18.ここほれわんわん!
ブクマ頂き有難う御座います!
「ミィ〜」
まどろんでいると大蛇の鳴き声が聞こえ目を覚ます。目を開くと目の前に真っ白な蛇がいて思わずぶん投げてしまった。
------ ビ、ビビッたあー。いきなりは勘弁してくれよ---- 焦ったじゃねえか!
ハアハアと息を吐きながら仰反っていると、ぶん投げた蛇がパタパタと羽を動かしながらニョロニョロとこちらに戻ってくる。地面から浮かない所を見るとどうやらまだ飛べないようだ。
体を起こし胡座をかきながら蛇を見ていれば、俺の前でにゅうっと頭を上げてつぶらな瞳を潤ませながら見てくる。
「ミィ〜〜」
おお! 中々可愛いもんだな。生まれた後ってどうするんだっけ---- そうそう名前だよ! 何がいっかなあー。
色々と考えてはみるものの格好良い名前が思う浮かばない。自分のセンスのなさに嘆きながらも考える事が面倒くさくなってきた。
ま、簡単でいいか。白蛇だしシロにしよう、犬みたいだけどいいよな。
「お前の名前はシロだ」
「ミィ〜〜!!」
蛇の頭に緑の光が出現しおでこに模様が刻まれていく。幾何学模様の様な複雑な模様を見つめていると、俺の手にも緑の光が集まりだし甲の所にシロと同じ模様が浮かび上がった。
------ 凄え、どうなってるんだ? こんなの初めてだ。使役出来たって事で良いのかな?
「シロ、これから宜しくな」
「ミィ〜」
何か軽く感動してきた。ちゃんと返事してくれるんだな。それにしても、大蛇は強かったけどシロはどうなんだろう。
「なあシロ。ステータスとかってシロにもあるのか?」
「ミィ〜!!」
シロはパタパタと小さな羽を動かすと、おでこの模様が光だし円形状の光が頭の上に現れた。
おっ、見れるんだなー、どれどれ----
======== シロ =========
LV 10
HP 350
MP 180
属性 毒 光
勇者のペット
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ハア。期待しすぎた---- それにしても勇者のペットって----
シロにステータスを見せてくれた礼を言うと、羽をパタパタと動かして体を弾ませながら喜んでいる。弾ませた体をバウンドさせて俺の肩に飛び乗り頭をスリスリとしてきた。
「夕間様、おはようご---- ざいます?」
「おっはようーにゃん! わ、わ、蛇にゃん!」
「どうしたの? あら、可愛い蛇ね」
「むー」
「皆、おはよう、さっき卵から孵化したみたいなんだ。名前はシロ。シロ、俺の仲間だ」
「ミィ〜!!」
「シロ---- 私はフローラと申します。宜しくお願いしますね」
「にゃあ! サバンナだにゃん!」
「レーリアです。以後お見知りおきを」
「ミンハ」
「それにしても---- このおでこの模様はなんですぅ? 大蛇にはなかったにゃん!」
「そうですわね。逆に頭の上に輪っかがないようですけど----」
「シロに名前をつけたら模様が入ったんだ。ほら、俺の手と同じ模様だろ?」
「え? 夕間殿はシロと契約をされたのですか?」
「ずるい」
「にゃにゃあ?! 本当にゃん、模様が一緒だにゃん!」
「モンスターと契約だなんて----」
「俺、何か変な事した?」
「「モンスターと契約だなんて普通しません!!」」
あり得ないとフローラがブツブツと1人で呟く中、肩にシロを乗せたまま出発の準備を始めた。とりあえず今日は洞窟を抜けて進める所まで行く予定だ。
青いクリスタルに囲まれた美しい広場を目に焼き付けてから、奥の道へ入り歩き続ける。昨日とは違い特に何事もなく歩いていくと、大人しく肩に乗っていた筈のシロが急に地面へ飛び降りて鳴き声を上げた。
ミィ〜と鳴きながら近くの壁に向かって鳴いている。シロへ近寄って壁を見てみるとクリスタルがそこだけ無くどうやら土壁のようだった。なんとなしに拳に力を入れて壁を思いっきり殴ってみれば、簡単に音を立てて崩れ始めた。
目の前に現れた暗闇に目を向けるが何も見えない。
フローラが光の玉を出して中に投げると、どうやら道が続いているようでシロがニョロニョロと中へ進んでいった。
「何があるんでしょうか?」
「匂いは何もしないですぅ」
「そうねえ。入ってみますか?」
「ユーマ、いこ」
「そうだなあ、入ってみるか」
フローラにの光を頼りに細い道を進んでいくと、クリスタルに囲まれた道は険しく中々前に進む事が出来ない。坂や下りをいくつも超えながら進んで行けば、眩い光が奥の方から差し込んでくるのが分かった。
ドキドキと胸の音を立てながら光が差し込む場所に辿り着き、目の前に大きなクリスタルが現れる。クリスタルは光り輝き眩しかったが上の方まで見上げると虹のような7色の光が空中にゆらゆらと揺れていた。
------ でっけえ!! 一体何なんだ?!
