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TS男装令嬢は王太子の傍付きを拝命する。  作者: 髙龍


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第八十話

「そういえば、アンリに確認したいことがあったんだ」


マスクウェルはそう切り出してくる。


「確認したいこと?」


「仕事の合間に書いているというメモを見せてくれないか?」


「いいですけど・・・。リーシャから聞いたんですか?」


リーシャ以外には見られていないので情報が漏れたとしたらリーシャしかいなかった。


「そうだが・・・」


「いいですけど・・・」


アンリはそう言ってメモをマスクウェルに見せる。


「確かに見たことのない文字だな・・・。アンリはどこでこんな文字を覚えたんだ?」


アンリは答えに困る。


自分で考えたといっても無理がある。


「それは・・・」


「それは・・・?」


前世での文字です。


とは言い出せない。


「アンリは転生者なのか?」


マスクウェルの口からそう問われぎくりとする。


「転生者・・・?」


アンリはとりあえずとぼけてみる。


「言いにくいのはわかっている。だが、アンリ以外にも前世の記憶を持っている人物の記録があるんだ」


マスクウェルはもはや確信している。


正直に話すしかなさそうだった。


「確かに私は前世の記憶を持っています」


「やはり・・・。少し優秀すぎるとは思っていたんだ」


マスクウェルはそう言って前世の記憶を持っていたと思われる人物達の実績を語って聞かせてくれた。


どの人物もこの世界では考えられない発想をし活躍した者ばかりだ。


「マスクウェル殿下はやっぱり前世の記憶を持っている私は気持ち悪いですか?」


アンリは不安になってそう聞いてしまう。


「馬鹿を言うな。前世の記憶を持っていようとアンリはアンリだ。私の気持ちに変わりなどない」


「そうですか・・・」


アンリはその言葉を聞いて安心する。


「アンリ。この国は今、危機に瀕している。知恵があるならその力を貸してほしい」


そう言ってマスクウェルは頭を下げる。


「マスクウェル殿下・・・。その気持ちはわかりました。もともと落ち着いたら考えていることをお話するつもりでした」


「アンリ。ありがとう」


そう言ってマスクウェルはお礼を言ってくる。


アンリは手始めにこの国の置かれている文官不足を何とかする方法をマスクウェルに伝えることにした。


「マスクウェル殿下。各商会には文字の読み書きに計算をできる者がいますね?」


「確かにいるが・・・」


「では、守秘契約を結んだ上で人材を借り受けるのはどうですか?」


「借り受けるか・・・。その発想はなかったな」


マスクウェルは難しい顔をしている。


だが、結論はすぐに出たのだろう。


「彼らも国が倒れれば困るだろう。掛け合ってみよう」


マスクウェルはそう請け負った。

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