22.魔王の拠点
題名を変えました。
宜しくお願いします!
洞窟を抜け魔王の拠点へ皆で向かうと、変な光景が目の前に現れ思わず立ち止まる。
「おいサバンナ、此処が魔王の拠点で間違いないよな?」
「そうにゃん!」
「それにしても変わった建物ですわね、中はどうなっているのでしょうか?」
「何で出来てるのかしら? 見た事ないわね」
「楽しそう」
------ サーカステント何て見た事ないか。そりゃあそうだよなあ。
思わず溜息が漏れる。何でこんな所にサーカステント? しかも周りが暗くて不気味だ、どちらかといえばお祭りの化け物屋敷みたいだな。
魔王は、日本でサーカスを観に行ったんだろうか。想像すると笑えてくる。サーカス何て普通見に行かないだろ。何考えてるんだ?
「魔王がいるとは思えませんが、とりあえず行ってみましょう。皆気を緩めないようお願いしますわ」
「了解したにゃん!」
「分かったわ」
「最初がいい」
「じゃあ洞窟と同じ並びでいこう、皆怪我だけは気をつけろよ」
「「了解、です、したわ、だにゃん!」」
不気味なテントの中へ入ると、これまた真っ暗で何も見えない。
こえぇ---- 灯りぐらいつけろよな。
化け物屋敷を進むように恐る恐る足を動かせば、いきやりいくつものスポットライトが点灯し明るくなる。目が明かりに慣れてくると、目の前に丸いステージが見えてきて、ちっちゃなピエロが浮かんでいた。
右目に⭐︎があるのを見つけてゴスロリを思い出す。こいつが魔王四天王か? 小学生のハローウィン仮装にしか見えない。
「レディース・アーンド・ジェントルマン! 僕は魔王四天王の1人ジュリーンだよ! 僕のステージへようこそ、皆楽しんで行ってね!」
ハア? ステージ?
ジュリーンが姿を消すと、4足歩行の魔物の上に鬼のような魔物が乗ったままステージへ上がっていく。軽快な音楽が流れだし何故かジャグリングを始めたとたん、空中ブランコが動き新たな魔物が次々と技を繰り広げる。しまいには凶暴そうな動物も現れ、玉に乗り出した。本物のサーカス顔負けのショーに目が釘付けになる。
---- 凄い、迫力が違いすぎる。それにしてもピエロはどこへ行ったんだ? とりあえずこんなショーを見てても意味がない。早く探さないと------
皆に声をかけようとして俺は驚いた。初めて見るであろうサーカスにキラキラと目を輝かせて夢中になっている。隣にいるレーリアの腕を突いたが全く俺に気づかない。
これは精神的な魔法がかかっているのか? このままだと危険だな、どうにか目を離させよう。
「シロ、皆の目をステージから離せられるか?」
「------」
いつもの様な返事はなく、チラリと肩にいるシロを見ればシロもショーに目が釘付けだ。
ハアと息を吐いて、シロをとりあえずミンハの頭の上へ置く。
これまた面倒くさい展開だな。さてどうしようか----
どうするべきか考えていると、急に音楽が消えステージの上にいる魔物や動物の動きが止まる。凶暴な動物がゆらりとこちらへ顔を向けて、そのまま俺達に飛びかかってきた!
やべえ!
「ウィングライジング!」
風が巻き上がり雷が現れ爆発が起きる。ドォオーン! 音が響き煙りが舞う中、俺はステージへとジャンプし思いっきり魔物へ向けて拳を振り下ろした。
魔物ごと床に叩きつけてステージに穴を開ける。四方八方から動物や魔物が飛んできて、俺は身体強化とアジリティラッシュを発動し、次々に技を繰り出していく。新しいナックル武器によって、手刀や掌底打ちでも攻撃出来る。蹴りと連動しながら勢いを殺さずに敵を倒していくと、俺の後ろからデカい魔物が凄い速さで向かってくるのが分かった。
「トルネード」
竜巻を起こしデカい魔物を高く浮き上がらせ、俺は地面を強く蹴って下から拳を突きつける!
魔物の体を貫通し通り抜けると、下降しながら更に拳を振り下ろし床へそのまま叩きつけた。
---- 凄え。威力が半端ないし自由に動ける。バーバラさんのグローブなら負ける気がしねえ。
「あーあ、ショーが台無しだよ。僕の大事な皆をこんなに傷つけるなんて酷いなあ、そうだ! 君の仲間も痛みつけてあげよう!」
ピエロが姿を現し皆へ向けて光の玉を投げつける。
やばい! 俺は足に風を巻きつけて飛ぶ。動かないままの皆の前に出て光の玉を拳で弾いた。
いってえ------
「おい! 目覚ませよ! 攻撃されてるぞ!」
「ハハハっ! 皆は今夢を見てるんだよ、楽しい幸せな夢だから目を覚まさないよ。普通なら君も夢を見てる筈なのにおかしいなあ? ショーが楽しくなかったのかな?」
「夢?! お前何をしたんだ!」
「すぐ教えたら面白くないじゃない。まだまだ魔物はいるんだ、次のショータイムを楽しんでよ」
閉じられていた扉が開き、凶暴そうな馬鹿でかい魔物が3体姿を現す。醜いオークはこれまたデカいトゲのついた鉄球を鎖に繋げて回し始める。ブンブンと音がし始めると俺の方へ投げつけてきた。
ボディハーゲンを発動させて鉄球を受け止める。
やべえ、トゲは避けたけどこんなの何回も受け止めるのは無理だ。フローラだけでも目を覚まさせないと! 鉄球を投げ捨て直ぐ様フローラの元へと向かう。
「おい! 起きろよ!」
フローラの肩を掴んで揺らすが、目を輝かせたまま全く反応がない。
どうすれば良いんだ。このままだと皆やられてしまう。俺は強く拳を握って唇を噛み締めた。
ごめん!
