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ただの召喚士(本人自称)  作者: 進夢 ロキ
第2章 ナルーガ王国の異変
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二十二話 蘇った一角獣

「おまっ!?もしかして、ユニコーン!?」


スバルは、驚きの表情を浮かべて、ユニコーンを右手で指差しながら言った。

少し腰を抜かしている。


対するユニコーンは、頷くようにしっかりとスバルを見捉える。


いま、何故、スバルの前にユニコーンが現れたかというと…


「そうか…孵ったんだな。ユニコーン」


そう。

魔王と闘い、致命的なダメージを負い、卵を残してこの世を去った、スバルの最強の召喚獣、ユニコーン。

その残した卵が孵り、今、最強の召喚獣が、ここに蘇った。


その姿は、まだ産まれたばかりだとというのに、勇ましく、煌々しい。


『よく帰ってきた…ユニコーン!』


スバルが意識を集中し、ユニコーンにテレパシーを送る。

送られたテレパシーを、ユニコーンはキャッチし、それに応じるようにテレパシーを送り返す。


『我が名はユニコーン。主に使えるべく、ここに参上した。主よ、早く指示を、私にはやるべき事があるのだろう?』


送られてきたテレパシーに、スバルはどこか懐かしい感じがした。

ーーやっぱり…お前と変わんねぇよ。

お前の…息子も


『ああ、でもその前に…契約だ』

『ああ、主の左目を貰い受けたい』

『全く、お前はいちいち契約条件が重いな。もっと安くなんねぇのか?』

『主がそれでいいのなら。…もっとも、本来の力を発揮できなくなりますが…』

『ああ、それなら仕方ねぇな。…ほら、俺の左目を貫け』


そう言ってスバルは右目のみを瞑る。


『承知した。では…』


ユニコーンはその一角をスバルの左目に向ける。

そして……


『失礼ッ!』


勢いよく突き刺し、深く抉らないうちにその眼球を抜き取った。

辺りに血が飛び散り、スバルは激しい激痛に耐えながらも、何とか声をあげなかった。


その抜き取られた眼球は、緑色の光と、入れ替わるかのようにだんだんと薄れていき、やがて緑色の光を残して消えて、その光はユニコーンの角に溶け込むように一体化した。


『主の左目、貰い受けた。これにより契約は完了し、我はその契約の状に従い、主の剣となろう。

さあ、主よ。最初の仕事はなんだ」


左目を失って尚、平然としているスバルは、そのユニコーンに最初の仕事を告げる。


『俺の仲間の剣になれ。今、巨大なドラゴンと戦ってるらしい。お前の目なら、多分すぐに見つけられると思うぜ』


それに、ユニコーンは頷く。


『承知。…仲間とは、どのような者なのだ?』

『まだ戦闘に赴くには少し早いって具合の…』

『処女か?』

『食いつき早いな。ああそうだ、助けた暁には、そいつに膝枕してもらえ』

『良いのか…?』


息を荒くするユニコーン。


『ああ。 …じゃあ行け!』


命令を出すユニコーンの主。

ユニコーンが受け取った最初の仕事は、「スバルの仲間の処女に助太刀すること」。


ユニコーンは、まぁもちろん、仕事は引き受けるのだが、その処女のためならと、乗り気だ。


『承知………デュフフ…』

『かっこよくねぇぞ!』


と。

前足を上げて、天に向かおうとする一角獣。


「騒がしいですよ患者さーん…てっ!?

えええええええええええっ!?」


途中、扉を開けて、診療所の看護士が入って来るなり、目の前の光景に声をあげる。


ユニコーンは、窓を突き破って、天に向かって優雅にかけて行った。


「頑張れよ。ユニコーン」


スバルはそう、ユニコーンが行った方向に呟いた。


☆☆☆


「バカな!?何故一角獣がここに?」

「てええやぁぁぁぁ!」


サクラはユニコーンに乗馬したまま、剣をミュラに振る。

ミュラはその剣を、剣で受け止め、弾き返した。


「ぐっ!?」

「クソ、ムダな力が入った」


壮絶な金属同士の衝撃に、サクラはバランスを崩してユニコーンから転げ落ちる。


「サクラは下がってナビ!」


サクラの前に一緒に乗馬していたナビどらごんは、ユニコーンと共に…


「ユニコーン!いくナビ!」


ユニコーンは、角をミュラに向けて、勢いよく駆け出したかと思うと…


ヒュオンッ!


