二話 スバルの召喚術
ここは、イリシアネの街。
小さくないが大きくもない街だ。
住民は、数えきれないくらいいる。
月日を重ねるごとに住民が産まれたり死んだり、引っ越して行ったり引っ越してきたりなど、一年に数人程度増えたり減ったり、あるいは変わらなかったりする。
この街には、民家はもちろん。教会、宿屋、武器屋、よろず屋があり、児童保護施設まである。
いたって平和な街である。
今日も冒険者達がこの街を訪れる。
旅の羽休めや、ダンジョン攻略の拠点にしようとやってくる。
この街に危機が迫っているとも知らずに……
今日もやってくる………
★☆★☆★
私は木々が生い茂る道無き道を、木の枝や草を掻き分けながらスバルとナビどらごんに着いて行く。
目的地はイリシアネの街だ。
「ていうか、私もイリシアネまで用があったんだよね」
「んだよ。それを早く言ってくれ。魔王城までついてくると思ったじゃねぇか」
などと話しながらイリシアネを目指す。
用というのは、イリシアネの街にてよろず屋を営んでいる私の父、ラクデーンに薬草を届けに行くためだ。
去年はとても繁盛していたけど、今年はどうなのだろうか。
イリシアネに行ったらこの最強の召喚士の事を紹介しないとなぁ。
そういえば……召喚術はどの様なものなのだろう。
そう思い、今目の前にいる召喚士に聞いてみる事にする。
「ねぇ、スバル?」
「ん、なんだ?」
「スバルの召喚術ってどういうものなの?」
「ああ」
どうやらスバルは説明してくれる様だ。
「俺の召喚術普通の召喚術とはちょっと違うんだ」
「違う?どこが?」
「まず、普通の召喚術は、召喚獣と最大三体まで契約して、従わせる事ができる。でも、俺の召喚術は、召喚獣と何体でも契約できる」
「何匹でも?」
「ああ。それに、召喚獣は一体までしか召喚できないけど、俺の場合。一気に五体召喚できる」
あぁ、やっぱり、やっぱりただの召喚士じゃなかった。
「しかし、そんなチーt……特別な能力を使える代わりに、デメリットがある」
「デメリット?」
「召喚獣を五体死なせてしまうと、俺の身体はパーンって破裂する」
「!」
ああ、やっぱり強すぎるとデメリットが生じちゃうんだな。
あれ?待てよ。という事は?
「じゃっ、じゃあ!スバルは…あと二体死なせちゃうと…」
「そうだな。俺の身体は破裂する。」
………二体。
その数字は多いようで少ない。
「あとは?」
「……………あっあぁ。ごめん」
考えてぼーっとしていた。
「それで、契約っていうのは?」
「…契約は、俺の身体の一部か、内蔵を捧げて契約する。」
「へ、へぇ、」
「フェニックスやグリフォンとかは血が少量で済んだが、ユニコーンには右脚を取られて、今は義足を使ってる。」
「み、右脚……?」
「ローブに隠れて見えないが、義足だぞ?」
彼の言う通り、本当に義足らしい。
「でも、なんでそこまでして、召喚術を使う必要があるの?」
「それは僕も聞きたいナビ。」
ナビどらごんは真剣な顔をして聞いた。
私も真剣だが、私より真剣だ。
「ユニコーンよりも、超巨乳女剣士や超セクシー女白魔導師とかと契約すればいいナビに…。」
「それはお前の都合だろ!」
ナビどらごんは真剣でしたが、別の意味で真剣でした。
ナビどらごんが「超巨乳女剣士のためなら、頭だって心臓だって捧げるナビ!」
などと言ってるのを無視して、スバルは話を戻す。
「こほん。えっとなぁ。それはまだ言えない」
「どうして…?」
「こっちの事情だ。自分の脚よりも大事な…事情……」
スバルはどこか悲しげな声で言った。
この召喚術師は、何か壮大な過去を背負っているような感じがした。
