第四十二話
アンリがガスパーに指導を受け始めて1ヶ月が経過した。
現在は体力作りは終わり実技の訓練に入っていた。
「アンリ嬢。いい感じだ」
そう言ってガスパーは剣を振るってくる。
アンリは必死にガスパーの剣を防御する。
「ガスパー様の剣はやはり重いですね」
「最初の頃は数撃受けるだけで精一杯だったがこれだけ防げれば十分だろう」
そ言ってくれてはいるがガスパーが本気で剣を振るっていないのは知っていた。
体に当たりそうになるとぴたっと止まるからだ。
前に1度聞いた時には平然とこう言われた。
「未来の王妃の体に傷を残すわけにはいかないからな」
本気で鍛えてくれていると同時にガスパーにとってはアンリは仕える相手ということなのだろう。
「ガスパー様。アンリ様。今、よろしいでしょうか?」
そう声をかけてきたのリーシャだった。
「何かあったか?」
「はい。アンリ様のご両親が来られております。顔を見せてほしいと国王陛下からの伝言です」
「なるほど・・・。確かにそれは顔を出さねばならぬな。アンリ嬢。動けるか?」
「はい。大丈夫です」
「では、参るとしよう」
リーシャに案内され、王宮を進む。
謁見の間ではなく、個室に案内される。
「こちらの部屋は?」
「プライベートでお客人と会うための部屋です」
リーシャはそう言ってノックしてから扉を開ける。
中には父であるアグニと母であるカニスが国王であるアッカバーンと談笑していた。
「失礼いたします」
アンリはそう言ってから部屋の中に入る。
「よく来てくれたな。座ってくれ」
アッカバーンにそう言われ空いている席に座る。
「アグニ。久しいな」
ガスパーは気安そうにアグニにそう声をかける。
「団長。中々会いに行けず申し訳ない」
「団長はやめてくれ。もう、お主の上司というわけではないからな」
「それにしてもアンリを鍛えていると聞いて心配しておりましたが・・・」
そう言ってアグニはアンリを見る。
「どこにも怪我はないか?」
「はい。怪我はどこにもありません」
「ガスパー殿。どこか具合でも悪いのですか?」
「どういう意味だ?」
「ガスパー殿の訓練で怪我をしないなど信じられません」
アグニは本気でそう言っているようだ。
「立場が立場だ。私とて相手によって考えるさ」
「アンリ。辛かった言うんだぞ?ガスパー殿と言えど大事な娘を虐めるようなら叩きのめすからな」
「貴方・・・。アンリを大切にするのはいいですが、邪魔はいけませんよ?」
母のカニスがそうアグニを止める。
この声は本気で怒ってる時の声だ。
アグニの首が「グッギッギ」と音が鳴りそうな動きでカニスの方を向いた。




