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ただの召喚士(本人自称)  作者: 進夢 ロキ
第1章 旅の始まり
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四話 イリシアネの破滅 後編

6/7:おかしかった点を修正しました

青く、澄み渡っていた空は、紫色の雲で覆われ、イリシアネの住民達は不安を浮かべている。


その雲は、イスタのパーティを破滅へと導いた、恐怖の雲だ。


赤い稲妻が空を走り、雷鳴を響かせる。


「なぁ、この雲どう見てもおかしいよな。嫌な予感がする」

「あぁ、確かにな、さっきダンジョンに行ったパーティが帰ってこないし、どうしたんだ?」


などど、冒険者達は会話を重ねる。


「おい!あれはなんだ?」


突然、住民が、指を空に差し大声で言う。住民、冒険者達は、みんな一斉に指差した方向へ首を傾ける。


指差した方向には、黒い物体が浮かんでいた。目を凝らしてよく見ると、翼があり、ホバリングしている。


「デーモンか?………いや、デーモンは地底世界にしか住まわないから違うか?だとしたら…一体…?」


男の冒険者が呟くと、刹那黒い物体が、街に向かって急速に落下してきた。


徐々にスピードをあげ、目では終えないほどのスピードで落下した。


「おい、デーモンが来るぞ!」

「デーモンくらいなら、しかも一匹、やれる!」


落下地点に向かって、冒険者は轟き、走り出した。


いち早く落下地点に着いた冒険者が、落下の衝撃で空いた大穴を見ると、そこには、やはりデーモンのような容姿をした魔物がいた。


ーーッ?…ち、違う


冒険者は後ろを向いた。


「おい!みんな!気をつけろ!こいつはデーモンじゃな…」


そう言いかけたが、白いぐにゃぐにゃした骨のような物が、冒険者を勢いよく貫いた。


鮮血が宙に舞い、他の冒険者達は驚愕の表情を浮かべる。


「ダイアン!………くそ!みんな!武器を構えろ!」


その呼びかけに、冒険者達は一斉に武器を構える。


その空間の空気は緊張感で満ち溢れていた。


ドスン。


魔物の足音が、穴から近づいてくる。

緊張感が高まる。


「斬りかかれ!」


1人の冒険者が、前方の剣士の冒険者達に指示を出し、指示を出された剣士は一斉に斬りかかる。


が、鈍い音がして、剣士達は高く上空へと打ち上げられた。


姿を現した魔物に、魔術師が魔法を放つ。

炎上や爆発。旋風やレーザーなどの多数の魔法が放たれていくが、魔物はまるで効いている様子がない。


「チクショウ!なんでだ!」

「魔法はダメだ!弓を使え!」


魔物から5メートル程離れていた弓士が、待ってましたと一斉に矢を放つ。


凄まじい速さで飛んでいくが、魔物に突き刺さっても、血液が出ない。


そのうちに魔物はツノを伸ばし、冒険者達をなぎ払った。


なぎ払われて、死んだ者も居るが、他は薄紫色の何かで拘束されていた。


魔物はコウモリのような巨大な翼を羽ばたかせ、飛ぶ。近くにいた者は、羽ばたくときに吹く風で吹き飛ばされて、地面に叩きつけられる。


魔物は地面から7メートルほどの天空で息を大きく、大きく吸い込む。


「回復を急げ、弓士は矢にエンチャントして放て!」


冒険者達はそれぞれ応戦する。


一方の魔物は吸い込んでいた息を止めた。


「何か来るぞ」


魔物は口を大きく開け、中から大きな火炎球を放った。


「あれは!?…上位魔法、地獄火炎(ヘルファイア)!?」

「避けろ!」


銃弾が放たれるようなスピードで迫ってくる火炎球に、冒険者達は速すぎて避けきれなかった。


地面に叩きつけられた火炎球は、まるで油でも撒いたかのように燃え広がった。


肉が、屍が、焼けていく臭いが周囲に漂う。そして、炎は民家に燃え広がった。


イリシアネに来ていた冒険者達は、わずか10分で全滅した。


☆☆☆


炎はどんどん燃え広がる。


「…い…」

「おい…」

「おい!おっさん!」

「ファア?」

「なに寝ぼけてんだおっさん!逃げんぞ!」

「逃げんぞって?」

「家事だよ!大火事だよ!みんな燃えちまうぞ!」

「ヘェ〜火事か。あ、そう………ふぁあ!?火事!?何だって!?」


青年に叩き起こされたラクデーンは周囲を見回した。

すると、あたりは赤い炎で激しく燃え盛っていた。


「分かった!逃げよう!」


ラクデーンは逃げ出そうとしたが、よろず屋のガラスが割れて飛んできた。

ラクデーンの脚に刺さってしまった。


ガラスを伝って血が飛び出す。


「大丈夫か?」

「だ、大丈夫だ。」

「待ってろ!タンカと人を…」


と言って、青年は何処かへ行ってしまった。


ラクデーンは、痛みにこらえながら考えた。


寝ている間に何があった?