という音と共に高速移動し、ミュラに一閃する。

ミュラは咄嗟に剣でガードし、フットワークを使って、3メートルほど遠ざかる。


ミュラは焦りを感じていた。

ーーこいつ…オイラとの力が互角!?

この俺が本気を出したのか…?


フッ。と、薄笑いを浮かべた後…


「おもしれぇ、おもしれぇぞ!このオイラが本気を出すとは思ってなかった!」


両手を広げ、狂ったように笑う。


「いいゼェ!来なよ!どっからでも!」


剣を前に突き出し、やれるもんならやってみなと言わんばかりの表情を浮かべてユニコーンを迎えうつ。


ヒュオンッ!


また風が駆け抜けるように一直線にミュラへと駆けていくユニコーン。

それは、視認など出来るはずもなく、それなのにミュラは反応し、剣を構え、来たる一角の突きを防ぐ。


この一撃を、ミュラは今まで受け流していたのだが、今回はつばぜり合いの真っ向勝負をしている。


両者共、力は互角。

疲労、もしくは奇跡でも起きないと、このつばぜり合いは終わることは無いだろう。だが…


「見せてやるよ。オイラの能力ッ!

ーー秘技!『ミステリーソード』ッ!」


その奇跡は起こる。

ミュラは、なんと剣を、鋼でできたなんの変哲も無い剣の、その鋼を、スライムのようにぐにゃぐにゃとした物体にし、

つばぜり合いをしていたその剣は、グニャァと、弧を作り、ユニコーンの一角を受け流した。


まぁ、受け流す事は先ほどと変わりないのだが、その受け流し方がまるで違う。


その曲がった剣はそのまま硬化し、本物のサーベルソードとなった。


「もう一つ!

ーー『イマジンソード』ッ!」


次はそのサーベルソードが、ミュラの目の前に現れ、宙を微動だにしないまま浮いている。


ミュラはそのサーベルソードを手に取り、あっという間に双剣使いとなった。


「これで分かった?オイラの剣の能力は、剣の形を自由に変える、『ミステリーソード』。剣をもう一本用意できる『イマジンソード』。さぁさぁ、オイラを楽しませてよう!」


ユニコーンは再びミュラに向かって突進する。

また、とても素早かった。

しかし、こんな突進を何度しても、疲労が溜まっていく一方で勝算は掴めない。


「またそれぇ!?ユニコーンといえど、バカなもんなんだなぁ!」


しかし、そんな事などユニコーンとうに分かっている。勝算が掴めないということは、理解している。

ならばユニコーンも秘策を持っているに違いない。


「いいや!次の突進は今までの突進とは違うナビ!」


剣と角が衝突。火花が飛び散り、空間が揺れる。

そして、つばぜり合いが生じる。


「おまえは判断ミスしたナビ!」

「はっ!どこがぁ?オイラはこのまま大剣にも変えて押しきれるし、空間に大量に剣を出現させて、アンタもろともこいつを串刺しにすることだってできるし!?」

「そんな時間、無いナビ」


何故なら…


ズガァァァン!


その一角に落雷するからだ。


激しい落雷で、地面が抉れ、砂埃がたつ。その砂埃に、ユニコーンのシルエットが映る。

フットワークで退いていていたミュラは…


「はっ!…突然で驚いけど、無残だなぁ。オイラじゃなく自然災害のせいでその自慢の角を失うん…」

「いいや。角はあるナビ」


砂誇りが消え、現れたユニコーン。

雷が直撃した、そのユニコーンのシンボルは、壊れてなどおらず、むしろ輝いていて、それで電気を纏っている。


「なっ!?なんで!?」

「ユニコーンにも、『充電(サンダーチャージ)』っていう能力があるナビ。『充電(サンダーチャージ)』は、辺りのあらゆる電気を、角に集めて、自分の俊敏さとか、力をあげる能力ナビ。そして、その集めた電気を…」


