第十六話 我が儘な正義
俺の名は天野達也、グラスレス王国に召喚
された勇者だ。まあ、俺が勇者なのは当然だ。
もといた地球では銀河帝国とかいう異星人共と
戦うファイヤーレッドとかいう何も守れない
クズが英雄視されていたがここでは違う。
(あのクズは逃げ出した。力を持っているくせに
この国を見捨てた臆病者だ。なにを偉そうに
この世界を救って見せろだ。俺はお前のような
クズとは違うんだ。完璧に救ってやるさ。)
俺の妹を守らなかったクズとは違う。
奴は初めから強い力を持っていたようだが、
俺達は自分で努力しなければならない。
刻印とやらは初めから力をくれる物ではなく
訓練などで得られる経験などに補正がかかる
物らしい。だが、それでいい。
(そうだ、ただ与えられた力を無自覚に
振るっていたクズとは違うんだ。俺は努力
して強くなる。それが正しい強さだからな。)
召喚された初日にクズからいわれなき暴行を
受けたが、神官とかいう連中が治療してくれた。
だが、俺の男としての機能は失われてしまった。
連中がいうには精神的な物らしい、、、。
(本当に忌々しいっ!あのクズ野郎っ!)
召喚された夜、部屋には優奈と優二が共にいた。
本来なら2人きりにしろと優二に言いたいが、
どうせ2人きりでも今は優奈を抱けないし、
こいつも1人では不安と言うから許してやる。
(本当ならあの時のデートで優奈を抱くはず
だったのにあの事故のせいでおあづけを食らった
ままだ。あのクズがしっかり戦ってれば今頃は
皆幸せだったのに役立たずなクズだっ!!)
その日は優奈と優二は自分の部屋に戻った。
俺は1人で眠りについた。
翌日から俺は剣の訓練、魔法の訓練を受けた。
どちらもそう簡単にはいかなかった。
何も上手くいかずに疲れただけだった。
優二と優奈はそれぞれ魔法を習得したようだ。
(ちっ、どうやら勇者の刻印は大器晩成型か。
俺が他より劣るはずはないからな、、、。
それとも何か覚醒の条件があるのかもしれないな。)
それとゴリラも何らかの力に目覚めたようだ。
(どうせ雑魚に相応しい下らない力だろうが。
大体奴は自分の容姿を解っているのか?
リリアーナ姫に色目を使っているようだが馬鹿なのか?
どう考えてもあれは勇者である俺の物だろう。
今はクズのせいで抱けないが、いずれは俺の女になる。)
自分を理解していない身の程知らずを嘲笑い
初日の訓練を終える。
そして訓練の日々が1か月ほど過ぎた。
俺の剣の腕は兵士相手に勝てるようになり、魔法も
勇者に相応しい光の魔法を習得していた。
だが俺以外の3人は俺以上の力を手に入れていた。
(くそっ!何故俺以外の奴等が強くなるんだっ!?
優奈はまだいい、回復の力は俺に必要だからな。
だが優二が俺より強くなるのはいただけない。
あいつは俺の後ろをついてくるべきなんだ。
俺より前に出るなんて許せるはずないだろうっ!
あのクズとも勝手に仲良くなったみたいだし、
あいつも少し調子にのっているようだ。
あのゴリラも同じだ、少し強くなったからと
城の兵士達とつるんで色々やってるみたいだ。
俺の本当の力が目覚めたら1度優二とゴリラには
自分の立場を教える必要があるか。)
訓練が終わって城に戻ると城内が慌ただしい。
何があったのか兵士に尋ねると隣のバッハルトが
攻めてきたらしい。
(これが俺の覚醒のためのイベントか。
くっくっく、丁度いいタイミングじゃないか。
これで俺はもっと強くなるはずだ、俺は勇者だからな。
そう、完璧な勝利をもたらし俺は英雄になるはずだ。
そして男としての尊厳も取り戻すだろう。
覚醒さえすれば、あのクズもいちころだろうしな。)
俺は戦場に行くことを王に告げる。
他の3人もついてくるように言う。
お前達は俺のサポートをするために召喚されたのだから
俺に従うのが当然なんだ。
優二と優奈は初め難色を示したが俺がこの国のためだと
強く言うと納得してついてくると言った。
ゴリラは姫に頑張りますといってやる気満々だった。
(今はかなわぬ夢を好きに見てろ。
この戦いから帰ってきたらその女は俺の物だ。
精々みせつけてやるさ、はっはっはっはっ!!)
俺達は戦場に向かった。




