第三十七話
「アンリ。食事がまだだろう?」
「そうですね。食事はまだです」
「では、共に向かうとしよう」
「はい」
アンリはマスクウェルと共に食堂に向かう。
食堂には他の王族が既に着席していた。
「お待たせしました」
「いや。構わぬ。アンリ殿。ガスパーとの訓練はどうだ?」
国王であるアッカバーンがそう聞いてくる。
「訓練は厳しいですが頑張れそうです」
「そうか。期待しておるよ」
別に思惑はあるにせよ、傍付きとして一定の力量が求められている。
アンリはそう判断した。
「力の限り挑ませていただきます」
「うむ」
アッカバーンが合図を送ると料理が運ばれてくる。
アンリの料理だけ皆と違っていた。
困惑しているとマスクウェルがフォローを入れてくる。
「これはガスパーの指示だな。消化が良くて量を食べられる物になっているんだ」
「なるほど・・・」
「私もガスパーの訓練を受けていた時は同じメニューだった」
「王太子殿下もですか?」
「あぁ。ガサツに見えてガスパーはその辺の采配に長けているんだ」
食事にまで指示を出してくるということはガスパーは本気でアンリのことを鍛えようとしているのだろう。
「いただきます」
アンリはマナーに気をつけつつ食事に手をつける。
だが、全てを食べきることはできなかった。
「せっかく用意していただいたのにすみません」
「気にするな。無理して食べて体調を崩しては本末転倒だからな」
マスクウェルはそう言ってくれるが食うに困ることもあったアンリとしては作ってくれた料理人や食材を提供してくれている人達に申し訳なかった。
マスクウェルはそんなアンリの気持ちに気がついたのか使用人に声をかける。
「すまないが、残りは夜食に出せるようにしといてくれ」
「かしこまりました」
「夜食ですか・・・?」
「あぁ。消化が良いといっただろう?夜中にお腹が空くと思うからな」
「それも実際の経験からですか?」
「あぁ。実体験からだ」
「なるほど・・・」
アンリはそういうものなのだろうと納得するしかなかった。
「今日はもう疲れただろう?このまま部屋に戻って構わない」
「わかりました。王太子殿下失礼します」
部屋まで付き添うつもりでいたが本人から言われては仕方ない。
アンリは大人しくそのまま部屋に戻った。
服を着替え寝る準備をする。
ベットに横になると眠気はあっという間にきてそのまま眠ってしまった。
マスクウェルの言うとおりに夜中にお腹が空いて夜食を用意してもらう。
女性としてはどうかと思うが中身は男なのだ。
体重なことなど気にせずガッツリと食べてしまった。