一体誰がやった?

そして、犠牲はあったか?


「お父さん!」


?この声…聞き覚えのある声だ。

娘の…こえ…?


「この…声…サクラか?」


間違いなかった。

何故、サクラがこんなところに…?


「そうだよ!サクラだよ!お父さん、ケガしたの?」


サクラはラクデーンの傷を見て、残酷な目で見つめる。


娘を…助けねば…!


「俺はいいから…逃げろ!」

「やだ!お父さんを置いていきたくない!」

「いいから逃げろ!」


その時、ラクデーンは恐怖を目にした。

人間の死体が五、六個ほど突き刺さっているカマを持った、デーモンのような魔物を…


ラクデーンは悲鳴をあげる。

サクラは背後を向くと、驚愕の表情を浮かべる。


魔物は赤く光っている目を見開き、猛ダッシュしてこちらに向かってくる。


まずい…サクラが…!


ラクデーンは、立ち上がる力がない筈なのに立ち上がり、桜の前へゆっくりと歩き、大の字になってサクラを守った。


魔物は、カマを大きく振りかぶり、それを振る。一瞬にして、ラクデーンの胴体に大きな傷ができる。


傷口から血を吹きながら、吹っ飛ばされ、地面に叩きつけられた。


「お父さんっ!!」


ラクデーンは意識が朦朧(もうろう)としている。

サクラはラクデーンに駆け寄った。


と同時に魔物も動き出し、再度カマを振りかぶる。

このままあの斬撃を食らったら、サクラの体なら傷では済まない。胴体と脚が切り離されてしまう…!


「ざぁぐらぁっ!!」


渾身の叫び声をあげるがカマは振られた。振られてしまった。



カキイイイン……



は?

今、カキィィンって?金属音?


見ると、ローブを着た少年が、カマを長剣で防いでいた。そしてそのまま押し切り、魔物の巨体を吹っ飛ばした。


「スバルっ!」

「サクラっ!茂みに隠れてろって言っただろ!」

「だって、だって…」

「まぁいい、話は後だ!生き残れたらな!」

「ネガティヴな事いうなナビ!


そう言うと、サクラがスバルと呼んでいた少年は、地面に魔法陣を浮かび上がらせ、剣をしまい、杖を取った。


「見たことのねぇ魔物だな。新種か…?」

「多分そうナビ」


吹っ飛ばされた魔物は、起き上がり、歯ぎしりをして、スバルにまた走り出す。

その様子を見たスバルは、目にも留まらぬ速さで、魔法陣を描き、詠唱を唱える。


「炎の精霊よ!今、契約のもと、我に従え!紅星!イフリート!」


魔法陣から、赤い光が放たれ、イフリートが現れる。

その姿は竜のようで、赤く、見た目にも美しい。


地獄火炎(ヘルファイア)!」


イフリートは、口を開き、火炎玉を溜める。魔物は構わず前進している。


イフリートは、発砲し、赤い火球が、まっすぐと魔物の方へ飛んでいき、着弾。魔物は、悲鳴をあげ、暴れている。


「うし、技は効く!」


一応、ダメージは与えたが、魔物はまだ絶命していない。

しかし、この攻撃を続けたら、いつか必ず倒れる。


魔物は、攻撃手段を、カマからツノに変え、ツノをぐにゃぐにゃと変形させて襲ってくる。


「イフリート!避けろ!」


イフリートは、突き出されるツノの攻撃に、全て紙一重、だが確実にかわしている。


そして、魔物に隙ができたら、地獄火炎(ヘルファイア)を打ち込む、の繰り返しだ。


流石に魔物は疲れ果て、上空へと飛び去った。


「逃がすか!」


それに反応し、地獄火炎(ヘルファイア)を、魔物に打ち込んだ。


確実に当たる距離に、魔物はいる。


ーー打ち落として追撃だ


スバルはそう計算して、イフリートに命令をする。


が、


魔物はなんと、火炎球をカマで打ち返した。

打ち返された火炎球は、イフリートに直撃し、イフリートは、唸り声をあげる。


「イフリート!大丈夫か?」


グォォォォォ!


