第八十二話
マスクウェルは付き合いのある商会に人をやり、自分自身は政務をまわしていた。
「王太子殿下。お声をかけた商会の者が面会を求めております」
「そうか・・・。流石に商人だな。動きが早い」
マスクウェルは政務を切り上げ商会の者が待っている部屋に向かった。
「呼び出してすまない」
「いえ。王家にはお世話になっておりますので」
そう言って全員が頭を下げてくる。
驚いたことに声をかけた商会は全員、商会長がやってきていた。
見慣れない者もいるが部下といったところだろう。
「時間が惜しい。話しをはじめてもいいだろうか?」
マスクウェルはそう言って全員の顔を見る。
「時は金なりと申します」
「商人であるお前達には無用の問いだったか」
マスクウェルは苦笑いをする。
「王太子殿下。守秘義務を結ぶとは言え、お手伝いできる者は私達を含めここにいる者だけです」
決して人数が多いとは言えない。
だが、全員が商会を切り盛りしている一流の商人だ。
その仕事量は決して政務に劣るものではない。
戦力として考えればかなりでかかった。
「商会主であるお前達が抜けて商会は大丈夫なのか?」
「はい。我々が抜けた程度で運営ができないほど甘い育て方はしておりませんので」
「そうですね。長期間、本部を抜け視察や自ら仕入れを行うこともあります。これぐらいは問題ありません」
「そういうことなら力を借りよう。この借りは必ず返す」
「期待しております」
彼らには彼らなりの考えがある。
後々、どのような要求をされるかはわからないがそれでも今は力を借りるべき時だった。
マスクウェルはそれぞれを各部署に配置する。
配置を終えるとマスクウェル自身も政務に戻った。
夕刻頃、マスクウェルは城に残っている文官を集めた。
「忙しい中、すまない」
「いえ。応援をいただけたので少しだけですが余裕ができました」
「そうか・・・。流石は一流の商人だな」
「そうですね・・・。気づかいも一流でした」
彼らはお客様を不快にさせるようなことはしない。
王家との付き合いのある商会は規模もそうだが評判もその審査対象だ。
「王太子殿下。明日からはもう少し機密の高い扱ってもらってもよろしいでしょうか?」
「ふむ・・・。段階的に引き上げる予定ではあったが商会長自身がきているのだ。裏切るようなことはしないだろう。許可する」
「ありがとうございます」
「お前達も今日はもう休め」
「はい。久しぶりにぐっすり眠れそうです」
そう言って文官たちは退室していった。
マスクウェルも今日はもう政務を引き上げアンリの部屋に向かった。




