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どうやら、本当に旅立つらしい。

まず最初に、訂正しなければならないことがある。

数年前、私は自信満々に言った。

「あの子たちは家を出ていくんじゃない。ただ練習しているだけ。」

……

どうやら私は、大学というものを少し甘く見ていたらしい。

出願の準備は、誰の心の準備よりもずっと早く始まった。

食卓には願書が並び、ソファには大学案内が積まれ、ノートパソコンには締め切りの日付がいくつも表示される。

パスワードを忘れたり、必要な書類が見つからなかったり、そのたびに家のあちこちで小さな騒ぎが起きていた。

家の中では未来の話ばかりになった。

そして誰も気づかなかった。

その未来の話が、少しずつ「今」を変え始めていたことに。

アイリンはできるだけ冷静でいようとした。

感情的になる余裕がない時ほど、彼女は現実的になる。

ダイレンは大学を調べ、学費を比較し、大学近くの部屋を探し始めた。

私は二人を眺めながら腕を組む。

「始まったわね。」

アイリンがパソコンから顔を上げる。

「何が?」

「ダイレンの表計算。」

「それで落ち着くのよ。」

「違うわ。」

私は首を振った。

「あれは、パニックをセルごとに整理してるだけ。」

合格通知が届いたのは、火曜日の午後だった。

特別な日ではない。

空が曇っていたわけでもない。

劇的な音楽が流れたわけでもない。

いつもと同じ午後。

いつもと同じキッチン。

そして長男がパソコンの画面を見つめたまま、二度まばたきをした。

ゆっくり顔を上げる。

「受かった。」

一瞬だけ、誰も動かなかった。

次の瞬間には、全員が動いていた。

最初に抱きしめたのはアイリン。

そのすぐあとにダイレン。

真ん中に巻き込まれた弟が叫ぶ。

「ちょっと!苦しい!」

もちろん誰も聞いていなかった。

アイリンは泣いた。

あとで否定していたけれど。

私は見ていた。

ちゃんと泣いていた。

第一志望だった。

本人がずっと目指していた学部だった。

みんな心から喜んだ。

もちろん、それは本当に嬉しい知らせだった。

問題は――

嬉しい知らせというものは、大抵、段ボール箱を連れてくることだ。

数日後、最初の箱が部屋へ運び込まれた。

そのあともう一つ。

さらにもう一つ。

気づけば部屋の半分が、静かに子ども時代を片付け始めていた。

本棚から本が減り、

クローゼットの服も少なくなり、

壁のポスターも外されていく。

アイリンは気づかないふりをしていた。

もちろん全部気づいていた。

ある午後。

洗濯物を持って部屋へ入ると、長男は床に座り、三つの山を作っていた。

持っていく物。

置いていく物。

そして――

「絶対に必要。」

……と本人だけが信じている物。

アイリンは古いぬいぐるみを持ち上げた。

「まだ持ってたの?」

息子は顔を上げる。

「もちろん。」

「何年も触ってないでしょう?」

「それは関係ないよ。」

興味深い。

どうやら大人になるというのは、使うから物を残すのではなく、思い出があるから残すようになることらしい。

本当に人間という生き物は不思議だ。

引っ越しの日が近づくにつれ、家の中はさらに慌ただしくなった。

買い物。

契約書。

生活用品。

住所変更。

そして一日に何度も繰り返される言葉。

「ちゃんと持った?」

「忘れてない?」

誰も考える暇がなかった。

その方が少しだけ楽だった。

そして当日がやってきた。

車には信じられない量の荷物が積み込まれていた。

トランクは段ボールでいっぱい。

後部座席にもバッグ。

足元まで荷物。

ダイレンは十五分近くかけて、デスクライトをどうにか積もうとしていた。

どうやったのかは分からない。

でも積んだ。

本人はかなり誇らしそうだった。

大学近くの部屋は、小さいけれど明るかった。

窓も大きい。

家具も悪くない。

アイリンの不安を少しだけ軽くしてくれるくらいには。

ほんの少しだけ。

それから数時間。

全員が忙しく動き回った。

荷物を運び、

棚を組み立て、

家具を動かし、

説明をして、

そして、その説明のほとんどは聞き流された。

特にダイレンのものは。

「困ったことがあったら電話するんだぞ。」

工具箱を渡しながらダイレンが言う。

「うん。」

「本当に。」

「分かってる。」

「遠慮するな。」

「分かってるって。」

「何でも相談しろ。」

息子は笑った。

「お父さん。」

ダイレンもうなずく。

「分かってる。でももう一回言っておく。」

アイリンは思わず笑う。

息子は少し疲れた顔をしていた。

ダイレンだけが、本当にこれで大丈夫なのか最後まで納得していなかった。

やがて運ぶ荷物もなくなった。

組み立てる家具もない。

片付ける理由もなくなった。

気づけば四人とも部屋の真ん中に立っていた。

困った。

もう残っていることは、一つしかない。

帰ることだった。

別れは意外なほど静かだった。

長い言葉はなかった。

感動的な演説もない。

長男は最初にアイリンを抱きしめ、

次にダイレン、

そして弟を抱きしめた。

少し照れくさそうに笑う。

「大丈夫だから。」

困ったことに、

その言葉は本当だった。

帰り道。

車の中は静かだった。

誰も泣いていない。

誰も怒っていない。

ただ、それぞれが新しい現実に慣れようとしていた。

ダイレンはラジオをつけた。

三分後には消した。

どうやら今日は、明るい音楽を聴く気分ではなかったらしい。

家へ戻る。

玄関を開けても何も変わっていない。

靴もある。

椅子には上着も掛かっている。

流しにはコップも残っている。

何一つ変わっていない。

ただ一つだけ。

声が一つ減っていた。

アイリンは自然に廊下へ向かった。

途中で立ち止まる。

それでも、そのまま部屋まで歩いていった。

部屋は朝と同じだった。

ベッドもある。

机もある。

本棚もある。

何もなくなったわけじゃない。

ただ、

少し静かになっただけだった。

アイリンはしばらく入口に立っていた。

それから小さく笑う。

誇らしくて、

少し寂しくて、

どちらを先に感じればいいのか分からない時の笑顔だった。

人間は、ああいう表情をよくする。

その夜。

夕食のあと、アイリンとダイレンはソファに座っていた。

次男は友達と出かけている。

偶然にしては、ずいぶん都合がいい。

しばらく二人とも黙っていた。

やがてダイレンが廊下を見つめる。

「不思議だね。」

アイリンもうなずく。

「うん。」

少し沈黙が続く。

それからダイレンが静かに笑った。

「俺たち、ちゃんと育てたね。」

アイリンは長男の部屋を見つめ、それからダイレンを見る。

「そうね。」

その日初めて。

二人の声に寂しさはなかった。

そこにあったのは、

ただ誇らしさだった。

私は腕を組んでため息をつく。

人生って、本当に意地が悪い。

こういう時は決まって、人間を少しだけ泣かせる。

それでも認めるしかなかった。

二人は長い時間をかけて、あの子が自分の人生を歩けるよう育ててきた。

そして今、

彼は本当に歩き始めた。

それは素晴らしいことだった。

……

本当に、不公平なくらい。

最後に訂正しておく。

あの頃、私は言った。

「まだ練習しているだけ。」

違った。

どうやら――

今度こそ、本番だった。



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