第七十八話
王弟であるアッサムの反乱を受けて王城では上で下での大騒ぎになった。
人材が枯渇している状況ではあるが裏切り者がいないか厳しい調査が行われた。
その結果、数人の貴族や文官の裏切りが発覚した。
アンリとリーシャはその穴を埋めるように書類と格闘する日々を送っていた。
マスクウェルも忙しいようでここ数日は姿を見せていなかった。
「はぁ・・・。ただでさえ人が少ないというのに・・・」
リーシャが思わずそう愚痴る。
「仕方ないですよ。裏切り者をそのままってわけにもいかないでしょ?」
「それはそうなんですけど・・・」
流石のリーシャも疲労が見える。
アンリはまだ余裕があるがそろそろ1度、しっかり休ませた方がいいかもしれない。
「リーシャ。休暇をあげるからしっかり休んできなさい」
「休暇・・・」
リーシャはそこで考え込む。
「リーシャ。命令です。休みなさい」
アンリはあえて強い主張でそう伝える。
真面目すぎるリーシャはこれぐらい言わないと休まないだろう。
「わかりました。無理をして倒れてはかえって迷惑をおかけしてしまいますね」
リーシャは頭がいいのだ。
何故、休めと言われているのかしっかり理解していた。
「では、私は休ませていただきますがアンリ様も無理をしませんように」
「自分の限界はわかっているつもり」
前世でとはいえ、散々ブラック労働をしていたのだ。
今の状態ならまだまだ頑張れる。
アンリはリーシャが退室した後も精力的に書類を片付けていった。
その中で気になった部分はメモに書き留める。
余裕が出来たらマスクウェルに伝えて改善方法を考える予定だ。
この世界は前世と比べて発展していない部分がまだまだ多い。
自分のあやふやな知識でも役に立てる部分はあるだろう。
日が沈んできたところでアンリは伸びをする。
今日の仕事はここまでだ。
無理をすればまだまだ処理は出来るがリーシャにああいった手前自分が倒れるような事態になったら笑えない。
アンリはそのままお風呂に向かう。
常に沸かされているわけではないがリーシャの選抜したメイドは優秀だ。
アンリの仕事が終わるのに合わせてお風呂を準備していてくれた。
体を丁寧に洗いゆっくりとお風呂につかる。
お湯に浸かると疲れが溶けていくようだった。
体力はまだ完全に戻ってはいないがそれでもマスクウェルの役にたてるのが嬉しい。
それだけで気力が湧いてくる。
ぼーっとしているとマスクウェルは今頃何をしているだろう。
そんなことを考えていた。




