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TS男装令嬢は王太子の傍付きを拝命する。  作者: 髙龍


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第五十二話

マスクウェルはアンリを抱えて愛馬に乗る。


アンリへの負担を考えて急ぎたい気持ちを抑え、なるべく揺れを抑える。


アンリの体は熱を帯び息は荒かった。


飲まされた薬を考えればどうなるかわからない。


守るつもりでいたのに最悪な形で巻き込んでしまった。


マスクウェルはアンリを抱えながら後悔に苛まれていた。


もし、自分が傍付きにしなければ。


そんなことを考える。


だが、共にいた時間を考えるとアンリを手放すという選択肢はなかった。






王城に到着したマスクウェルはそのままアンリをアンリの部屋に連れていった。


部屋の中では筆頭侍医が待機しており治療の準備を進めていた。


「流石だなリーシャ」


音もなくリーシャが背後から現れる。


「いえ。私に出来るのはこれぐらいですから・・・」


リーシャの顔は暗い。


罪悪感がありありと伝わってきていた。


「王太子殿下。申し訳ありませんが・・・」


筆頭侍医はそう言ってマスクウェルの退室を促してくる。


「任せたぞ」


「最善を尽くします」


筆頭侍医は王族用に用意してあった薬をアンリに飲ませる。


しばらく反応を見ていたが難しい顔をする。


「やはりこの薬が相手では・・・」


「何かできることはないのですか?」


「後はもう、水分を飲ませ薬の成分を排出させるぐらいしか・・・」


「そうですか・・・」


「必要なら人は手配いたしますが・・・」


「いえ。私がやります」


「リーシャ様が?」


「はい。アンリは私の大切な友人ですから」


「そうですか・・・。では、私も失礼いたします」


リーシャは部屋にアンリと2人になり深呼吸する。


「アンリ・・・。絶対に助けるからね」


リーシャはアンリに水を飲ませ治療行為に取り掛かる。


これが外に漏れではアンリもリーシャも無事では済まないだろう。


今から行う行為は貴族にとっては忌避しべき事柄だ。


だが、リーシャはそれでもアンリが助かるなら構わなかった。





筆頭侍医は報告の為にマスクウェルの部屋に向かった。


「王太子殿下・・・」


「アンリの状態はどうだ?」


「やはり難しいですね・・・。リーシャ様が現在治療に取り掛かっております」


「リーシャが・・・。そうか・・・」


マスクウェルは自分に出来ることはないとわかると頭の中に現在の勢力バランスを思い浮かべる。


その中から自分に敵対している者達をリストアップしていく。


マスクウェルは今回ばかりは勢力バランスを壊してでも相手を許すつもりなどなかった。


それに、仕事をしていなければ自分自身がバラバラになって壊れてしまいそうだった。

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