第七十六話
アッサムの私兵たちは数の利を生かし複数人で襲ってくる。
マスクウェルは積極的に前に出てアッサムの私兵を斬り捨てていくいく。
リーシャはスカートの中に隠していたナイフ2本を手に独特な戦い方をしていた。
アンリは宣言通り自分の身を守ることに専念する。
体が悲鳴をあげているが今はそんなことを気にしている場合ではない。
それに相手は数は多いが腕はそこまで高くない。
アンリは機転を利かして相手にする人数を少なくなるように立ち回った。
「お前達。何をしている」
後ろから眺めているアッサムはそう私兵を急かす。
その叱責がよくなかったのだろう。
焦った私兵の動きが雑になる。
アンリはその隙を見逃さず反撃に出た。
腕を軽く傷つける程度だが、それでもその効果は大きい。
剣を取り落としはしなかったが、それでも動きが悪くなる。
その間にもマスクウェルとリーシャは確実にアッサムの私兵の数を減らしていた。
その状況を見てアッサムは吐き捨てる。
「っち。使えない連中だ」
そう言って私兵を見捨てて逃げ出した。
自分が相手をしていた私兵を片付けたマスクウェルとリーシャはすぐにアンリを囲んでいる相手を排除する。
「はぁはぁ」
アンリは肩で息をしつつも安堵する。
だが、気力で立っていたようなものだ。
すぐに地面に座り込んでしまった。
「アンリ。すまないが・・・」
「私のことはいいので行ってください」
アンリはそうマスクウェルに告げる。
マスクウェルは王太子としてしなくてはならないことがある。
それがわかっているから引き留めることができるはずもない。
「リーシャ。アンリを頼む」
そう言ってマスクウェルは逃げたアッサムを追いかけていった。
「はぁ・・・。部屋がめちゃくちゃね」
リーシャはそう言って部屋の惨状を確かめる。
しばらくするとリーシャの選抜したメイド達が部屋にやってくる。
「貴方達。無事だったのね」
「はい。すぐに逃げましたので」
「そう・・・。悪いけど手伝ってくれる?」
「その為に参りましたので」
「アンリは休んでてね」
リーシャはそう言ってメイド達に指示を出し部屋の片づけを開始した。
死体を複数人に抱え上げ部屋の外に出し壊れた物なども綺麗に掃除する。
血の跡は多少、残っているがそれでもすぐに生活できるレベルに部屋が整えられた。
彼女達は彼女達で傍つかえとしてのプロなのだろう。
「皆。ありがとう。少し休憩していかない?」
アンリはそう言ってメイド達に声をかける。
「よろしいのですか?」
「うん。まとまっていた方が安全だと思うしね」
そう言ってアンリはお茶の準備とお菓子を用意する。
こんな時にと思うかもしれないがこんな時だからこそリラックスすることが必要だった。




