第六十八話
アンリはリーシャに手伝ってもらいリハビリを続けていた。
リーシャに手伝ってもらってだが少しずつだが歩ける距離も伸びてこれなら1人でも移動できるようになるかもしれない。
そんな中、世話をしてくれているメイドの1人が入室してくる。
「アンリ様。王太子殿下が来ております」
「ありがとう。お通しして」
アンリはすぐにマスクウェルを迎え入れる準備をする。
だが、姿勢を保とうと思ってもうまくいかず、結局リーシャに支えられながら出迎える形となった。
「マスクウェル殿下。このような形で申し訳ありません」
アンリはまず謝罪する。
「いいや。謝ることはない」
そう言ってマスクウェルは真っ直ぐ向かってきてアンリに抱きついた。
「中々来れなくてすまなかった」
「いいえ。今は国にとって大事な時期なのでしょう?」
「そうだが・・・。それでも寂しい思いをさせたのは私の不徳とするところだ」
「こうして会いに来てくれただけで嬉しいです」
アンリはそう言ってマスクウェルに微笑みかける。
そこにリーシャが声をかける。
「お2人に伝えておくべきことがあります」
「何だ?聞こう」
「王族として子を作るのは職務ではあります。ですが、現在のアンリ様の体力では子を産むのは危険が伴います」
「確かに、子供を産むのは体力を使うと聞いたことがあるな」
「それと・・・。薬の影響がお子様に及ぶ可能性があります。そこは頭に入れておいてください」
リーシャは断定はしない。
だが、確かに言われてみればこれだけ強力な薬だ。
生まれてくる子供に何かしらの影響を与える可能性は否定できなかった。
「頭の中に留めておこう」
マスクウェルは冷静にそう答える。
だが、アンリは健康な子供を産めないかもしれない聞いてショックだった。
今のアンリは元男性としての意識は薄い。
マスクウェルと触れ合うことで女性であることを受け入れつつある。
その中には当然、マスクウェルとの間に子供が欲しいという欲もあった。
次代の王になるかもしれない大事な子だ。
その子供を満足に産めないのなら自分はマスクウェルの相手として相応しくない。
だが、感情は全く違うことを訴えていた。
マスクウェルが欲しくて欲しくてたまらない。
定期的にリーシャが治療として相手をしてくれていたが、アンリの心はそれでは満たされずマスクウェルを求めていた。
リーシャはそれがわかっていたのだろう。
静かに礼をすると部屋を出て行く。
「マスクウェル殿下・・・。私・・・」
「最後まで言わなくてもわかっている。私も同じ気持ちだからな」
マスクウェルはそう言うとアンリを抱きかかえる。
そしてそのままベッドに連れていかれた。




