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TS男装令嬢は王太子の傍付きを拝命する。  作者: 髙龍


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第七十四話

アンリは書類仕事に慣れてきたこともあり書類に不自然な部分があることに気がついていた。


その部分を走り書きで書き記録している。


それを見ていたリーシャが声をかけてくる。


「アンリ様。どうかしたの?」


「ちょっと気になる部分があって・・・」


「そうですか。アンリ様も気がつきましたか」


「ってことはリーシャも?」


「はい。不正は僅かです。処理を優先して無視しておりました」


「そう・・・。でも、これだけの頻度というのは・・・」


「確かにそうですね。では、お互いにまとめたものを確認しましょう」


「そうね・・・。でも、ちょっと待ってね」


アンリはそう言って走り書きしていたメモを元にこの王国の文字に書き直す。


「アンリ様。それは文字ですか・・・?」


「文字といえば文字だけど・・・」


アンリはそこで言いよどむ。


まさか前世の世界の文字とは言い出せない。


「理解できているならいいです」


どうやらリーシャは深くは突っ込んでこないようだ。


そこに安堵する。


「お待たせ。これなんだけど」


アンリとリーシャはお互いに不自然に思っていた部分を確認する。


「これは確定ですね」


「そうね」


2人が問題視していたのは食料関係の価格だ。


王都に運び込まれている食料は生産地で数を把握され価格もその時に設定されている。


だが、実際に売られている価格はその設定の価格より高くなっていた。


「上がっているが額もそこまでではないけれど・・・」


王都の住民が不満を覚えない程度に抑えられている。


だが、王都に住む住民は数が多い。


全体で見ればかなりの額になるだろう。


「誰が何の為に・・・。そしてその資金はどこに消えたのか・・・」


意図も目的も不明だ。


これが商会が利益を得ようとしているならいい。


だが、もし貴族が絡んでいるなら大問題だ。


貴族が資金を得る場合は何かに使う為に集めているのだ。


それが良い方面に使われているのなら問題ない。


だが、悪い方面に使われているとしたらそれは弱いっている王国にとって決定打になりかねない。


「アンリ様は作業を続けていてください。私はちょっと出てきます」


リーシャはそう言って書類を持って部屋を出て行った。


アンリに出来ることは何もない。


リーシャを信用して任せるしかないだろう。


アンリはリーシャが抜けた分の穴を埋めるように書類を片付けていく。


時間が経つのも忘れて書類を必死に片づけていると部屋の扉が荒々しく開けられる。


部屋に入ってきたのは息を荒くしているリーシャとマスクウェルだった。


こんなに慌てている2人を見るのははじめてだ。


何か良くないことがあったのかもしれない。


アンリは深呼吸すると2人に向き合った。

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