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TS男装令嬢は王太子の傍付きを拝命する。  作者: 髙龍


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第五十八話

マスクウェル達は順調に離反した貴族の街を支配下に置いていた。


だが、どの街でも激しい抵抗を受け、戦力は確実に減っていた。


「王太子殿下。いかがしますか?」


「負傷者を残し、このまま進む」


「ですが・・・。現在の兵力では安全を確保できません」


「それでもだ。我々には進むという選択肢しかないんだ」


後少しで国境だ。


伝令が走ってこない所を見るとマルス卿はうまくやってくれているのだろう。


だが、真実は違っていた。


国境では小競り合いがはじまっていた。


お互いに今は様子見だ。


本格的な衝突は何とか避けているがいつそうなってもおかしくない。


マルスは伝令を走らせてはいた。


だが、国内に潜む隣国の手の者に伝令を潰されていた。


「王太子殿下と連絡はまだ取れないのか?」


「はっ・・・。伝令は走らせているのですが・・・」


「全て潰されているか・・・。最後の手段だ狼煙をあげろ」


「本気ですか?」


「このままでは国境を突破される。そうなればすべてが終わりだ」


「わかりました・・・。ですが、準備に1時間ほどかかりますよ?」


「わかっている」


狼煙をあげれば相手にもこちらが追い詰められているのがわかるだろう。


そこからはマスクウェルが駆けつけるのが早いか、隣国が仕掛けてくるのが早いか。


どちらに転ぶかはわからない。


だが、どちらにせよこのままでは押し切られる。


マルスはマスクウェルがすぐ近くまで来ていると信じて賭けに出ることにした。






「王太子殿下。あれを・・・」


「あれは・・・。狼煙だと?」


「国境で何かあったようです」


「わかっている。国境までは後少しだ。急ぐぞ」


マスクウェル達は疲れている体に鞭を打って国境へと急ぐ。


国境へとついた時、そこは激しい戦場へとなっていた。


「間に合わなかったのか・・・?」


あきらかに味方の方が劣勢だ。


押し込まれている。


だが、誰1人として諦めていなかった。


「王太子殿下。いかがしますか?」


自分達はとても戦える状態ではない。


だが、味方が必死に戦っているのにただ見ているわけにもいかなかった。


「戦力を集めて突撃する」


「本気ですか?」


「見捨てるわけにはいかぬだろう」


「わかりました・・・。お供いたします」


マスクウェル達は残った力を振り絞り敵軍に突撃する。


前線で戦っていた兵士達はそれに呼応して反応する。


近づいて気がついたが最前線で槍を振るうのは指揮を執っているはずのマルスだった。


「指揮官が前線にいるとは・・・。とはいえ、私も人のことを言えぬか」


マスクウェルは先頭で突撃している自分のことを考え苦笑いを浮かべた。

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