17.決着!大蛇の卵
「フリーズフレイム!」
レーリアから沢山の氷の大粒が大蛇へ飛んでいったと思ったら炎が現れ一気に膨れ上がり大きな爆発が起きる。
気になっていた必殺技が一つの攻撃ではなく連続攻撃だったとは---- 想像よりも強い攻撃に良い意味で裏切られついワクワクしてしまう。俺もレーリアの攻撃に便乗するかのように分身と共に魔法攻撃を発動させ同時に放った!
「「ライトニングボム」」
ドドォォーン!!! レーリアの爆発と合わさり威力を増した攻撃は大蛇に命中しけたたましい音が響き渡る。地面に強い振動が生じ、爆風で洞窟のクリスタルが弾け飛んだ。
大蛇の周りに煙が舞う中、ミンハさんがハンマーの様に大きくなった杖を持って走り出す。勢いをつけたままジャンプすると思いっきり大蛇へ杖を振り下ろした。バァーン! と音を立て叩きつけられた大蛇はそのまま凄い速さで地面に落ちていく。
チャンスといった雰囲気でサバンナは二イッと口角を上げて大蛇へ双剣を向けると突如現れた虹色の壁によって攻撃が弾かれた。
「ミィ〜!」
大蛇の天使の輪が金色に輝き始め、まん丸の黒目からビームの様な鋭い光が放たれる。ビームは一直線に長く伸びていき凄い早さでサバンナへと向かっていった。
「サバンナ!」
ビームがサバンナに直撃したのを見て俺はアジリティラッシュを使い駆け出す。倒れていくサバンナを抱き抱えてその場から離れると今度はレーリアやミンハさんに向かって大蛇がビームを放った。
「ライトウォール!」
フローラの光の壁が現れ直撃を免れたレーリアが剣を構えて大蛇へと走り出し攻撃を仕掛ける。ミンハさんもレーリアに続いて炎を杖に纏わせたまま大蛇へと向かっていった。
2人の戦いから目を離し、抱き抱えたサバンナの体を確認する。お腹の辺りが血で滲み呼吸が上手く出来ないのか顔を歪ませたまま意識を飛ばしているようだ。サバンナの弱々しく苦しむ姿に胸が痛くなる。
---- くそっ! このままじゃやばい。
「フローラ! ヒーリングスポットを展開してくれ!」
「分かりましたわ! ヒーリングスポット!」
俺達を中心にして淡い光が円形状に広がっていく。サバンナの傷に強い光が集まり血が消えると呼吸が安定してきた。
------ とりあえず大丈夫そうだな。良かった。
俺はサバンナを地面に寝かせて、怒りを感じながら大蛇の方へと歩き出す。ミンハさんとサバンナは大蛇の攻撃をスレスレで交わしながら傷を確実につけているようだ。
分身と共に身体強化を掛け直し、強く握る拳へ電流を流したまま2人が大蛇から離れるタイミングを待つ。
苛々が止まらねえ---- 何だよあのビーム、毒じゃねえのかよ。
サバンナの先程の苦しむ姿を思い出して奥歯を噛み締めた。いつも明るいサバンナの弱々しい姿は痛々しく、大蛇へやり返してやらないと気が済まない。
「ライトアロウ!」
前より威力を増した光の矢が大蛇に凄いスピードで向かっていく。ミンハさんとレーリアがフローラの矢に気づき大蛇から離れると、大きくなった光の矢が大蛇へ突き刺さった。
「ミィ〜〜」
大蛇の体が傾く。俺は分身と共に地面を強く蹴って、スピードをつけたまま大蛇に向けて思いの丈をぶつけるよう拳を振り下ろす。大蛇の鳴き声が耳に届いたが気にもとめずそのまま逆手の拳を突き上げた。
俺の攻撃を受けて後ろに飛んでいった大蛇をすかさず追いかける。近くまでいくとまた大蛇の姿が突然消えたので、慌てる事なく後ろにいる分身の視覚を通して大蛇を探す。
大蛇が俺の後ろにいるのが見えたので、俺は腰を捻って回し蹴りを分身は電流を纏う拳を突き出して大蛇を挟みうちにする。蹴りを入れた勢いを殺さずにそのまま拳で思いっきり大蛇を殴った。
再び移動する猶予を与えないよう、俺はヘヴィスタンスキルを発動させ分身と交互に何度もスピードを上げて拳を振り下ろす。殴り続けていると大蛇は気絶したように地面へと落ちていった。
「ダークスワロウ」
地面に闇が広がり大蛇を飲み込んでいく。ダークスワロウは動きが少なくなった敵を飲み込みHPを大幅に削る事が出来る必殺技。動きが早い敵に使えないのは残念だが、スタンさせるスキルと相性が良く連動させやすい。俺はライトニングボルトを拳に纏わせたままじっと大蛇を見つめる。
「ミィ〜」
弱々しい鳴き声が耳に届いた瞬間、俺は反射的に拳を握りしめ大蛇を殴り爆破を起こしながら思いっきり蹴とばす。最後の爆破が効いたのか、大蛇はクリスタルの壁へそのまま勢いよく突っ込んでいった。
やったか?
