この処置にはいくつか懸念がある
現代医療について、私はひとつ重要なことを発見した。
とにかく、待つ時間が多すぎる。
診察を待つ。
検査を待つ。
結果を待つ。
医師を待つ。
本来なら、これは私にとって朗報のはずだった。
不確かな状況こそ、私の得意分野だからだ。
答えの出ていない疑問を三つと、二十分ほど与えてくれれば、午後の時間を丸ごと台無しにするくらい朝飯前だ。
ところが残念なことに、最近のアイリンは、非常に腹立たしい新方針を採用していた。
証拠もないのにパニックにはならない。
そして、ついに腰椎穿刺の日がやってきた。
ようやくだ。
誰がどう見ても嫌なことが。
…
予約は金曜日だった。
ディランが車で連れていくと言った。
アイリンは受け入れた。
即答で。
議論なし。
「自分で運転して行ける」もなし。
不必要な自立心の証明もなし。
私はまだ、この新しい彼女に慣れている途中だった。
その朝、ディランがアパートまで迎えに来た。
「準備できた?」
「できてない」
「よかった」
アイリンが彼を見る。
「よかった?」
「楽しみにしてるって言われたほうが心配になる」
それはそうだ。
クリニックに着くと、書類が待っていた。
大量の書類が。
どうやら人間というのは、緊張している人間には事務作業を与えると効果的だと思っているらしい。
氏名。
生年月日。
服用中の薬。
アレルギー。
緊急連絡先。
そこでアイリンの手が止まった。
そして書いた。
ディラン。
私は気づいた。
アイリンも、私が気づいたことに気づいた。
「やめて」
「何も言ってないけど」
「言おうとしてたでしょ」
「ただ観察していただけです」
「黙って観察して」
失礼な。
看護師に名前を呼ばれるまで、ディランは一緒にいてくれた。
彼が立ち上がった。
「ここにいるから」
「分かってる」
「終わったら連絡して」
「すぐ外にいるんでしょ?」
「そうだった」
アイリンが笑った。
そして看護師についていった。
…
医師が処置について説明した。
アイリンは聞いていた。
残念ながら、私も聞いていた。
ここで正式に申し上げておきたい。
詳しく知れば不安が減るとは限らない。
詳しく知った結果、不安に図解までついてくることもある。
「まだやめるという選択肢はあるよ」
私は言った。
「ない」
「厳密に言えば、何だって選択は自由だよ」
「オスクリタ」
「帰るとか」
「帰らない」
「急用ができたことにするとか?」
「しない」
「じゃあ今ここで急用を発生させる?」
「お願いだから、もう助けないで」
分かった。
支援業務から撤退した。
一時的に。
いよいよその時になると、アイリンは目を閉じた。
私は待った。
これは極上のパニック材料だった。
針。
脊椎。
脳脊髄液。
神経系の病気の可能性。
選び放題だ。
アイリンはゆっくり息をした。
一度。
二度。
そして、唱題を始めた。
あ。
ここでやるんだ。
どうやら唱題には場所の制限がないらしい。
呼吸が整っていく。
肩の力が抜けていく。
そして――
海。
本気?
今?
温かい海。
太陽。
静寂。
相変わらず、まともな日陰はない。
「これ、医療的にどうなの?」
返事なし。
「神経系の病気を乗り越えたのに、私が想像上の日焼けで死んだら、正式に苦情を申し立てるからね」
やっぱり返事なし。
私は浮かんだ。
ほかにすることもなかった。
私はいくつもの素晴らしい大惨事を準備してきたというのに。
針が入ってはいけないところに入る。
何かが失敗する。
何かが見つかる。
何かが悪化する。
よりどりみどりだった。
なのに、温かい海に浮かびながら、どう考えても不足している日陰について文句を言っているうちに、それらはなぜか緊急事態ではなくなっていった。
消えたわけじゃない。
まだそこにある。
ただ……
少し遠くなった。
気に入らない。
もっと気に入らないのは――
それをだんだん嫌だと思わなくなっている自分だった。
そして海が消えた。
…
戻った私は、パニックの続きを始める準備万端だった。
材料ならある。
極上の材料が。
なのに――
なぜか、どれもさっきほど大きな音を立てなかった。
事実は何ひとつ変わっていない。
処置を受けたのは事実。
MRIの結果も事実。
多発性硬化症の可能性があるのも事実。
そして、まだ検査結果は出ていない。
でも恐怖が叫ぶのをやめていた。
ただ……
そこにいる。
これは非常に怪しい。
アイリンにあの馬鹿げた海へ送られるたび、私は少しずつ仕事ができなくなって戻ってくる。
問題は同じ。
大惨事は減っている。
私はだんだん、あの海には何か企みがあるのではないかと疑い始めていた。
…
処置を終えて出てくると、ディランが待っていた。
すぐに立ち上がる。
「どうだった?」
「もっと楽しい金曜日なら経験したことある」
「大丈夫?」
「うん」
「歩ける?」
アイリンが彼を見つめた。
「何?」
「いや、一応確認」
「家に連れて帰って」
「それなら任せて」
そして本当にそうした。
複雑な会話はなし。
二人の関係についての話もなし。
未来についての質問もなし。
ただ家まで送り、必要なものが揃っていることを確認して、何かあったら電話するように言った。
どうやら二十五年間も誰かを知っていると、それなりに実用的な利点があるらしい。
私はそれについて分析しないことにした。
ほらね?
