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TS男装令嬢は王太子の傍付きを拝命する。  作者: 髙龍


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第八十七話

アンリは部屋に入ってきたマスクウェルを見て心配になる。


どう考えても疲れている。


「マスクウェル殿下。無理をしていませんか?」


「心配させてすまない。アンリとの時間がほしくて詰め込みすぎてしまった」


「お気持ちは嬉しいですがそれでマスクウェル殿下が倒れては本末転倒です」


「気をつける」


「ゆっくり休んでいてください。今、疲労に効くお茶を淹れますので」


アンリはそう言ってお茶の準備を始める。


アンリに出来ることは限られているが少しでも役に立ちたかった。


お茶を淹れマスクウェルにお茶を給仕した後は隣に座る。


「こうしてアンリが居てくれるだけで元気が出てくるな」


「私もです」


マスクウェルはアンリが淹れたお茶を飲みながらしばらくのんびりする。


「アンリに聞きたいことがあったんだ」


マスクウェルはそう切り出す。


「何ですか?」


「文官の募集をすることになってな・・・。どうすれば人が集まると思う?」


「そうですね・・・」


アンリはそう言ってしばらく考え込む。


マスクウェルはお茶を飲みながらじっくりと待つ。


そしてアンリは1つの考えをまとめた。


「マスクウェル殿下は本を読むのが趣味ですよね?」


「そうだが・・・。それと文官に何の繋がりが?」


「物書きの方は字を書けますよね?」


「書けるな・・・」


「物書きの方が全員成功しているわけではありません。中には生活に困っている者もいるでしょう」


「その者を雇い入れると?」


「普通に募集しても応募はしていただけないでしょう」


「では、どうする?」


「短時間労働を約束し創作の時間を確保します。これで夢を追いながら生活費を稼ぐことができます」


「なるほど・・・。それなら可能性はあるか?」


「後は素晴らしい作品を書けても全員が本を出せるわけではないですよね?」


「その通りだな・・・」


本そのものは高価なものだ。


この世界ではまだ量産の技術が発展していない。


そして元の世界でもそうだったが出版する側がその作品を見つけることができなければどんなに素晴らしい本でも出版されることはないのだ。


「マスクウェル殿下にもメリットがありますよ?」


「私にも?」


「世に出ていない作品を一番最初に読めるチャンスです。その中で気にいった作品があれば出版に力を貸してもいいのではないですか?」


「中々魅力的な案だな・・・。そして、その本が売れれば王国の益にもなるか」


マスクウェルはそう言って考え込む。


「この条件でやってみよう。アンリはいつも私を助けてくれる。ありがとう」


「いえ。この世界のことをあまり知らない素人の考えですから。変だったら止めてくださいね?」


「ふふ。私には無理かもしれないな」


そんなことを言いながら2人で笑いあった。

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