気を緩めずに様子を見ていると大蛇が体を震わせ始めた。プルプルと震える大蛇の体が光だし、目からだけでなく体全体から四方八方にビームが放たれ俺に凄い速さで向かってくる。
------ いってぇ。かすっただけでこれかよ。
いきなりの攻撃に頬や肩に痛みが走ったが直ぐに避けた為直撃は免れた。ミラーボールの様に動くビームを避けながらミンハさんやレーリアが心配になり視線を送ると、光の壁の後ろで2人とも地面に両膝をつけて苦しそうに蹲っている。それを見た瞬間、ドロリと黒い感情が胸に広がり怒りの感情が急速に湧いてでた。
------ ふざけんなよっ。絶対許せねえ!
「フローラ! 2人にヒールを頼む、俺が倒すから絶対前に出てくんな!」
ビームを放ち続ける大蛇を睨みつけたまま、スキルを全て発動し拳を握り締める。分身を消して息を吸うと、俺は右手を前に出して大蛇から受けたビームを放つ。一直線に伸びてくビームは大蛇を貫通したが威力が強すぎて真っ直ぐ保つ事が出来ない。8の字を描くようビームを動かしながら大蛇へ攻撃していると、大蛇からのビームは消え何故かクルクルと回り始めた。
今だ!大蛇へ飛びかかり拳に力と電流を込めて思いっきり殴る。そのままマウントを取るよう大蛇の上に乗っかり、更に電流を拳に纏わせて殴り続けた。
大蛇は力が残っていないのか攻撃してくる気配はなく微かに体を揺らしているだけ。俺は残る力を全て拳に溜め込むよう強く握り魔法攻撃を纏わせて叫んだ。
「これで最後だ! ライトニングボム!」
威力そのままに大蛇へありったけの力を込めて拳を振り下ろす。ドドオーン! と爆発と爆風が起き自身が起こしたのにも関わらず体が吹き飛んでしまったが、地面にどうにか着地し煙らが舞う中大蛇の姿を探した。
------ どうだ? 終わったか?
煙の中から赤い光がチラチラと見え始めたので風を起こし煙を散らす。大蛇の体は赤い光に包まれ地面から空中へと浮き上がり砂時計のように赤い粒となって消えていく。青いクリスタルの洞窟の中で赤い光の粒が舞い、反する色合いにも関わらず美しいコントラストを作り上げていた。
------ 無事倒せたか。光が凄え綺麗だな。
「にゃ、にゃあー? 終わったにゃん?!」
サバンナが意識を戻したのが声で分かり、ホッと胸を撫で下ろしながら視線を送るとフローラが皆にヒールをかけていた。いつもの様子と変わらない3人の姿を見て体から力が抜けていく。
安心して青と赤のコントラストを見ながら光が消えるのを待っていると、赤い光の粒がフウッと奥の道へ動き始めた。
------ 何だ? どこに行くんだ?
