第五十四話
マスクウェルの元に続々と関与した貴族の情報が集まってくる。
関与していたのはやはり王族と敵対する派閥の貴族達だった。
そして、アンリを捕まえた男だったが、驚きの事実が判明する。
かつて大罪を犯した大貴族の息子だった。
当時はまだ幼く国外追放に留められたが王都に潜り込み奴隷商として王都の貴族と繋がっていたようだ。
貴族が後ろ盾なのだ。
違法奴隷を売りさばきかなり儲けていたのだろう。
その儲けの一部は協力関係のある貴族に流れていた。
敵対派閥の貴族の資金源が謎だったがこれで金の流れの一部はわかった。
奴隷売買はほんの一部で叩けば叩くだけ犯罪が出てくるだろう。
マスクウェルは証拠を持って玉座の間に向かう。
玉座の間では多くの貴族が集まっており、新たに入ってきたマスクウェルに視線が集中する。
貴族を無視しマスクウェルはアッカバーンの元に向かう。
「国王陛下。報告いたします」
「うむ。報告を聞こう」
マスクウェルは調査報告を詳細にアッカバーンに説明する。
その報告を聞いている一部の貴族の顔は真っ青だ。
そして、名の上がった貴族の一部はここからの逃亡を図る。
だが、待機していた衛兵がそれを阻む。
アッカバーンが冷たく衛兵に命令する。
「その馬鹿者を連れて来い」
衛兵は主の命令に従い逃げようとした貴族を連れてくる。
「マスクウェルよ。今回の采配はお主に任せる」
「かしこまりました」
マスクウェルはアッカバーンに礼をしてから貴族の方を向く。
「今回の件は王家への反逆だ。申し開きはあるか?」
「たかが傍付きでここまでするのか・・・」
マスクウェルの目がピクリと動く。
マスクウェルは女性だとわかっているが多くの者の中ではアンリはまだ男性だ。
選択を間違えれば別の意味で騒ぎになりかねない。
「たかが傍付きか・・・。私が傍に付くことを許したのだ。この国の未来に関わる人物だとわからなかったのか?」
マスクウェルは冷静にそう告げる。
「騎士爵風情の子息が?笑わせる」
「それを判断するのはお前ではない。叩けばまだまだ余罪が出てくるだろう。お前達を裁くのは全ての罪をあきらかにしてからだ。連れていけ」
マスクウェルはそう断言して衛兵に指示を出す。
彼等はこれから地下牢に拘束され裁きを待つことになる。
罪は現在の時点で死刑と決まっているが執行は全ての闇をあきらかにしてからだ。
マスクウェルは今回の事件に関わった者を誰1人として許すつもりなどなかった。
温情を与えれば奴隷商の男のようなこともありえる。
冷血に思えるかもしれないが今回は幼い子供も裁くことになるだろう。