ユニコーンは、角をミュラに向けて…


「食らえ!『電磁砲(サンダーシュート)』ッ!』


収集した電気を、ミュラに向けて一直線に放った。

ミュラは、その光線を避けきれず、電磁砲の餌食となる。


「がっあああああ!?」


ミュラは、その電磁砲の威力に悲鳴をあげる。相当効いている。


やがて電磁砲が止んでしまい、ミュラは

痛みから解放されるが、体にはまだ痺れが残っているようだ。


「はぁ…はぁ…今のは…効いた…」

「まぁ、収集した電気は、当然、放出する事ができるナビ」

「…へぇ…すごいねぇ」

「もっとも、落雷を受けた時点で、僕は気絶するだろうし、僕の言葉を聞いた時点でおかしいと思うべきだったナビよ?」

「ふふ、生意気な奴。…さて、続きやりますかね」


そう言ってミュラは双剣を構える。

ミュラはボロボロで、まだ痺れがある。

目の前の一角獣に勝つ確率は、少なくなったわけで…


「チッ。…これだけは使いたくなかったんだけどなぁ…。 仕方ないや」


少なくなったら、当然何か工夫するわけで…


「まさか、まだ能力を?」

「あったりまえじゃん」


ミュラは、薄笑いを浮かべる。

そうすると、なんと持っていた双剣の一つを心臓に突き刺した。

赤黒い血が、胸と口から放出される。


「これやっちゃうとね、頭が回らなくなって、刺激を楽しむ事も忘れちゃう。

本当にやりたくなかった

…お前らのせいだ」


その、放出された大量の血から、禍々しい黒い霧が出てくる。

その黒い霧は、やがてミュラをドーム状に包み込み、ミュラの姿は見えなくなる。


「これは…マズそう…ナビね」


危険を察知したナビどらごんはユニコーンに…


『ユニコーン!サクラが居る場所へ!』

『了解!』


と、指示をした。


☆☆☆


ユニコーンと、ナビーちゃんが奮闘している間、私はナルーガさんの手当をしていた。


ナルーガさんは、突然気を失って、見た所だいぶショックを受けていたようなので、とりあえず寝かせている。私はその見張りといったあたり。


他にも四人、倒れている人がいて、そのうちの三人は人じゃなかったけど、初老のガタイのいい男性には、まだ意識があった。


運べなくはなかったので、とりあえず運んで、ナルーガさんの横に寝かせてるけど、…これ、多分、「猟犬(ヘルハウンド)」って呼ばれてる人だよね?

その人を、こんな気を失わせるような事する敵は、とてつもなく強いと思う。


その証拠のように、先程から、凄まじい金属音や、その他もろもろの音が聞こえる。


でも、その音も、つい先程聞こえなくなった。

戦いの結果が、着いたのだろうか。

ナビーちゃんとユニコーンは、大丈夫だろうか。


「サクラァ!」


突如、頭上から私を呼ぶ声がした。

振り返って見上げる。

そこには美しい一角獣の姿が…


ーーナビーちゃんだ!


「ナビ…」


ナビーちゃんを呼ぼうとした。

しかし、それ以上に大きい声を出すナビーちゃんの声に、私の声は遮られてしまった。

なぜなら…


「早くそこの二人連れて逃げるナビ!

今、そこはすっごく危険ナビ!」


ーー危険?


何故だろう。

先程と比べてものすごく平穏なのに。


だけど。

次起こった事で私はすぐさまここを危険な場所と判断した。


「グァァァぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


左の方からとてつもない轟音が響いた。

空中に、全身が真っ黒で、禍々しく、邪悪なオーラをまとった、大きなドラゴンがバサバサと羽ばたいていたのだ。


あれ? あの姿。

なんか見覚えがあるような…


確か昔…お父さんから、このドラゴンの話を聞いた。


記憶に頼る限り、あいつは…


神食らい(ヴリトラ)…?」

ユニコーンは何故こんな能力を使えるのかは次の話かその次に記します。お楽しみに!

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