上は、『クロッカ様の犬』に会ったことがあるんですよね。……噂の犬は……どうでしたか?」



 皇帝ライラスは、忙しい職務と勉強と鍛錬の合間を縫って、

 父である『ラーズ』と言葉を交わしていた。


 十七眷属のトップ、龍神族からの信頼厚き超人ラーズ。

 『皇帝の父』という肩書も持つラーズは、息子ライラスからの質問に対し、


「能力が高く、頭がおかしい」


 と、一言で返した。

 『クロッカの犬』――『センエース』について、言いたいコトは腐るほどあったが、

 あえて、一言に集約させた。


「ウワサ通りということですか」


「あの犬の実力は想定以上だった。もしかしたら、クロッカ様の悲願がかなうかもしれない」


「支配力の拡大ですね。クロッカ様は、龍神族の歴史上でもトップクラスの実力者であられるが、『継承権第一位のパルカ様』の『妹』という立場ゆえ、権力に関しては皆無と言ってもいい。政治には口出しすることができず、領地も枯れた土地ばかりをあてがわれ、配下もほとんどいない。なんとも憐れな立場におられる。だが、もし、ウワサの犬が、ウワサ通りの実力者なら……クロッカ様も、パルカ様の『半分ほどの権力』を得ることが、あるいは可能かもしれない……いや、流石に『半分』は言い過ぎでしょうか。3分の1……いや、5分の1……10分の1でも、これまでと比べれば雲泥の差――」



「もしかしたら、クロッカ様は……悲願だった『当主の座』を奪い取るかもしれない」



 そんなラーズの、『急なトンデモ発言』を耳にして、

 ライラスは、ビシっと固まってしまった。

 『このジジイ、ついにボケたか?』と悪口・陰口の類ではなく、普通に思ってしまった。

 あまりの衝撃に、口を開けずにいると、


 ラーズが、ライラスの目をジっと見つめて、


「ボケているわけではない。それほどの力が……あの犬にはあるかもしれない……と私は踏んでいる」


「……当主はガリオ様です。……噂の犬にどれだけの力があろうと、その事実が揺らぐことなどありえません。そして、いずれ当主の座につくのはパルカ様。そのお二人がいる限り、クロッカ様に可能性は――」


「ガリオ様とパルカ様が死ねば、その可能性の芽は出てくるだろう?」


「……な、なにを仰って……」


「あくまでも可能性の話だ」


「か、仮に、ガリオ様とパルカ様がお亡くなりになった場合、その時は、アボカ様が、もう一度、当主の座につくでしょう。クロッカ様の出番はないものと思われます。アボカ様はまだ60代……その気になれば、子供を成す事も可能……」


「アボカ様も死ねば、間違いなくクロッカ様が当主になるな。さすがに、90歳近いマヌス様が当主に返り咲くことはないだろうから」


「……む、無茶なことを……」



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― 新着の感想 ―
十七眷属筆頭ラーズの「当主の座を奪い取る」という爆弾発言に鳥肌が立ちました。
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