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TS男装令嬢は王太子の傍付きを拝命する。  作者: 髙龍


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第八十八話

アンリは今すぐは効果が出ない上に国の負担になる可能性も気がついていたが未来に向けもう1つの案を提案することにした。


「マスクウェル殿下。もう1つ考えていることがあります」


「まだあるのか?聞こう」


マスクウェルはそう驚きつつも聞く姿勢をとる。


「はい。前の世界の制度ですが平民に学問を教えてはどうですか?」


「それは考えたことがなかったな。アンリの前世では普通のことだったのか?」


「はい。そうです」


地球上のすべての地域ではない。


だが、少なくとも日本では義務教育制度が存在していた。


「それでその効果はどれぐらいだ?」


マスクウェルはそう聞いてくる。


「国全体の基礎レベルを押し上げ様々な発展に寄与していました」


「なるほど・・・。国全体の底上げか。だが、実際に実行するには障害が色々ありそうだな」


「そうですね・・・。教える人材の確保に教育費用。元を取ろうと思えば大変でしょう」


「貴族の反発も予想されるな。だが、やる価値はありそうだ」


マスクウェルの顔を見れば真剣な顔をしている。


実行する為に頭の中では計画が立てられているのだろう。


「今すぐはやはり難しい。特に教える人材を今は捻出できない」


教えるとなれば不足している文官にさらに負担をかけることになる。


だが、マスクウェルがその可能性に気づき検討している。


それだけでもこの話をした意味があった。


「もう1つ国にとって大事なことがあります」


アンリはそう切り出す。


「何だ?」


「治水に関してです」


「治水?」


「はい。記録を見ると水が足らずに困っている年がありますね?」


「そうだな・・・。その年は農作物が育たず対応に困った」


「そうならない為にも大規模な治水工事が必要です」


「理屈はわかるが・・・」


マスクウェルが難しそうな顔をする理由もわかる。


金もかかるし人手の問題がある。


「お金の問題は頑張っていただくしかありませんが人手については民にやらせるのでなく兵士にやらせるのです」


「兵士に?」


「はい。体を鍛えるいい訓練になりますし戦の際にも役立ちます」


「戦の際に?」


「はい。普段から土木に関わっていれば緊急時に素早く陣地を構築したりできるでしょう」


「言われてみれば確かにそうだな。盲点だった・・・」


マスクウェルは頭の回転が早い。


理解できれば行動に移す決断力もある。


アンリの案には穴もあるがそこは文官と一緒に詰めてくれるだろう。


だから、アンリとしても安心して話すことができた。


「やはりアンリは凄いな」


アンリとしては前世の知識から提案しているだけで全然凄くない。


だが、こうしてマスクウェルに言われると嬉しくて仕方なかった。

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