そして、魔物は相手がひるんだのを確認し、咆哮をあげた。


「なんだ?今のうるさいやつは…?」


なんとなく、スバルはいやな予感を感じていた。疑問を浮かべながらも、イフリートに命令する。


「イフリート!もう一度地獄火炎(ヘルファイア)だ!」

「……………」


しかし、スバルに命令されても、イフリートは火炎球で攻撃しようとしなかった。


「なにやってんだ!」

「………………」

「……まさか、『魔封(マジックブロック)じ』か?」


そう、さっきの咆哮は、魔封じという。

魔法が発動するのを阻止する技である。


そして、魔物は、翼を羽ばたかせ、雲の中に消えていった。


「くそ!逃げられたか!」


スバルは悔しそうな顔を浮かべた。

イフリートは、魔法陣の中へと戻っていった。

魔物が雲に潜ると、僅か数秒でその雲は消えて、まるで曇ってすらいなかったかのように、晴れ渡った。


「雲に入って消えたなんて、あの雲が住処なのか?」

「わからないナビ。けど、多分そうナビ」


スバル達は会話をすると、後ろですすり泣きが聞こえてくるのに気がついた。


見ると、ラクデーンが生死の境目を彷徨っている状態だった。


「!すぐに治癒を!」


と言いながら魔法陣を書こうとした。


「いいんだ。……少年…。もう…間に合わない…」


確かにそうだ。

ラクデーンからは、今も尚、血が出ている。

顔も青く、苦しそうだ。


「……いいわけないでしょう?」

「でも、あの白魔法使いは、瀕死状態の人は治せないナビ!」

「余計な事言うな!」


その言葉を聞いた時、桜は目に大粒の涙を浮かべた。


「もう…だすがらないの…?」

「………残念ながら……すまん…」

「いや……いいんだ……少年……娘のお婿(むこ)さんを見れた……から……」


スバルはラクデーンが言っている事の意味が分からなかった。

なぜかサクラも照れ臭そうにしている。


「サクラ……ごめんな……おどうさん…お前の子供見れなくて……」

「なに言ってんのっ!まだ……死ぬなんて決まってないじゃないっ!」

「いや、……お父さんは……もう……だめだ…」

「ダメなんかじゃないっ!」


サクラはラクデーンの言葉を遮って言った。


「ねぇお父さん!いやだよ!私、まだお父さんに何もしてないっ!」

「いや、……サクラは……俺にとって最高の事をしてくれた……」


ラクデーンは寄り添っている桜の首に手を回し、抱き寄せた。


「お前が、産まれて……笑顔……涙……怒った顔……心配する顔……元気に……走り回る姿……まるで……人形のように可愛い寝顔……いろんなものを見させてもらった……その姿をみているうちに……自然と…笑みがこぼれちまうんだよ……なんでだろうな……」


サクラが泣いている声が聞こえる。


「……サクラ……お前が大好きだ。

お前の事……全部全部大好きだ……サクラ…」


「私もっ…お父さんが……大好きだよ……無理したり、カッコつけたり……情けないときもあるけど……ぜんぶぜんぶっ、大好きだよ。……だから、だから、……死なないでよぉ〜……」


「それは無理だ……お父さんは死ぬ……ただ、……遺書代わりに……お前に伝えたいことがある……


強く生きろよ…

雨が降っても、風が吹いても、

暑くても、寒くても、どんなときでも………


強く……生きろよ………」


「分かったよ……強く生きるよ……だから、だから、………お父さん?…お父さんっ!……ぅぅぅわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


破壊された街の中で、少女の悲しみの泣き声だけが聞こえた。

その涙は、ラクデーンの顔にぽつり、ぽつり、と、雨上がりのように落ちていった。




イリシアネの街 被害報告書


死亡者 96人

行方不明者 3人


新種の魔物による、大規模の破壊により、イリシアネの街は壊落した。


尚、新種の魔物については、今も逃走中であり、デーモンと似ている姿をしている。


これ以降、この魔物を、「バクーン」と称する。


いらないことを話しますが、ラクデーンの名前の由来の話を。

テレビをみながら執筆していたところ、「らくてんカードマァァン!」と聞こえてきました。

その時、名前を考えていたのですが、「あ、ラクテーンかな?いやでも感づかれるかな。じゃあラクデーンだ!よし、それで行こう」

と思い、決定しました。

はい、前回載せればよかったです。はい。

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