「そうだ!スバル。エキドナと契約するナビ!」
「そうだなぁ。それもいいかm…」
「エキドナと契約したら…僕も…あの巨乳に埋もれ…」
「結局はお前の都合かよ!」
「スバルッ!僕のハーレム人生はぁぁぁ!おぉぉ前にかかってるナビ!」
「知るか!んなもん!」
こんなに明るく?ナビどらごんと漫才やっているのに…
「なん…だって?…僕の熟女ハーレムが……こうなったら、サクラ!」
「はい!?」
「熟女になれナビ!」
「えー!?」
「やめろ!犯罪者予備軍!」
「熟女サイコー!」
「はぁ、もう、こいつおいて行こうかな」
などとやりあって道を歩く。
……ドォォォォーン
「きゃっ」
「!」
突如、爆発音と思われる爆音が鳴り響く。木々に停まっていた鳥達が、一斉に大空へと逃げる。
スバルは、爆発音の起こった場所を探した。そして、しばらくして、ある方向から狼煙が上がった。
その方向とは…
「イリ…シアネ?」
「………!お父さん!」
私はイリシアネの方向に向かって走り出した。
「あ、待つナビ!サクラ!」
私は無我夢中で走っていたため、後ろのナビどらごんの声が聞こえなかった。
「ナビどらごん!俺達も行くぞ!」
「分かったナビ!」
私はイリシアネまであと数メートルの所で、ある臭いを嗅ぎ取った。
「……鉄……いや、…血…?」
走るスピードを上げ、光に向かって走る。そこを抜けるとイリシアネの街。
そこで、私は目撃した。
破壊された家屋。
えぐれている石畳の道。
燃えている教会。
人間の死体。
「……!ウッ、ぅぅ……」
壮絶な吐き気に襲われるが、手で口元を抑え、見苦しい光景から目を逸らした。
「サクラ!」
後方から、私を呼ぶ声が聞こえてくる。スバルだ。スバルは私に駆け寄ろうとしたが、おぞましい光景を見て足を止めた。
「これは……ひでぇな」
「ぼーっとしている場合じゃないナビ!」
「…そうだな。ナビどらごん!生き残った住民がいないか見回って来てくれ!」
「分かったナビ!」
「死ぬなよ!」
そして、スバルは私の肩に手を置いた。
「お前はそこの茂みに隠れてろ。気持ち悪かったら無理すんなよ」
私は小さく頷き、言われたとおり、 茂みに隠れた。
スバルはナビどらごんが行った方向を追いかけて行った。
スバルに言われた通り、この茂みに隠れていた方が安全だが…
「…お父さんがっ」
自らの父親の事を思い出し、愚かに街に出て行ってしまった。
そして、ラクデーンの営むよろず屋へ走って向かった。
死体が帯びただしいほどあり、吐き気がしてくるが、ぐっとこらえ、よろず屋へ向かった。
しばらく走って、よろず屋の前の道路で、ラクデーンが倒れているのを発見した。私はラクデーンに駆け寄り、話しかけた。
「お父さん!」
「……この声……サクラ……か?」
「そうだよ!サクラだよ!お父さんケガしたの?」
見ると、脚にガラス片が刺さって血が出ていて、うつ伏せで動けない状態でいる。
「俺はいいから……逃げろ……」
「やだ!お父さんを置いていきたくない!」
「逃げろ!」
「いや!」
「いいから…逃げろ!…ッはぁぁっ!?」
突然、ラクデーンは驚愕の表情を浮かべて、悲鳴を上げた。ラクデーンが見ているのは、サクラではなく、サクラの背後だった。
背後からドスンと鈍い足音がした。
身体中に悪寒が走った。
ドスン。というのは、人間の音ではないだろう。だとすると……
恐怖を感じながらも、恐る恐る、振り返ると、そこには………
「ま、魔物!?」
僕が掲載している、「不細工な俺が夢を見た結果」ですが、色々と悩んでいるため、次の投稿が遅くなるかもしれません。ご了承ください。
6/7:おかしかった点を修正しました。




