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二度目の別れは、もっと早くやってくる

人はよく言う。

家族も、そのうち落ち着くものだと。

それはたぶん本当だ。

でも誰も教えてくれない。

その「落ち着いた毎日」は、永遠には続かないということを。

人間は少し慣れた頃になると、また次の季節へ進んでしまう。

家には、新しい日常ができていた。

長男は大学生活にもすっかり慣れ、週末になると時々帰ってきた。

大きなバッグを抱え、その中には大量の洗濯物。

そして帰る頃には、きれいに畳まれた服と、アイリンが持たせた食べ物がぎっしり詰め込まれている。

どうやら自立というのは、

洗濯までは含まれないらしい。

人間という生き物は、本当に都合がいい。

長男が帰ってくる週末は、家の空気まで少し賑やかになる。

次男は「うるさいな」と文句を言いながらも、結局は兄と一緒にゲームをしたり、出かけたりしていた。

ダイレンは大学の授業や教授の話、ルームメイトとの出来事まで興味津々で聞いている。

アイリンは毎回、同じ質問をした。

「ちゃんと食べてる?」

返事も毎回同じだった。

「まあ、それなりに。」

アイリンは一度も信じなかった。

日曜日の夕方になると、また長男は大学へ戻っていく。

そのたびに家は静かになった。

寂しいというより、

それが新しい日常になっていた。

一人が帰ってきて、

また出かけていく。

三人で過ごす時間と、四人で過ごす時間。

家族は、その繰り返しに少しずつ慣れていった。

私は腕を組みながら、その様子を眺めていた。

「分かった。」

洗濯物を畳んでいたアイリンが顔を上げる。

「何が?」

「これは安定じゃない。」

「違うの?」

私は首を横に振った。

「ただの幕間よ。」

月日が流れた。

気がつけば、次男も高校卒業を迎えていた。

ある日の夕食後、食卓の上に大学のパンフレットが並び始める。

その数週間後には願書。

オープンキャンパスの日程。

締め切りの一覧。

数年前とまったく同じ光景だった。

私はパンフレットを見つめたまま固まった。

「ちょっと待って。」

アイリンが笑う。

「今度は何?」

「またやるの?」

一冊手に取りながら頷く。

「そうみたい。」

私は人生で一番長いため息をついた。

「あの時気づくべきだった。」

「何に?」

「あれは練習じゃなかったのよ。」

アイリンが首をかしげる。

「じゃあ?」

「ただのチュートリアルだった。」

今回は少し違っていた。

楽になったわけではない。

ただ、

もう何が待っているのか知っていた。

段ボール箱も。

空っぽになる部屋も。

誇らしさと寂しさが同じ場所に座ることも。

知っているからといって、別れが簡単になるわけではない。

少しだけ驚かなくなるだけだ。

ある晩、夕食のあと。

次男が何冊もの大学案内を食卓に広げた。

「たぶん、決めた。」

ダイレンはすぐに身を乗り出す。

「見せて。」

親子二人で学部やカリキュラムを見比べ始めた。

アイリンはその隣に座り、ほとんど口を挟まずに二人の話を聞いていた。

時々うなずき、

時々笑う。

それだけだった。

夜も更け、パンフレットを片付け終えたあと。

ダイレンはキッチンで一人立っているアイリンを見つけた。

「何考えてる?」

アイリンは振り返らず、小さく笑う。

「昨日のことみたい。」

ダイレンも微笑んだ。

「俺も同じこと考えてた。」

彼女はゆっくり首を振る。

「違う。」

「え?」

「昨日なんかじゃない。」

少し間を置いて続けた。

「昨日より、もっと早かった。」

二人とも、それ以上何も言わなかった。

振り返るたびに、

時間は前より速く流れているように思えた。

私は静かに腕を組む。

子どもを育てるって、本当に困ったものだ。

何年もかけて、自分の力で歩けるように育てる。

そして最初の別れにようやく慣れ始めた頃には、

二度目の別れが、

もうすぐそこまで来ている。

私たちが準備できているかどうかなんて、

そんなことは関係ない。

時間は、ちゃんと次の季節を連れてくるのだから。



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