一人でやることが自立ってわけじゃない
アイリンには、また一つ腹立たしい習慣ができていた。
人に助けを求めるようになったのだ。
いつも、というわけではない。
そこまで大げさに言うつもりはない。
でも、私が心配になるくらいには増えていた。
それは土曜日のことだった。
朝から右脚がいつもより重く、疲れるのも少し早かった。大したことではない。ただ、わざわざスーパーへ買い物に行きたくなるような状態でもなかった。
残念ながら、食料品は必要だった。
アイリンはキッチンに立ち、買い物リストを眺めていた。
私はすぐに提案した。
「明日にすれば?」
「無理。夕食に必要なものがあるから」
「じゃあ、必要なものだけ買って、すぐ帰ってくればいい」
アイリンは少し考えた。
そのとき、スマホの画面が光った。
アンドレアからだった。
今日の午後、あなたの家の近くに行くんだけど。何か必要なものある?
まずい。
アイリンが何を考えたのか、私にはすぐわかった。
「やめて」
アイリンがスマホから目を上げた。
「何を?」
「一緒にスーパーへ行ってなんて頼まないでよ」
「まだ何も言ってないけど」
「言おうとしたでしょ」
否定しなかった。
私は急いで説得にかかった。
「アンドレアにだって自分の用事があるんだから。スーパーくらい一人で行けるでしょ」
アイリンはもう一度、買い物リストを見た。
この理屈は、いつもなら効いた。
長年、人に迷惑をかけたくないというのは、私たちの中でも特に信頼できる方針の一つだったのだ。
ところがアイリンはアンドレアへの返信画面を開き、こう打った。
実はお願いがあるの。スーパーに行かなくちゃいけなくて。一緒に来てもらってもいい?
私は愕然とした。
「本当に頼んだの?」
「うん」
「一人でも行けたでしょ」
「うん」
「じゃあ、なんで頼んだの?」
アイリンはスマホを置いた。
「助けてもらえると楽だから」
恥ずかしそうでもなかった。
謝りもしなかった。
脚のことを長々と説明して正当化することもしなかった。
ただ、それだけだった。
助けてもらえると楽だから。
そんなことをあまりにもあっさり認める人間に対して、私は反論を用意していなかった。
少しして、アンドレアから返信が来た。
もちろん。迎えに行くよ。
アイリンは微笑むと、出かける準備を始めた。
私はスマホを見つめた。
恐ろしいほど簡単に済んでしまった。
…
一時間もしないうちに、アンドレアが迎えに来た。
車へ向かいながら、彼女が言った。
「言ってくれれば、私が買ってきたのに」
「わかってる。でも、自分で行きたかったの」
「じゃあ、行こう」
それだけだった。
犠牲もない。
友情についての感動的な宣言もない。
アイリンに付き添うためにアンドレアがどれほどのものを犠牲にしたのか、誰も話題にしなかった。
がっかりだ。
スーパーではアンドレアがカートを押し、アイリンが必要なものを選んだ。
途中でコーヒーについて揉めた。
アイリンの好きな銘柄を、アンドレアは「倫理的にも、美的にも、個人的にも受け入れられない」という理由で却下した。
「ただのコーヒーでしょ」
「ひどいコーヒーよ」
「うちで何年も飲んでたじゃない」
「私は礼儀正しいから」
私はアンドレアが好きだった。
帰りには、重い袋をアンドレアが持った。
その瞬間だった。
アイリンの中に、あの懐かしい感覚が生まれた。
やっと来た。
こんなことまで助けてもらう必要なんてない。
私はすぐに続きを展開しようとした。
ところが、その前にアイリンがアンドレアを見た。
「ありがとう」
「どういたしまして」
二人はそのまま歩き続けた。
……え?
それだけ?
アイリンは助けが必要だった。
アンドレアが助けた。
アイリンは「ありがとう」と言った。
誰もアイリンの人間性を評価しなかった。
誰も彼女から自立の資格を剥奪しなかった。
心配そうな顔をする人すらいなかった。
あまりにも何も起こらなさすぎて、私はかえって怪しく感じた。
…
アパートに戻ると、アンドレアは買い物袋をキッチンカウンターに置いた。
「ほかに何かある?」
「ないよ」
「本当に?」
「うん」
アンドレアはアイリンを指さした。
「休むのよ」
「そうする」
私は危うく口を挟みそうになった。
でも、前回「休む」という行為に反対したとき何が起きたかを思い出した。
最近、私の労働環境は非常に厳しい。
アンドレアが帰ったあと、アイリンはいくつかの食料品を片づけ、座った。
私は彼女を観察した。
ちゃんと自分のことはできている。
自立もしている。
そして、相変わらずアイリンだった。
誰かに重い買い物袋を持ってもらったところで、そのどれも変わっていないらしい。
非常に都合の悪い証拠だった。
やがてアイリンが口を開いた。
「ねえ」
私は警戒した。
「何?」
「一人で何でもやることと、強いことを、ずっと同じだと思ってたのかも」
私は即座に異議を申し立てた。
「私は自立を勧めてただけよ」
「人に迷惑をかけるなって言ってた」
「気遣いよ」
「自分のことは自分でできなきゃって言ってた」
「自立心」
「助けを求めるのは失敗みたいに感じさせてた」
私は少し考えた。
「……向上心?」
アイリンが笑った。
屈辱的になってきた。
ソファにもたれながら、アイリンが言った。
「たまには誰かの助けが必要でも、私は私のままなんだね」
私にはいくつも反論があった。
残念ながら、スーパーで証拠が出てしまっている。
アンドレアは迷惑そうではなかった。
アイリンも弱くなってはいなかった。
ただ二人の友人が、一緒に買い物をしていただけだった。
自分の意見を決めたあとで、いちいち証拠を検討するというこの新しい習慣が、私は大嫌いだった。
仕事が遅くなる。
もしかしたら、人に助けを求めることは、強さの反対ではないのかもしれない。
私はすぐにその考えを却下した。
調子に乗るのはやめよう。
もう「もしかしたら」だけで十分だ。
これ以上の成長なんて、まだするつもりはない。




