第六十四話
アッカバーンの元にリーシャが訪れていた。
その目的はマスクウェルとアンリが無事に結ばれたことを報告する為だ。
2人のいる部屋は誰も近づけぬように完全に封鎖されていた。
「そうか・・・。国が大変な時にと思う気持ちもあるが、マスクウェルは良く働いてくれた。それを思えばこれぐらいはいいだろう」
「アンリ様はどうされるのですか?」
「そこはマスクウェルに任せる」
「そうですか・・・。傍付きのままというのもそれはそれで都合がいいですね」
「確かにな。早く孫の顔を見たいしな」
基本的に王国では女性が政治に関わることを嫌う貴族が多い。
その理由は感情で国を傾けた過去があるからだ。
だが、アンリならその心配はないだろう。
「しかし、お主も不憫よな」
アッカバーンはリーシャがマスクウェルのことを好いているの知っていた。
王城でメイドとして働いていたのもマスクウェルの近くにいたかったからだ。
「私は2人が幸せならそれで良いのです」
「そうか・・・」
己のことより他人を優先できるリーシャは強い娘だった。
「お主はこれからどうする?」
「私の主は王太子殿下とアンリ様です。これからもそれは変わりません。子供をお世話するのも今から楽しみです」
アッカバーンはリーシャが本心からそう言っているのを悟り認めざるえなかった。
「ならば、孫のことを任せるとしよう」
「はい」
リーシャは笑顔で去って行った。
アッカバーンはマスクウェルが戦場で戦っている頃、国内の立て直しをしていた。
その甲斐もあって隣国に開けられた穴は塞がりつつある。
まだまだ、どこに問題が潜んでいるかはわからないがその場その場で対処していくしかない。
その助けをしてくれたのはローゼンブルク侯爵家の当主であるホークだった。
必要な情報を必要なだけもたらしてくれるホークの活躍は王国の目として十分な活躍だった。
「これで普段も力を貸してくれるなら助かるのだがな・・・」
ホークが領地に引き籠っている理由も知っている為、アッカバーンは苦笑いする。
普段から力を借りていればローゼンブルク侯爵家を優遇せざるを得なくなる。
それはただでさえ権力の強いローゼンブルク侯爵家を強くしすぎてしまう。
国のバランスを考えればそれは得策ではない。
王家としても独自の情報網は布いている。
今回は完全にその情報網は機能していなかったが国にとっては必要な力だ。
「後は隣国がどうでてくるか・・・」
強引な手に出てくるからここで引いてくるかまだわからぬが全てのことに対応できるよう準備をするだけだった。




