第四十六話
家族と共に王族との食卓を囲んだ数日後、アグニが正式に準男爵に陞爵し警邏部隊の副隊長として活動をした。
陞爵の際にはマスクウェルの傍付きとして同行し父の誇らしい栄達を傍で見届けることが出来た。
一方、アンリはガスパーからの指導を継続して受けていた。
「これぐらいできれば取りあえず良いだろう」
どうやら傍付きとしての最低限の力は身に着けたと認められたようだ。
「ご指導ありがとうございました」
「とはいえ、まだまだ未熟であることは変わりない。鍛錬を怠らぬようにな」
「はい」
「それはそうともうじき、王太子殿下の誕生日だな」
「誕生日ですか?」
「うむ。多くの者が贈り物を送るがアンリ嬢も何か贈ってみてはどうかな?」
「そうですね・・・。傍付きとしてのお給料も頂いていますし街で何か探してみます」
「それが良いだろう」
アンリはガスパーと別れまずは自分の部屋に戻る。
心得たもので部屋ではリーシャが待ち構えていた。
「お風呂の用意ができております」
「ありがとうございます」
アンリはありがたくお風呂を頂き身を清める。
「お湯加減はどうですか?」
「丁度良いです」
アンリはお風呂をしっかりと堪能し部屋に戻る。
リーシャがすかさず髪を拭いてくれる。
「ありがとうございます」
「いえいえ。それにしてもアンリ様の髪は綺麗ですね」
リーシャはそう言って褒めてくれる。
王城に来るまでは水浴びぐらいで髪を洗う余裕もなかった。
だが、しっかりとメイド達によってケアされたことで綺麗な金髪となっていた。
「リーシャ様。ご相談があるんですけど」
「もう。リーシャで良いと言っているのに・・・」
そう言って軽く怒ってみせる。
「流石に侯爵家の令嬢を呼び捨てにするのは・・・」
「冗談です。それでご相談というのは?」
「もうじき王太子殿下の誕生日と聞きまして」
「確かに王太子殿下の誕生日が近いですね」
「それで、街にプレゼントを探しに行こうと思うんです」
「なるほど・・・。王太子殿下には秘密にされるのですか?」
「そうですね。いきなり渡してびっくりさせたいです」
「では、適当にお使いを頼んだことにしますね」
「リーシャ様。ありがとうございます」
「いえいえ。きっとアンリ様からプレゼントを渡されたら王太子殿下は喜びますよ」
「そうだといいんですけど・・・」
「と。できましたよ」
髪を拭き終わったリーシャは髪をまとめてくれる。
「いつもありがとうございます」
「いえいえ。では、私はこれで」
そう言ってリーシャは退室していった。
リーシャはあくまでメイドとしての立場を守り続けている。
侯爵家の令嬢でありながら王宮でメイドを続けているのは何か理由があるのだろうか。
もう少し親しくなったら聞いてみるのも悪くないかもしれない。
そんなことを考えながら外出の準備を整えた。




