私が正しかったことは記録に残しておきたい
自分が正しかったとわかることほど、気持ちのいいものはそう多くない。
私は大好きだ。
人を見る目。メール。間違った判断。
それから靴。
特に靴。
でも残念ながら、正しかったことが最悪に感じられる瞬間もある。
そんなこと、誰も教えてくれない。
…
最初は、ただの疲れだった。
それなら説明がついた。
アイリンは以前より仕事が増え、新しいプロジェクトも抱えていた。そのうえ、私としてはいまだに少々疑問なのだが、週に二回、韓国語まで勉強している。
疲れて当然だった。
ところが、そのうち私は小さなことに気づき始めた。
ある午後、右脚が妙に重くなった。
翌朝には何ともなかった。
数日後、今度は手がしびれた。
「頸椎のせいよ」
アイリンが言った。
「かもね」
彼女が私を見る。
「同意してるの?」
「違う。『かもね』って言っただけ」
「最近、ずいぶん冷静になったわね」
「ご希望ならパニックもできますけど」
「結構です」
「フルサービスは今でも提供中よ」
アイリンは笑った。
しびれは消えた。
だから、私たちはそのまま日常に戻った。
消えてしまう症状の困ったところは、そこだ。
なかったことにしていい理由を、人間に与えてしまう。
…
火曜日の夜、アイリンはダイニングテーブルで韓国語のオンライン授業を受けていた。
先生が言った言葉を繰り返す。
一度。
そして、もう一度。
「違う」
アイリンが眉をひそめた。
「何が?」
「その発音」
「あなた、韓国語話せないでしょ」
「あなたもね」
「私は勉強してるの」
「私も」
彼女が私を見た。
「いつから?」
「あなたが無責任にも、私たちの人生に新しい言語を追加したときから」
アイリンは笑った。
私は何の資格もない発音指導を続けようとした。
そのとき、アイリンが動きを止め、右手を二度、開いたり閉じたりした。
「何?」
「何でもない」
また、その言葉だ。
――何でもない。
人類が最も愛用している医学的診断。
「手がしびれてるだけ」
「また?」
「一日中タイプしてたから」
アイリンは肩を回し、ゆっくり首を動かした。
「頸椎よ」
かもしれない。
今度は反論しなかった。
ただ、覚えておいた。
…
翌日、ルーシーがノートパソコンを持ってアイリンのオフィスにやってきた。
「この人の翻訳、意味が通じてないって本人に言う前に、あなたの意見が欲しくて」
「珍しく外交的ね」
「私も成長してるの」
二人で文章を確認していると、ルーシーが画面を指した。
「ここ」
「わかった」
アイリンがマウスに手を伸ばした。
そして、外した。
手はマウスの横に落ちた。
二人とも、その手を見た。
アイリンは眉をひそめ、もう一度手を伸ばした。
ルーシーが彼女を見る。
「大丈夫?」
「うん。最近ちょっと手の調子がおかしいだけ」
「一度、診てもらったほうがいいんじゃない?」
「たぶん首のせいよ」
ルーシーは納得していなかった。
私もだ。
数分後、アイリンはファイルを取ろうと立ち上がった。
右脚から力が抜けた。
完全にではない。
でも、十分だった。
アイリンは机に手をついて体を支えた。
ルーシーがすぐに立ち上がる。
「アイリン?」
「大丈夫」
「大丈夫じゃないでしょ」
アイリンは椅子に座り直し、右の太ももをさすった。
「たぶん頸椎よ」
ルーシーが眉をひそめる。
「手のこともそう言ってたよね」
「うん」
「今度は脚?」
アイリンは答えなかった。
ルーシーはノートパソコンを手に取ったが、すぐには出ていかなかった。
「ちゃんと診てもらうって約束して」
「わかった」
ルーシーはアイリンをじっと見た。
アイリンの「わかった」が、「今日中に」という意味にも、「人類が滅亡するまでのいつか」という意味にもなり得ることを知っている人の目だった。
「本当にね」
「わかってる」
ようやくルーシーが出ていった。
ドアが閉まる。
アイリンは自分の右脚を見下ろした。
「本当に頸椎かもしれない」
小さな声で言った。
「かもね」
彼女が私を見る。
「同意してるの?」
「違う。『かもしれない』って言ってるだけ」
少し待ってから、私は続けた。
「でも、別の何かかもしれない」
アイリンの表情が変わった。
そこに現れた。
恐怖。
小さくて、突然で、見慣れたもの。
恐怖をどう育てればいいかなら、私は誰よりも知っている。
十秒もあれば、「もしかしたら」を神経系の病気に変えられる。
病室にも。
花のセンスが最悪な葬式にだってできる。
でも、私はしなかった。
「病院に電話して」
アイリンが私を見る。
「それだけ?」
「ほかに何が欲しいの? 神経変性疾患の一覧?」
「いらない」
「よかった。私、素人診断は引退したから」
アイリンが少し笑いそうになった。
ほんの少し。
それから電話を見た。
「家に帰ったら電話する」
「ダメ」
「オスクリータ――」
「ルーシーは診てもらえって言った。私も電話しろって言ってる。二対一よ」
アイリンが片方の眉を上げた。
「ルーシーはあなたがいることすら知らないけど」
「細かいことはいいの。それでも二対一」
今度は、本当に笑った。
そしてスマホを手に取った。
…
受付の人がいくつか質問をした。
アイリンは、しびれと疲労感、それから右脚の妙な重さについて説明した。
もちろん、頸椎の問題についても話した。
診察は三日後に決まった。
電話を切っても、アイリンはしばらく動かなかった。
「ほら」
「よし」
「満足?」
「してない」
彼女が私を見る。
驚いた顔だった。
私自身もちょっと驚いた。
「イヤリングのことで私が正しいのは好きよ。信用しちゃいけない人とか、問題のある靴とか」
「私の靴は問題ない」
「あれは犯罪よ」
「オスクリータ」
「はいはい」
私は黙った。
自分が正しければ、勝った気分になるはずだった。
でも今回は、
全然うれしくなかった。
アイリンは自分の手を見つめた。
「怖い」
「私も」
彼女が顔を上げた。
「全部大丈夫だって言ってくれないの?」
「言わない」
「全然慰めになってないんだけど」
「希望なら嘘つくけど」
アイリンが少し笑った。
「いらない」
「よかった」
診察まで、あと三日。
私は待つのが嫌いだ。
アイリンも同じだった。
でも今度は、わからないことを勝手な答えで埋めるのはやめた。
まず、確かめる。
そして、本当にそこにあるものが何なのかわかったら――
そのとき二人で向き合えばいい。