フローラの頬を思いっきり掌で叩く。1度ではダメなのか反応がないので、唇を噛んで更に2.3発叩いた。
「いたっ、私----」
「良かった! 皆夢見てんだ! 守ってやってくれ」
フローラから背を向けて再びステージへ戻る。デカいオーク3体を前に、俺は拳に魔法攻撃を纏わせた。
けたたましい叫びを上げながら向かってくるオークの首へ手刀で攻撃し体勢を崩すと魔法攻撃を纏わせた逆手で拳を振りあげる。
ドォオオーン! 爆発を起こし爆風を上手く利用して違うオークへ勢いをつけたまま突っ込む。俺の体を受けてグラついたオークの体へ拳を連発し、腰を捻って頭へ思いっきり蹴りをお見舞いする。地面へ叩きつけるよう足に力を入れて振り下ろしたが、オークが急に体勢を立て直し俺に拳を向けてきた。
やばっ。
バァーン! 体が飛んでいきステージ横にある壁へ突っこむ。
いてえ、何て威力だよ---- 背中に痛みが走る。視線をオークに戻せば鉄球が俺の目の前まで迫っていた。
攻撃を受けると思い、慌てて目を瞑り手をクロスさせて衝撃がくるのを待ったがいつまで経ってもこない。ふと片目を開けると、俺の目の前に光の壁があって鉄球は地面に落ちていた。
「フリーズラッシュ!」
「ウィンドウカッターにゃ!」
レーリアとサバンナが勢いよく飛びだしオークへ向かっていくのが見える。攻撃が終わり2人が後ろに下がった瞬間、土砂降りのように岩と炎が降り注いだ。
「ヒール! 夕間様、大丈夫ですか?」
「ミィ〜!!」
「ああ、対してHP は減ってない。それより皆目が覚めたんだな。良かった」
「夕間様のおかげです、有難う御座いました。皆には状態異常を解除する魔法をかけておきましたわ」
「助かる、フローラはここからサポートしてくれ。シロ、お前もここにいろ」
「分かりました」
「ミィ〜」
息を整えてからオークへと走り出す。ミンハさんの魔法攻撃が終わるのを待って俺は攻撃を再開した。
「ダークチェイン トリプル」
オーク1体ずつに鎖を巻き付け動きを鈍くする。アジリティラッシュを使い、膝をつけてるオークへ拳を連続して振り下ろした。電流を強く流し思いっきり脳天めがけて拳を叩きつける。
咆哮を上げ倒れていくオークから離れ、残り2体へ体を向け皆へ指示を出す。
「おい! サバンナとミンハさんはそっちをやってくれ! レーリアは俺とこいつを倒すぞ!」
「了解だにゃん! ウォータースクリューにゃ!」
「えいっ!」
「レーリア! オークの体が鈍いうちに傷をつけろ!」
「分かりました、行きます!」
炎を纏わせ真っ赤に燃える剣を握り、レーリアは舞うような動きで的確に傷をつけていく。俺はレーリアがつけた傷へ電流を流し込むように殴り続けた。
オークが体を震わせ巻きつく鎖を壊した瞬間、レーリアへ向けて拳を振り下ろす。レーリアは盾を使い拳を横に流すとオークの体に剣を突き刺し魔法を発動させた。
「フリーズフレイム!」
オークの体が急に激膨れ上がり、ボコボコと体の表面に凹凸が出来ていく。レリーアがさらにオークへ剣を突き刺し声を上げた!
「やああ!」
オークの体が更に膨らんで内側から氷が飛び出すと、一気に破裂していき体が爆発する。レーリアは飛んでくるオークの体を盾で受け止めながら俺へ満面な笑顔を向けた。
------ レーリアの動きが良くなった、流石団長だな。教えて直ぐに実戦で使うとは---- 洞窟の移動中、スキルや魔法の連動、攻撃の仕方を一人一人の属性やステータスに合わせて指導してきた。大蛇の時のような傷を皆に負わせない為だ。
もう一体のオークへ視線を向けて、ミンハさんとサバンナの動きも見てみたが、上手くスキルを使って攻撃している。サバンナは勘が良いのか、ブーツの力を上手く利用し空中を散歩するようにオークへ攻撃していた。
---- 教えて正解だったな、動きが全然違う。これなら任せても大丈夫だ。
「フローラ! 俺とレーリアは四天王のとこ行くから、サバンナ達が終わったら連れてきてくれ!」
レーリアを連れてピエロを探す。テント内を走り回ってみたが何処にも見当たらない。
「何処に消えたんだ?!」
「夕間殿、あそこにっ!」
レーリアが指差す場所はテントの真ん中にある支柱の上。座ったまま愉快そうにオークと戦うサバンナやミンハさんを見て笑っていた。
「あいつ、あんな所で見てたのか!」
俺は風を巻き起こしピエロに向かって放つ。風にバランスを崩したピエロは不機嫌そうに口を尖らせてこちらを見てきた。
「何? 僕の邪魔をするつもり? そんな事許せない!」
俺達へ顔を向けたまま、ピエニは組んでいた手を下に向けて光を放ち始める。
「死んじゃえ! バーニングワンダー!」
凄い威力の魔法が勢いよくピエロの手から離れ下に落ちていく。魔物毎飲み込むような大きい光はミンハさんとサバンナをも飲み込んだ!
「やめろー!!」
光が破裂しけたたましい爆発音と爆風が襲ってくる。
レーリアと爆風に耐えながらも皆が無事か心配になり、風を起こしてステージに上がる煙りを散らした。
読んで頂き有難う御座います!




