34-2話 天才少女は再び微笑む
「と、とりあえずルカがこの時代に来た理由は俺に会う為ってのは分かったけど、一体どうやってこの時代に?」
今わかる一番の疑問を俺はルカへと尋ねた。
「そうね、専門的な事を言ってもダーリンには伝わらないから簡単に言うわね? 私は私自身を冷凍保存したのよ」
あれ? 今ちょっと馬鹿にした? 気のせい??
「冷凍保存ってどう言う事?」
戸惑う俺の代わりに今度は青蜜が尋ねた。
「私はね、未実樹を作る研究と同時にもう一つ研究を進めてたの。
まぁダーリン達がもう一度あの時代に現れる前の2年間で進めてた事なんだけど、それが人間凍結機。
言葉通り、生きた人間をその状態のまま冷凍保存する機械よ」
……そう言えば冷蔵庫が何とかって言ってたな。 てっきり料理関係かと思ったけどまさか人間用だったとは。
いや、待て、ここにルカが居るって事はもしかしてルカの奴っ……。
「ま、まさかルカちゃん、その機械を実際に使ってこの時代まで冷凍されてたって言うの? 150年の間ずっと??」
「ええ、ダーリンにもう一度会う方法が他に思いつかなかったしね。 まぁ結果はご覧の通り、無事成功って所ね」
「な、何でそんな危ない事! 無事だったから良かったものの、最悪死ぬ事になるかも知れないだろ!」
ケロッと答えるルカに俺は声を荒らげてしまう。
それくらいルカの行動は危ない橋を渡っている。 とても結果オーライで済ませれる話では無かった。
「……ごめんなさい、ダーリン。 確かに笑顔で言う事では無かったわ。 でもね、私は失敗する可能性は無いと思ってたわ。 協力してくれた人も居たしね」
「協力してくれた人??」
例えそんな人が何人居たとしてもルカの生存率が上がるとは到底思えない。
その人に時間を超える様な経験があるならまだしもそんな人は絶対に存在しなっ……いや、一人だけいる。
ルカと同等の知識を持ちながら何でもありのチート能力を持ってる奴が。
「……リアが協力してくれたのか??」
「流石ダーリン! その通りよ!! これ以上の助っ人はいないでしょ?
でも問題が一つだけあって、リアが何処にいるか全くわからなかったの!!
本当はもっと早く会いに来る予定だったけど、そのせいで遅れちゃったわ」
確かにあの時代のリアを見つけるのはほぼ不可能だってリア本人も言ってたな。
「い、一体どうやってリアを見つけ出したんだ?」
「結局探すのは諦めたわ。 私の研究が『完器樹』が完成するまで待つ事にしたの、リアと話した時の食い付き具合から完成させる事させ出来れば向こうから会いに来ると思ってたから」
「な、なるほど」
「結果は思った通りだったわ。 そこからは……まぁ色々あったけど、何とかリアに私の研究の手伝いをして貰えたって訳。 私がこの時代に来れた経緯は大体こんな感じかしらね」
そう言うとルカは一息挟み、俺と目を合わせる。
「でもね、例えリアの手伝いがなくても私は失敗するとは思ってなかったわ。
この時代に、もう一度ダーリンに会い来れたのは理論的な事じゃない……ダーリンへの愛の力なんだから」
その言葉に俺の心臓は爆発したかの様に高鳴る。
「お、怒ってないのか? 俺はルカにあんな酷い事をしたんだぞ?」
「酷い事? 何の事かしら? あっ、もしかしてあの別れた時の事を言ってるのかしら?
ふふっ、あんなバレバレの演技を私が本当に信じていると思ったの? 大方そう言う演技をしないと未来に戻れないって所だったんでしょ?
前にブルーちゃんが同じ事やっていたものね」
少し早口になるルカの口調でこの言葉が嘘である事は直ぐに分かった。
あの後でこの結論に辿り着いたのかも知れないけど、その時のルカの涙は間違えなく本物だったのだ。
「……何でこんな俺の為に。 死ぬかも知れない危険を冒してまで」
俺の心を映し出すように声が震える。
ルカに対する申し訳ない気持ちと心配の気持ち、それに何より会いに来てくれた嬉しさで俺の心はまるで子供のおもちゃ箱の様にごちゃごちゃになる。
「な、何回も言わせないでよ……ダーリンを愛しているからよ」
「……ルカ」
近くに青蜜や結衣ちゃんがいる事を忘れて俺とルカは徐々にその唇を近付ける。
これがキスする時の雰囲気ってやつか……身体が勝手に動くってのはこう言う事なんだな。
俺はゆっくりと目を閉じてそのままルカへと待たれかかる様に身体を傾けた。
この感覚は絶対に一生忘れないでおこう。
脳に直接刻みたい、それくらい幸せだっ……。
「い、いってぇぇぇ!!」
体感ではそろそろルカと唇が触れ合うと思ってた瞬間、俺の頬に尋常じゃない痛みが襲う。
遅れて響く乾いた打撃音が俺に殴られた事を知らせた。
……え? 何で? えっ?? どういう状況??
「あぁ、これよ、これ。 やっぱりこの感覚……最っ高だわ!!」
困惑する俺を他所に目の前のルカは頬に手を当て恍惚の表情を浮かべてた。
………もしかして俺はとんでもないものを目覚めさせてしまったんじゃ。
目の前で楽しそうに微笑むルカを見て俺はその不安を抱かずにはいられなかった。
もう少しだけ続きます。




