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34-1話 天才少女は再び微笑む


「なんでって……理由なんて一つしかないじゃない。 あ、会いに来たのよ、ダーリンにね」


 俺の疑問にその人は恥ずかしそうに目を伏せて小さくそう呟いた。

 

 ど、どうなってるんだ? もしかして本当にルカなのか?? 

 見た目は確かにルカにそっくりだけど、そんなこと有り得るのか?


 ルカの代名詞とも言える綺麗な緑髪に整った表情に凛とした雰囲気。 見れば見るほどにルカにしか思えなくなる。

 

 ……もし本物だとしたら、お、大きく成長したなぁ。

 

 ルカの身体の一部分を見て、本当にお母さんとお婆さんも大きかったのだと納得する。


「まどかちゃん、何処見てるのかしら??」

 

「えっ! あっ、いや別に何も見てないけど??」

 

「……さっきまであんな憔悴してそうだったのに、ほんっとうに男って単純なのね!! おっぱいさえあれば直ぐ元気になるんだもの」

 

 呆れた様に溜息を吐きを青蜜は俺に冷たい視線を向ける。

 

 ……うん、これは何も反論できないわ。 

 完全に意識を持っていかれてたからな……やっぱりおっぱいって凄いんだな。 

 なんか急に元気出たのも否定出来ないし。

 

「まどかちゃん、私は別にどうでもいいけどそれ以上その話題について考えない方が良いわ。 最悪死ぬ事になるわよ?」

 

「はぁ? 何でたかが胸の事で死ぬ事にっ……」

 

 その瞬間、この部屋が尋常ない程の殺気で満ちている事に俺は気付く。

 

「ふふっ、そうですよあかねさん。 まどかさんの言う通り『たかが』胸じゃないですか、そんな事で死人が出る事なんて有りませんよ。 ねぇ、まどかさんもそう思うでしょ??」

 

「……は、はい。 そ、そうですね。 ははっ」

 

 目に光が宿ってない結衣ちゃんの質問に俺は何とか濁して答え、直ぐさま目を逸らす。

 

 あ、危なかった。 青蜜の言う通りあのままあの話題を進めてたら後ろから心臓を抜き取られてたかも。 

 い、一旦胸の事は忘れよう。 完全に恐怖の方が上回ったわ。

 

「はぁー、まぁこの馬鹿の事は一先ず置いといて……貴方、見たところルカちゃんそっくりだから子孫って事は間違えないと思うけど、名前は何て言うのかしら?」

 

「はぁ? ルカ・ルーレットだけど??」

 

「名前も一緒なのね、まぁそれはそこまで珍しい事でもないのかしら。 それで貴方は何しにここへ来たのかしら? 

 まどかちゃんの事をダーリンって言うくらいだから、ルカちゃんから私達の事を聞いてるって事よね?? 

 何か伝言でも頼まれているの??」

 

 冷静に青蜜は会話を進める。


 ……こう言う事思ったら駄目なのかも知れないけどさ。 どう考えても目の前に居るのは俺達が知ってるルカだよな。 

 いや、青蜜の言ってる事が間違ってる訳じゃないし、むしろ子孫だと思うのは当然だよ? 

 あれから150年以上経ってるからな。 

 でもさ、この流れで子孫な訳ないじゃん? まぁ頭おかしいのは俺の方だってのは知ってるから青蜜の話に頷いておくけど。

 

「ブルーちゃんって意外にまともなのね。 もっと頭おかしいと思ってたけど」

 

 そんな青蜜を嘲笑う様に見下してルカは答える。

 

 うん、これはもう間違えなくルカだろ。

 

「だ、誰がブルーちゃんよ! いい加減その呼び方やめてもらえないかしら?」

 

「あら? 貴方、青が好きなんでしょ? だったら別に良いじゃない、むしろ喜んで欲しいくらいだわ。 それともブルーちゃんも本心では青属性が嫌なのかしら??」

 

 ……青属性??


「はぁ?? 嫌なわけないじゃない。 確かに青属性はちょっと弱いけど、緑族よりはマシね。 嫉妬は見苦しいわよルカちゃん??」 

 

「なっ、何ですってぇ!!」


「何よ!!」

 

 えっ、何でこの流れで喧嘩してんの?

 ってか、本当に青属性と緑族って何? 俺がいない所で二人とも何かのゲームでもやってるのか? 

 

 二人とも個々では優秀だし話をまとめてくれる役目なのに、揃うといつもこうなるよな……仲が良いのか悪いのか。

 


「それにしてもあの光景を見るにどうやら本当にルカさん本人みたいですね。 まどかさん一体これはどう言う事なんですか? また何か裏で行動していたのでしょうか?」

 

「えっ? いや、俺にも何が何だかさっぱりなんだ。 ルカがどうしてこの時代に居るのか、それは全くわからないだ」

 

「そうですか。 ではとりあえず私は二人の喧嘩を止めてきますね。 その間にまどかさんはこれから先にルカさんへ質問したいことをまとめておいてください。 今は少し混乱している様ですし、時間が必要ですもんね」

 

 そう言って結衣ちゃんは微笑んで青蜜とルカの間に入る。

 

 ……そうか、俺結構混乱してたんだな。 

 

 結衣ちゃんの言葉で、今までルカと全然話してない事に気付く。

 

 そうだよな、聞かなきゃいけない事が沢山あるよな……何だかだ言っても結衣ちゃんはやっぱり頼りになるな。 

 俺達の中では常識人の方だしな、よし、折角結衣ちゃんが時間をくれたんだ、今のうちに色々と考えをまとめっ。

 

 

「……ダーリン、今は喧嘩してる場合なんかじゃないなかったわね、 ごめんなさい」

 

「まどかちゃん私からも謝るわ。 無駄な時間を使ってごめんなさい。 それからこのルカちゃんは間違えなく本物よ。 私とこんな馬鹿みたいな喧嘩する子なんて他に居ないもの……」

 

 ……いや、早くない? えっ? 結衣ちゃん何したの?? 

 この二人の言い合いはそんな簡単に止めれる様なものじゃないと思うんだけど??

 

 謝る二人の後ろで笑顔で頷く結衣ちゃんに俺は寒気を感じる。

 

 ……前言撤回だな、この子が一番の狂人だったの忘れてたわ。

 

「ま、まぁ青蜜がルカの事を本人だって分かっただけでも喧嘩の意義はあったと思うし、そんな謝らなくても良いよ。 俺にとっても冷静になれる時間だったしな」

 

 全然そんな時間無かったけどそれっぽい事言っておこう、これ以上無駄な時間使うのは避けた方が良いもんな……うん、ここからはいつも通り何となくで質問していこう。


 く、悔しいけど、それが俺らしいからな。

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