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TS男装令嬢は王太子の傍付きを拝命する。  作者: 髙龍


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第八十三話

アンリは今日の政務が終わった後、自分の考えをまとめていた。


そこにマスクウェルが戻ってくる。


「アンリ。まだ仕事をしていたのか?」


「いえ。これは前世での知識をまとめていただけです」


「そうか・・・。すまないな」


そう言ってマスクウェルは謝ってくる。


「好きでしていることですから。それより話を聞いてもらってもいいですか?」


「わかった」


マスクウェルはそう言ってアンリの横に座る。


アンリは農作物の収穫データからこの国の農業の問題にあたりをつけていた。


年々収穫量が落ちてきていたのだ。


「マスクウェル殿下。畑を休ませるのは難しいですよね?」


「畑を休ませる?どうしてそんなことを?」


「畑というのは生き物です。作物を育て続ければ畑だって疲れます」


「そうなのか?」


「はい。できれば育てる場所をローテーションさせるのが理想です」


「そうか・・・。だが、難しいだろうな」


アンリもその理由はわかっていた。


収穫量が落ちているから少しでも多く得ようと作付面積を全面的に活用したくなるのが人間の心理というものだ。


「そうですか・・・。では、次善策です」


アンリはそう言って次の案を伝えることにした。


「マスクウェル殿下。貝殻を集めることは可能ですか?」


「貝殻?海沿いの国でなら手に入ると思うがあんなゴミをどうつかうんだ?」


「砕いて畑にまきます」


「畑に?」


「はい。撒くことで収穫量が少し戻るかもしれません」


「本当か?」


「はい。後はこの国にも森はいくつかありますよね?」


「あぁ。大きいものから小さいものまで存在している」


「森の土を畑に撒きましょう」


「これも同じ理由か?」


「はい。森の土は栄養満点です。痩せてしまった土を改善できるはずです」


「わかった。全ての畑で実行は無理だがいくつかの畑で検証してみよう」


「後はマスクウェル殿下。いくつかの植物を探してもらえませんか?」


「植物を?」


「はい。これなんですけど・・・」


アンリはそう言って地球でポピュラーだった野菜達の絵を見せる。


「見たことのない物もあるがこれはこの国にもあるぞ」


そう言ってマスクウェルが指さしたのはジャガイモだった。


「本当ですか?」


「あぁ。だが、毒があって食べられなかったはずだ」


「なるほど・・・。確かにこの植物には毒があります。私の世界と同じ物なら毒を回避できるはずです」


「毒を回避できる?」


「はい。毒の発生原理を知っていれば育てやすく数を増やしやすい優秀な植物です」


ジャガイモが見つかっただけでも朗報だ。


これだけでも食料事情を大きく改善できる可能性があった。

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