第六十九話
愛を改めて確認しあった日からマスクウェルは必ずアンリの元に帰ってくるようになった。
アンリはそのことが嬉しくてリハビリにも力が入り僅かな距離だが1人でも移動できるようになった。
「アンリ様。頑張りましたね」
「リーシャありがとう」
まだ城内を自由に動くことはできないがそれでも自由に動けるようになったらアンリにはしたいことがった。
「リーシャ。頼んでいた物の手配は?」
「こちらに」
そう言ってリーシャが取り出したのはアンリが街の茶屋で買い求めた茶葉だった。
あの騒動で買い求めた茶葉は落としてしまったがそれでも同じものをリーシャに頼んで用意してもらった。
本来なマスクウェルの誕生日の日から飲み比べてもらう予定だった。
予定とは違ってしまったが、それでも政務で疲れているマスクウェルに少しでもリラックスしてほしい。
アンリはその為に自らお茶を淹れることを目標にしていた。
「それでは私は失礼しますね」
リーシャは問題なくお茶が淹れられる状態であることを確認して退室していった。
リーシャが去ってそう時間を空けずにマスクウェルが部屋に入ってくる。
「アンリ。ただいま」
「お帰りなさい」
アンリは笑顔でマスクウェルを迎え入れる。
マスクウェルはすぐに寄ってきてアンリを抱きしめる。
アンリもそれを素直に受け入れる。
「マスクウェル殿下。お疲れでしょう?少し待ってくださいね」
アンリは解放してもらうとゆっくりとした動作だがお茶の準備をはじめた。
「アンリ。1人でも動けるようになったんだね」
「はい。皆が支えてくれるおかけです」
時間はかかったがお茶を淹れ終わりアンリはマスクウェルの元に戻る。
「これは?」
「少しでもリラックスしてほしくて。リーシャに用意してもらいました」
「そうか・・・。頂こう」
マスクウェルは匂いを確かめゆっくり味わうようにお茶に口をつける。
「お味の方はどうですか?」
「ふむ。飲んだことのない味だが美味しいよ」
そう言ってマスクウェルは笑顔を浮かべる。
「それは良かったです。色々用意したので好みの物を選んでくださいね」
「わかった。楽しみが1つ増えたな」
アンリも自分用に用意したお茶を飲んでみる。
確かに変わった香りに味だがこれはこれで美味しい。
マスクウェルはお茶を飲むのを朝の習慣にしていたし国内外から色々取り寄せてみるのもいいかもしれない。
自分で手配は難しいがリーシャに頼んだら喜んで協力してくれるだろう。
ゆったりとした時間を2人で過ごす。
求めあうのももちろん嬉しいがこうした時間も悪くなかった。




