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野球はスリーアウトから  アイスティーシーズン  作者:


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15/20

入れ替わり

 プロ野球やきゅう日本一にほんいち決定戦けっていせんおおめだ。


 さんしょうさんぱい第七戦だいななせんむかえた。今日きょう試合しあいったほうが、日本一にほんいちかがやく。


 そんな試合しあい直前ちょくぜんりょうチームの監督かんとくおなじことをかんがえていた。


 ここまでのろく試合しあい、こっちは「相手あいてチームのレベルについていく」のに、精一杯せいいっぱいだった。みってたのは、はっきりってうんのおかげ。


 なのに、相手あいてチームにはまだ余力よりょくがありそうだ。


 結果けっかさんしょうさんぱいでも、こっちは満身まんしん創痍そうい今日きょう試合しあいつのは、むずかしいとおもう。


 そんなことを、どちらの監督かんとくかんがえていた。


 そして、運命うんめい試合しあいはじまる。


 審判しんぱんが「プレイボール!」をげた直後ちょくごだ。


 ここで奇妙きみょうなことがこる。


 二人ふたり監督かんとくあたまがくらっとした。


 突然とつぜんまえ光景こうけい微妙びみょうわる。


(あれ?)


 そうおもいながら、周囲しゅういをきょろきょろしていると、


監督かんとく、どうしました?」


 コーチがはなしかけてくる。


 とっさに言葉ことばなかった。


 というのも、はなしかけてきたのは、相手あいてチームのコーチだ。


 で、周囲しゅういにいるのは、相手あいてチームの選手せんしゅたち。


 あたまなかを「?」がくす。


 どうやら自分じぶんいまいるのは、相手あいてチームのベンチらしい。


 まどっていると、コーチが不思議ふしぎそうな視線しせんけてくる。


 その視線しせんたいして、監督かんとく曖昧あいまいみをかえした。


 とりあえず、ベンチのそとへとしてみる。


 反対はんたいがわのベンチをた。さっきまで自分じぶんがいた場所ばしょ


 おもわず言葉ことばうしなった。


 反対はんたいがわのベンチに、「自分じぶん」がいる!


 あっちもちょうど、ベンチのそとへとしたところだった。


 反対はんたいがわのベンチにいる自分じぶんと、う。


(どういうことだ?)


 わけがわからない。


 呆然ぼうぜんとしていると、またもやコーチがいてくる。


監督かんとくなにになることでもありましたか?」


 正直しょうじきはなしたところで、すぐにしんじてもらえるとはおもえない。


 なので、ごまかす。


「い、いや、なんでもない。緊張きんちょうのしすぎだとおもう」


 それでコーチは納得なっとくしたようだ。


 監督かんとくおおきくいきいた。ベンチにこしろして、いま状況じょうきょうについてかんがえる。


 どうやら、相手あいてチームの監督かんとくと「からだわってしまった」みたいだ。


 常識じょうしきてきにはありない。


 だが、実際じっさいにそうなっている。本当ほんとうにわけがわからない。


(どうしよう?)


 いま状況じょうきょうを、となりにいるコーチに説明せつめいするか?


 しかし、しんじてもらえる保証ほしょうはない。


 しかも、すでに試合しあいはじまっている。「プレイボール」がげられてしまった。


(こうなったら)


 監督かんとく反対はんたいがわのベンチにかって、ボクシングのファイティングポーズをしてみる。むねまえりょうほうこぶしかまえてみた。


 こっちの意図いとただしくつたわるか、正直しょうじき不安ふあんだった。


 が、あっちの監督かんとくおなじポーズをかえしてくる。どうやら、うまくつたわったらしい。


 とりあえず、自分じぶんたちのからだわったことはせたまま、この試合しあいつづけるのだ。


 もしかしたら、試合しあいちゅうに「もとからだもどることができる」かもしれないし・・・・・・。


(どっちがっても、うらみっこなしで)


 かたりかける。


 すこしして、相手あいてがうなずいてきた。


 そうとまれば、ここからさき全力ぜんりょく采配さいはいするだけだ。


 そのあと、つい内心ないしんでほくそむ。


 戦力せんりょくてき有利ゆうりなのは、こっちのチームだ。なんだかとくした気分きぶん


(この試合しあいてるぞ!)


 そんな自信じしんから、今日きょう強気つよき采配さいはいをする。


 それに選手せんしゅたちもこたえてくれた。うん、やはり、こっちのチームの選手せんしゅたちは優秀ゆうしゅうだ。


 おかげで、采配さいはいがズバズバとたる。かみかったような采配さいはい


 なのだが、相手あいてチームもなかなかしぶとい。


 あっちの監督かんとく采配さいはいをズバズバててくる。あと、やはり選手せんしゅたち。本当ほんとう優秀ゆうしゅうだ。


 いまてき味方みかた関係かんけいではあるものの、


(やるな)


 これはこれでうれしい。


 一進いっしん一退いったい攻防こうぼうつづく。


 さんしょうさんぱいむかえた第七戦だいななせんだ。この激闘げきとうせいしたほう日本一にほんいちになる。


 試合しあい終盤しゅうばんはいった。


 が、膠着こうちゃく状態じょうたいだ。同点どうてんのまま、イニング消化しょうかしていく。試合しあいめる一点いってんはいらない。


 監督かんとくはふとおもった。


(もしも、ここで相手あいてチームが、あの若手わかて選手せんしゅ代打だいだしてきたら・・・・・・)


 そうなったら、あっちがつ。そんなかんがえが、あたまをよぎった。


 あっちのチームはもともと、自分じぶんひきいていたチーム。だからこそ、わかる。こういう場面ばめんで、あの若手わかて選手せんしゅ不思議ふしぎつのだ。データの数字すうじだけをっていては、づきにくい情報じょうほう


(これは、まずいかもな)


 しかし、相手あいてチームの監督かんとくうごかない。たぶんづいていないのだろう。


(もったいないな。こっちとしてはたすかるけれど)


 なおも、試合しあいすすんでいく。


 そして、きゅうかいうらまでわった。まだ同点どうてんだ。延長えんちょうせん突入とつにゅうする。


 その直後ちょくご監督かんとくあたまがくらっとした。


 突然とつぜんまえ光景こうけいわる。


(ここは・・・・・・)


 試合しあい開始かいし直後ちょくごおなじように、周囲しゅういをきょろきょろしていると、


監督かんとく、どうしました?」


 コーチがはなしかけてくる。味方みかたのコーチだ。こんシーズンを一緒いっしょたたかってきたコーチ。


 それで理解りかいした。


からだもともどっている!)


 おもわずみがこぼれてきた。


(そうだ。自分じぶんはやはり、このチームで日本一にほんいちになりたい!)


 監督かんとくはすぐさま、ベンチのそとへとした。反対はんたいがわのベンチをる。


 すると、あっちの監督かんとくおな行動こうどうをとっていた。ベンチのそとしている。


 うなり、相手あいてわらいかけてきた。


 そして、ボクシングのファイティングポーズをしてくる。むねまえりょうほうこぶしををかまえていた。


 こっちもおなじポーズをかえす。


(どっちがっても、うらみっこなしで)


 かたりかけると、相手あいてがうなずいてきた。


 そうとまれば、全力ぜんりょく采配さいはいするだけだ。


 目指めざせ、日本一にほんいち


次回は「小学生の男の子」が出てきます。

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