海が私をダメにしている。
…
数時間後、アンドレアが食べ物を持って現れた。
アイリンはドアを開け、彼女が持っている袋を見た。
「何か持ってきてなんて頼んでないけど」
「知ってる」
「私、料理できるの知ってるよね?」
「知ってる」
「じゃあ、なんで――」
「今日はしなくていいから」
アイリンが止まった。
あ。
来るぞ。
例の演説。
――私は大丈夫。
――そんなことしなくてよかったのに。
――みんなに心配されたくない。
私は身構えた。
「ありがとう」
アイリンが言った。
それだけ。
アンドレアが袋を渡す。
アイリンは受け取った。
私はこの一連の変化について、引き続き警戒することにした。
息子たちからも電話が来た。
まず一人。
そのあと、もう一人。
二人とも詳しく知りたがった。
「ちゃんと終わったよ」
アイリンが言った。
「痛かった?」
「生きてる」
「それ答えになってないよ」
「これがあなたに教える答え」
私は賛成した。
成人した息子たちが、母親の脊椎について知る必要のないこともある。
…
そして最悪の時間が始まった。
待つこと。
私の領域。
ようやくだ。
MRIの病変。
脱髄。
多発性硬化症。
脳脊髄液。
まだ出ていない検査結果。
最高の材料が揃っている。
なのに、私の長い職歴の中で初めて――
どう扱えばいいのか分からなかった。
体調が戻ると、アイリンは仕事に戻った。
韓国語を勉強した。
料理をした。
息子たちと話した。
アンドレアにも会った。
唱題もした。
そして調べ始めた。
慎重に。
どこかの知らない人の、いとこの隣人が、昔なんとなく似たような症状を経験した――なんて話ではない。
きちんとした情報を。
脱髄とは何なのか。
医師たちは何を調べようとしているのか。
さまざまな脱髄性疾患。
多発性硬化症。
それぞれの検査の目的。
神経内科医に聞きたいこと。
「最悪の場合」なんて検索しなかった。
「どこまで悪くなる可能性がある?」とも検索しなかった。
「私はこの先――」
私は止まった。
興味深い。
今、あの文章を最後まで言いかけた。
あと少しだった。
でも、言わなかった。
私は頭の中を見回した。
海はない。
太陽もない。
想像上の日焼けの危険もない。
それなのに、思考は止まった。
勝手に。
まずい。
これは深刻になってきた。
…
「自分が不自然なくらい落ち着いてるって気づいてる?」
ある晩、私は言った。
アイリンがノートから顔を上げた。
「結果を待ってるだけ」
「だからだよ」
「それで?」
「こういう時は伝統的に、私が主導権を握ることになってるの」
「ダメ」
「また?」
「また」
アイリンは再びノートに目を落とした。
「何してるの?」
「神経内科の先生に聞くことを書いてる」
「またリスト?」
「リスト好きなの」
「連続殺人犯もね」
アイリンが私を見る。
「それが反論?」
「今の私にはこれしかないの。海のせいで生産性が落ちてるから」
アイリンが笑った。
私は笑わなかった。
これは正当な職業上の懸念だ。
…
数日が過ぎた。
私はまだ心配していた。
もちろん心配していた。
彼女の手を見た。
脚を見た。
バランスを見た。
疲れ具合を見た。
時々、ある考えが浮かんだ。
――もし……
私はすぐに準備した。
その道ならよく知っている。
インフラだって半分くらい私が整備したようなものだ。
ところが最近、最後までたどり着く前に、腹立たしいことが起きる。
別の考えが出てくるのだ。
――まだ、そうだと決まったわけじゃない。
何ですって?
そして次は、
――結果を待とう。
誰が呼んだの、これ?
そして時々、最悪なのが、
――今この瞬間、アイリンは大丈夫。
私は合理的な思考に侵略されていた。
海のせいだ。
当然。
…
ある日の午後、アイリンが仕事をしていると電話が鳴った。
神経内科からだった。
アイリンが画面を見る。
私も見る。
一回鳴る間、二人とも動かなかった。
そしてアイリンが電話に出た。
「もしもし?」
結果が出た。
翌週、神経内科医が診察したいという。
アイリンは予約を取った。
電話を切った。
そしてスマートフォンを見つめた。
私はアイリンを見つめた。
来た。
結果。
本物の結果。
それが診察室で私たちを待っている。
「で?」
「何が?」
「ここでパニックになるんでしょ」
「ならない」
私は想像上の目を閉じた。
この答えがだんだん嫌いになってきた。
「じゃあ、何するの?」
アイリンはノートパソコンを閉じた。
「待つ」
私は続きを待った。
続きはなかった。
「それだけ?」
「それだけ」
「じゃあ来週まで私は何をすればいいの?」
「いつも通りにしてれば?」
それは非常に危険な提案だった。
私はいくつかの可能性を検討した。
そして、さらに恐ろしいことに気づいた。
私は車椅子を想像していなかった。
人生の結末を勝手に決めてもいなかった。
まだ告げられてもいない診断を、予約が入ったというだけで確定させてもいなかった。
心配はしている。
ものすごく心配している。
でも、それだけだった。
どういうわけかアイリンは、私の生まれ育った場所とも言える――
不確かさを、
ほとんど退屈なものにしてしまった。
誰のせいかは分かっている。
あの馬鹿げた海だ。
問題は同じ。
答えの出ていない疑問も同じ。
なのに、あそこから戻ってくるたびに、私たちと、実際に起きていることとの間にある雑音が、少しずつ減っている気がする。
あの場所が私に何をしているのか、私には分からない。
でも、懸念ならある。
いくつも。
そして腹立たしいことに――
そのどれひとつとして、大惨事ではなかった。