「ミィ〜!!」
パタパタと羽を動かすシロに近づき首を傾げる。シロは俺が来たのが分かるとクリスタルの下に開く穴へと顔を向けた。俺はシロが指しているであろう穴を覗き込む。暗くて見えずらいが何やら箱のような物があるのを見つけて驚いた。
------ 箱?! 宝箱か? RPGみたいじゃねえか! 今まで宝箱なんてなかったよな---- 中に何入ってんだろう。
チラリとシロを見れば褒めて! というような目で俺をみている。俺はシロの様子から花咲爺さんを何故か思い出した。
シロなんて犬みたいだなとは思っていたけど---- ある意味そうだったな。
シロの頭を撫でてやると、俺の足にスリスリとすり寄ってきて、もはや犬にしか見えない姿に何だか呆れてしまう。
「ユーマ、何?」
「あ、ごめん。中に何か箱があるみたいだ」
「にゃあ! 私が取ってきますぅ! ちょっと待っててにゃん!」
「何が入ってるのかしら? 楽しみね」
「勝手に開けて良い物なのでしょうか? 誰かの持ち物では?」
「ミンハ見たい」
「気になるわよねえ。私も見たいわ」
「とりあえず見てから決めようか。鍵が掛かってるかもしれないし」
「にゃうん! 持ってきたにゃんー、ふにゅう疲れたにゃ」
サバンナの体よりも大きい箱がドンっと俺達の目の前に置かれる。箱の開け口を探して見てみれば鍵はないようでどうやら普通に開くようだ。
「サバンナ、まだ力はあるか? レーリアと俺と3人で箱を開けよう」
「あいあいさあ!」
「任せて頂戴」
3人で話して決めた配置につき蓋に手を置いて力を入れる。
「そーので開けるぞ! せーのっ!」
想像よりも軽い蓋を3人で持ち上げて地面へと落とす。ドキドキしながら箱の中へ視線を向けて中を覗いた。
箱の中にはマントやら武器が入っていて奥の方には見た事がない虹色の鉱石まである。地面に入っていたのを並べていくと、剣、杖、ローブ、マント、防具一式、盾、ブーツ、虹色の鉱石の計8点が箱の中に入っていた。
「凄いわね、私剣が欲しいわ」
「ミンハ、杖」
「新しいブーツが欲しいにゃん!」
「貰って良いのでしょうか?」
「大丈夫だと思うよ、俺はこの鉱石が欲しいな」
「フローラ様は何にするにゃん?」
「私は---- ローブが気になります----」
「それでは残りがマントと防具、盾ですね。どうしましょうか」
「俺としては防具をサバンナ、盾はレーリア、マントはミンハさんにあげたいかな」
「盾ですか? 使った事がないですね」
「そうだろうな---- 盾があれば前に出れるぞ? 盾でもアタックは出来るからな」
「アタックですか、それなら使ってみようかしら」
「防具貰っていいにゃん?!」
「サバンナには必要だろ、昨日の事もあるからな」
「マントデカい」
「ハハっ。後で調整してやるよ」
「夕間様。本当に貰って大丈夫でしょうか?」
「大丈夫だって。こういうのは貰っていいんだよ、後でまたゆっくり見ようか。とりあえず洞窟を抜けよう」
各自手にした物を身につけたり手に持ちながら元来た道を戻る。元の場所に出て奥の道をひたすら歩いて行くと出口が見えてきた。
外に出れば外の空気が気持ちいい。太陽の日差しを浴びて一息入れてから、サバンナが指差す方へ歩みを進めたものの何だか森の中が暗くなってきた。葉の色は変色し木の幹の色も黒っぽく、魔女がいそうな森の中は何だか不気味だ。警戒しながら少しずつ進んでいくと、スッと何が通り過ぎていく気配を感じた。
「おい、今何かいたか?」.
