第四十七話
アンリは街に出てきたものの何を買ったらいいか悩んでいた。
マスクウェルは王族だ。
望む物なら何でも手に入る立場だ。
「ん~。何を選んだら喜んでくれるんだろう」
読書が趣味ということなら本なんかも良いかもしれない。
だが、読んだことのある本を贈るのは避けたい。
「やっぱり本はなしかな」
アンリはその後もいくつもの店をまわってみるがこれといった物が見つからなかった。
「う~ん。思ってみれば何が好きとか何が嫌いとかほとんど知らないんだなぁ・・・」
思い返してみればお茶を飲みながら朝に読書をしているぐらいしか知らない。
「お茶・・・。お茶かぁ・・・。よし、その路線で探してみよう」
アンリは茶葉の専門店を探して通りを進む。
かなり時間が経ってからアンリは無事、目的の店を見つけることに成功した。
「お客様。何をお探しで?」
店主がそう聞いてくる。
「人への贈り物を探してるんです」
「ほうほう。その方はどのような方で?」
「貴人です」
「ふむふむ。お貴族様用のお高い茶葉なんかもありますが・・・」
「高級な茶葉かぁ・・・。多分飲み慣れてますね」
「なるほど。では、少し変わった物もありますので試飲してみますか?」
「いいんですか?」
「はい。実際に試してみて気に入っていただけたら購入してください」
アンリは店主にいくつかお茶を淹れてもらい飲んでみる。
「う~ん・・・。どれも美味しいです」
「それは良かった。お口に合わない方もいらっしゃいますので」
「では、全てのお茶を少量ずつ貰えますか?」
「全てですか?」
「はい。実際に試してもらって気にいっていただけた物をまた買いに来ます」
「そうですか。ありがとうございます」
店主はニコニコ顔でお茶を包んでくれる。
アンリはそれを受け取り代金を支払った。
「またのお越しをお待ちしております」
アンリはお茶を大事に抱えて城への帰路についた。
かなり遅い時間になってしまった。
はやく戻らなければ心配をかけるだろう。
そう思って王城への最短経路を進む。
貴族街に入ったところでアンリは違和感に気がついた。
元々、貴族街はそれほど人通りが多いわけではない。
だが、全くの無人というのはありえなかった。
「なんだか、嫌な予感がする」
アンリは自然と早歩きとなる。
後少しで王城に着く、そんな時に進路を黒装束を着た集団に妨害される。
明らかに怪しい風体だ。
「何者ですか?」
アンリは問いかけるが返答はない。
多対1人では圧倒的に不利だ。
アンリは来た道を戻ろうとする。
だが、退路も黒装束を着た集団に塞がれていた。