赤い光の粒を目で追っていけば道の横にある大きな穴へと入っていく。気になった俺は赤い光の粒を追いかける事にした。
「俺ちょっと行ってみるわ! 皆は休んでてくれ!」
不安になる様な真っ黒な穴を慎重に降りていくと、大蛇の巣なのか紫の毒ガスがあたり一面に充満して視界があまり良くない。ドロドロとした透明な液体が天井から垂れてきて俺の頬にあたった。
---- 凄え! まさにファンタジーだ、こんな場所見たことねえ!
毒解除の魔法を使い更に足を進めていけば、モンスターの骨らしきものや、千切れた服に錆びた武器まで地面に落ちている。楽しくなり足取りを軽くしてどんどん進んでいくと、霧ではっきりは見えないが奥の方に赤い光を見つけた。赤い光に導かれるよう足を動かし広まった場所にでれば、紫と白が縞々に入った卵が目に映りドキドキが止まらない。
------ 大蛇の卵か?! モンスターの卵は初めてだな! 流石は伝説の大蛇だ。そういえば蛇って卵から生まれるんだっけ?
赤い粒が卵に消えていくのを見ながら考えていると、後ろの方から皆の声が聞こえてきた。
「凄い所ですね、こういった場所は初めてです」
「毒ガスが充満していてミンハがいないと来れないわね」
「興奮する」
「にゃう〜 ちょっと怖いにゃん。勇者様はどこにゃん?」
皆も来たのか---- 体は大丈夫なのか? まあ気になるだろうし仕方ないか。
「こっちだ!」
皆が俺の声を聞いて駆け寄ってくるのが分かる。縞々の卵を目にして皆も驚いたのかいつもの様にはしゃぎ始めた。
「卵」
「きっと大蛇の卵だにゃん!」
「大蛇は卵を産む為にこちらの洞窟へ来たのでしょうか?」
「そうねえ。それならここにいた理由も分かるわね」
「凄いにゃん! 持って帰るにゃん?」
「そうですね、この卵は食べれるのでしょうか? 美味しいのかしら?」
「割ってみたい」
「ふふ。ミンハは可愛いわね」
んー、どうするかなー。
卵ってアニメとかなら生まれたモンスターを使役出来たりするよな? 確か温めるか魔力を流すんだっけ? 蛇を使役ってあまり聞かないけどモンスターを連れて歩けるならちょっとやってみたいな。何より楽しそうだ。
「この卵、俺が貰っていいか? 試したい事があるんだ」
「良いですわよ。夕間様がお持ちになって下さい」
「にゃん!」
「ええ、私もいいですよ」
「ずるい」
------ ミンハさんの目が怖い。ま、元気になったって事だな。皆大丈夫そうだしとりあえず卵を運ぶか。
俺は卵に手を伸ばし両手で抱き抱える。想像よりも軽くすべすべしているので気を抜くと間違えて落としてしまいそうだ。ワクワクしながら卵を抱えて先程の泉がある広場に戻り一息つく。俺の体はフローラのヒールによって体が光に包まれた。
皆がこの場で野営するか話している間、俺は話しもそこそこに卵へ魔力を流し込んでみる。抱き抱えて温めたり魔力を流しても何の反応も見られないので、一旦卵を置いて野営準備を手伝う事にした。
携帯食で食事を簡単に取り、明日の予定だけ確認して皆テントへ入っていく中、サバンナは座ったまま動かない。怪我した時ぐらい休めよっ、と言いながら無理矢理テントへ突っ込んだ。
俺は再び卵を抱いて泉の近くに腰を下ろし青いクリスタルの広場を見て息を吐き出す。
流石の俺も少し疲れたな---- よく分からねえ攻撃もあったしヘビが脱皮して天使になるっておかしいだろ。サバンナの傷なんてフローラが居なかったらヤバかったしな。
今までも傷や意識を飛ばした仲間を見た事はあるが、あんな気持ちになった事はない。女の苦しむ表情を初めて見て胸が痛くなった。戦い方をもっと教えないとダメだな。あんな思い2度としたくない。
それから何故か昔の事を思い出しながら、一晩中卵に少しずつ魔力を送り続けた。
読んで頂き有難う御座います!
ゲームでオトモは鉄板ですが、着る服とか考えるのが楽しいですよね。




