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ただの召喚士(本人自称)  作者: 進夢 ロキ
第3章 ダンジョン攻略
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三十七話 出発

更新が遅れて、大変申し訳ありません。


  サクラが入院してから、三日と半日が経過した今、サクラの容体は全快し、医師から退院の許可を得ていた。重傷を負ったはずだったが、今の、魔法が取り入れられた医療技術にかかれば、二日程度で完治することができる。

  ので、退院手続きをした後、リョウに迎えられ、今は耳が遠いフロントの宿に、部屋をとって休んでいた。もうここは、リョウ一行のお馴染みの場所となっていた。

  退院したばかりなのだが、ダンジョンへの出発は、今日の夕方あたりだ。のんびりしてもいられないので、少しでも身体を慣らしておこうと、サクラは部屋で剣を抜き、ユニコーンに電気の溜めかたを教わりつつ、狭い部屋の中で、物を壊さないように細心の注意を払いつつ、剣を振るっていた。

  剣は長剣だが、エンチャントの効果で、羽根と同じくらい軽い。退院後のリハビリとしては、ちょうどいいものだ。

  しばらく剣を振るっていると、ユニコーンが言っていた通り、刀身の周りに、淡い輝きを放った、黄色い(いかづち)がコーティングされた。これで、電磁砲(サンダーシュート)や、流星(サンダーフォール)を使用できるだろう。

  とはいえ、ダンジョン内は狭い洞窟だ。何れかの技を使用するとしたら、電磁砲のみになるだろう。しかし、電磁砲は、流星とは違い、飛び道具を使った遠距離攻撃で、それに加え攻撃範囲が広いので、サクラより前衛の仲間に当たってしまう可能性がある。何れにせよ、使用は難しいだろう。となれば、なるべく能力を使わずに、己のパワーのみで敵を倒す事が、妥当な手段になるだろう。


「難しいなぁ」


  能力は高いのだが、個々の技に、どうも協調性が足りないようだ。


「おまけにいちいち電力を溜めなきゃいけないし……」

『……何か、私の悪口のように聞こえて、良い気持ちがしないのだが……』

「はっきり言って使えないような……」


  グサッ


『やめて、サクラたん。精神的に持ちそうにない』

「あっ、ごめん」


  サクラも流石に、ユニコーンがキャラ崩壊するほど傷ついたなら、自分の能力と同時にユニコーンの能力であるものに、ケチをつけるのはやめにしたほうが良いと悟った。


  ◆


  しばらく剣を振っていると、出発の時がいよいよ迫ってきた。サクラは剣を鞘に戻し、それを背中に背負う。部屋を出て集合場所であるギルドへと足を運んだ。そこには、サクラ以外のパーティメンバーが、ヌーバを除いて全員集まっていた。皆、鎧やロープなどで、装備を固めていたが、サクラだけは普段着、つまり布装備だ。

 

「……やっと来たかと思ったが……なんだ? その装備は」


  インダルが腕を組んで片目でサクラを睨む。相当気に入らない様子だ。他のメンバーも、反応は様々だが、その服装が当たり前のように見る者はいない。

 

「装備はあります。……じゃあ、ここで私の能力、解説しても良いですか?」

「えー? 何それ何それー! 君雷属性だよねー? だよねー?」

「……チー、うるさい」


  サクラが雷属性だということは、もうすでに公開しているが、実際雷属性ではない。無属性だ。しかし彼らはサクラが無属性である事を知らない。

 

「ユニコーン」


  心の中で唱える。すると、サクラの足から、純白の鎧がみるみる纏われていく。それを、パーティのメンバーは興味深そうに見ていた。


「そなたは雷属性ではなかったのか?」


  サクラの変身を見ても、少しも動揺した素振りを見せないインダル。彼が問う。


「少し、特殊な雷属性なんです。電気が溜まりにくいっていうか、なんていうか……」

「…………まぁいい、時間も無し、行くぞ」


  サクラが返答に困っていると、インダルは溜息を一つ吐いて切り出した。

  インダルは、性格的にシビアなところもあるが、基本的には心が広い男だ。だが、こういうタイプの人は怒るとかなり怖い。

  ギルドの受け付け嬢に、ダンジョンへ出発すると、言い渡す。あとは、インダルの仲間が構築した、魔法陣のある場所へと向かうだけだ。魔法陣のある場所は、正面門が掘られた城壁の、丁度上にあるらしい。

  一行は、早速そこへ出発した。


  ◆


  壁の上へ来るなり、サクラは驚いたように口を開けた。リョウの召喚術により、魔法陣は何度も見ているが、これは、馬が四頭ほど入れる大きさであり、しかも、円で囲まれた文字などが、とても細かい。こんな魔法陣を見るのは初めてだった。

 

「ヌーバ、起動を頼む」

「あんよ」


  サクラ達がここに来るまでに、魔法陣を構築していたヌーバが、持っていた杖で、カツン、と、地面を叩く。

  すると、魔法陣はエメラルド色に輝き出し、風を巻き起こし、光を一直線に、天空に放った。

  どうやらこれで、転移可能になったらしい。


「わりげど、三日程度じゃ一方通行の魔法陣しがつぐれながったべさ。ゆるしてけろ」


  ヌーバが、手を合わせて謝る。「十分だ、よくやった」と、インダルが制すと、魔法陣の一歩手前まで歩み寄り、そこで振り返り、右手を挙げた。


「これより、『エムズ・ワールド』の攻略を始める! 皆、武器を持て!」


  インダルが叫んだおかげで、パーティの皆に喝が入ったのだろう。それぞれが愛用する武器を利き手に持ち、それを勢いよく天空に突き出し、雄叫びをあげた。


「いくぞ!」


  インダルも自らの薙刀を掲げ、迷いなく魔法陣へと飛び込んでいった。

  魔法陣に入ったメンバーは、次々と虚空に消えていく。

  サクラも己の剣を掲げ、魔法陣へと飛び込んでいった。

  彼女は、これから待ち受ける迷宮で、数々の経験を積み、勇敢な冒険者となっていくのだ。

今回は短いですが、冬休みも終わるので、ガンガン更新できると思います。


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