「いえ、何も気づきませんでしたが----」
フローラと会話中、またスッと何かが動く気配を感じる。立ち止まり目を閉じたまま神経を研ぎ澄ませてみれば、やはり何かが俺達の周りを動いているようだ。俺は身体強化をかけてジッとしながら更に五感を研ぎ澄ます。
何かが動いた瞬間、俺も地面を蹴って何が動いた方向へ走りながら風を送る。風によって動きを止めたのか、何かが地面で丸まっているのが見えた。目を凝らしてよくよく見れば、布から尖った耳が見えエルフのような耳に驚きながら足早に近づく。布を掴み剥がして見ると金髪のエルフが地面に蹲っていた。
------ なっ、なんでエルフがこんな所にいるんだ?!
蹲っていたエルフはこちらを振り返りながらキッと睨んでくる。男か女か分からないが、ミンハさんくらいの体格で睨まれても全く怖くない。何か面倒な事になりそうだなと思っているとエルフが口を開いた。
「何しにきた!」
ええーっと、ここはエルフの生息地か何かなのか?
周りを見渡すが暗い森のままだ。魔女なら分かるけど、こんな所にエルフがいるか? もっと森が綺麗なとことかあるだろうに----
「早く言え! ここに何しに来たんだ!」
「ユーマ、見つけた」
俺を追いかけてきたようで、ミンハさんに続いて他の3人も俺へ向かって歩いてきた。
「お前達は何者だ! ここに何しにきたんだ!」
どうしたもんかと悩んでいると、フローラが俺の横に来てエルフと同じ高さになるよう膝をおってしゃがんだ。
「私はジュラ王国、王女フローラです。私達は魔王を討伐する為旅をしております。魔王の拠点へ向かう為ここを通り洞窟へ向かう予定です」
「王女---- お前、王女なのか?! 本物か?!」
「そうですわよ。フローラとお呼び下さいませ」
「すっげえ! ばあちゃんに会わせてやりてえ!」
「お婆様ですか?」
「そう! ばあちゃんと2人でこの森に住んでるんだ!」
「そうでしたの。通らせて頂いてますからご挨拶に伺いましょうか。貴方のお名前は?」
「やったあ! 俺の名前はシンリーっていうんだ!」
「ではシンリー、案内をお願い出来ますか? 皆も良いかしら?」
フローラの問いに全員で頷く。俺は男の子だったのかとしみじみ思いながら、シンリーとフローラについていった。
暗い森が一層深くなり、陽の光も届かない場所まで来ると何だか不気味に思えてくる。果たしてついていって大丈夫なのだろうか---- シンリー自体は悪い奴に見えないが周りの雰囲気がヤバすぎるな。お化けが出てきても当たり前なぐらい不気味な森を歩いて行くと、目の前にどう見ても怪しい一軒家が見えてきた。
見るからにボロボロの石造りな家はもはや廃墟でしかない。屋根にある煙突から煙が見えて、人が住んでるんだとやっと思えるくらいだ。
皆も流石に気味が悪いのか口を開いたままボロボロの家を見上げている。王女であるフローラだけは笑顔を顔に貼り付けたままやり過ごしているようだった。
「ここが俺の家だ! 皆遠慮せず上がってくれよな!」
シンリーの口角がニィッと上がるのを見てシンリーでさえも不気味に思えてくる。ゾッとしながらシンリーとボロボロの家を交互に見た俺は、喉を鳴らしてどうするべきか悩んでしまった。
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