ローズの出した答え 1
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救出されたブランディーヌは侍医から丸一日の安静が言い渡され、王宮の自室ではなく城の客室で休むことになった。
というのも、ブランディーヌを心配したレオンスが離れようとしなかったからだ。
レオンスを王宮のブランディーヌの部屋に泊まらせるわけにもいかないので、一日だけならいいだろうとラファエルがアルベリクに許可を取ったらしい。
(でも、びっくりするくらいの急展開だったわね)
ブランディーヌを見舞った帰り、廊下を歩きながらローズはぼんやりとブランディーヌが攫われてから今日までのことを思い出していた。
今日の正午に手紙が届けられてからが早かったのだ。
ダヴィドは用心して人を使って手紙を届けさせたのだろうが、セドックの方が何枚も上手だったのである。
というのも、ダヴィドが何らかの方法で接触してくるだろうことは、セドックもラファエルもレオンスも予測済みで、王都中に監視の目を張り巡らせていたらしい。
ラファエルが予想したほかの協力者もあっという間に捕らえて、そこからブランディーヌが閉じ込められていた貸倉庫にたどり着くまで二時間もかからなかった。
ダヴィドはブランディーヌを一時的に協力者に用意させた貸倉庫に閉じ込めて、その間にヒルカ島へ移動させる準備を進めていたという。移動のための馬車や船の手配をしようとしていたところを、ラファエルの指示で兵を率いて向かったセドックがあっさりと捕縛したとのことだった。
(ブランディーヌ様にも怪我はなかったみたいだし、本当によかったわ。……でも、これからどうなるのかしら)
ブランディーヌが無事に保護されたからと言って、今回の件がうやむやになるわけではない。
レオンスは今回の件を追及することで、ブロンデル国の『過激派』と呼ばれる人たちを一掃するつもりだと言っていたけれど、それはあくまでブロンデル国側の問題であって、マルタン大国側にしたら何の賠償にもならないのだ。
これがただの個人の問題であれば、ブランディーヌも無事だったし問題追及はしなくていいだろうと、それで片づけられることもあるかもしれないが、国同士の問題である以上そういうわけにはいかない。
(どうしよう……)
戦争は回避されると思う。ラファエルもレオンスも望んでいないから、大事にはしないはずだ。
(普通に考えたら、ブロンデル国側に賠償責任があるわよね? このあたりはレオンス殿下とラファエル様で話し合うのでしょうけど……、レオンス殿下とブランディーヌ様はどうなるのかしら?)
レオンスとブランディーヌはお互いに想いあっている。けれど、賠償問題にまで発展するだろう事件のあとで、二人は結ばれることができるだろうか。
「賠償……」
「賠償がどうかしたんですか?」
考えに夢中になるあまり、口に出してしまったらしい。隣を歩いていたミラが、不思議そうな顔をした。
「え、あ……ええっと、今回の処断は、どうなるのかしらねって思ってね」
「落ち度は完全にあちら側ですから、こちら側が不利になることはないと思われますよ」
ミラとローズより一歩下がってついて来ていたニーナが言う。「そうよね」と頷いてニーナを振り返ったローズは、そこで「あ!」と声をあげた。
「そうよ、処断よ!」
「ローズ様、同じようなことばかり言ってどうしたんですか?」
ミラが怪訝そうな顔になるが、ローズはぱっと顔を輝かせた。
「いいことを思いついたの! ニーナ、王妃様にお会いしたいのだけど、お時間を取っていただくことはできるかしら?」
ミラとニーナは顔を見合わせて、互いに首を傾げた。
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