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ただの召喚士(本人自称)  作者: 進夢 ロキ
第2章 ナルーガ王国の異変
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十九話 四剣士

「大変ナビ!王都の北に突然巨大なドラゴンが現れたナビ!」


爆発音が、辺りに鳴り響き、大地が振動する。

爆発音は、もちろんすぐに収まったが、地震はまだ続く。


そんな状況で、スバルは冷静に揺れが収まるのを待っていた。

ちなみに私は揺れた時、小さくて短い悲鳴を漏らした。


「ああ、分かった。…行こう。」


地震が収まった時、スバルが言い、膝を立てて立ち上がろうとする、が…


「いっ!?」

「スバルはまだダメだよっ!」


そう、スバルはあの怪物との戦闘で、今は、なんとか意識を取り戻しているが、身体の方は全く回復していない。


「スバル、お前の怪我は、少なくとも一週間はたたないと治らないらしいナビ」

「なんだと!? ……そんな……」


怪我が治る時間が長すぎるのを聞かされ、スバルは驚きを隠せないでいる。


「だから、スバルには大人しく寝ててもらうしかなさそうナビ。今、この状況じゃあ、猫の手でも借りたいくらいだから、仕方ないけどサクラだけ連れてくナビ」

「…ッ!クソ… 仕方ないのか…」

「私なら大丈夫だよ。スバル。私、あのドラゴンを倒して帰ってくるよ!」

「……ああ、分かった。サクラ、間違えて死なないようにな」

「分かってるって!」


私は笑顔で右腕を前に出し、親指をたてる。

ここだけの話。自分だけで行くのは、本当はものすごく心配だ。でも、スバルの期待に応えてみせる。


スバルが「俺を信じろ」と言わんばかりの事をしたように、私もスバルに信じてもらいたい。

ーースバル…絶対帰ってくるよっ!


「さあ、早く行こうナビ!あまり時間がないナビ!」

「うんっ!行こうっ!ナビーちゃんっ!」


そう言って、私とナビーちゃんは、部屋の扉を勢いよくあけて、王都の診療所を飛び出していった。


☆☆☆


俺は、サクラとナビどらごんを見送った後、魔法が使える程回復しているか試してみた。


いつものように魔法陣から『精神召喚(サモンズスピリット)(ロッド)』を取り出してみると、何も問題なく普通に取り出せた。


しかし、杖を取り出した時に、あることに気づいた。

そのあることとは…


☆☆☆


妖刀『龍滅』の、二つ目の能力とは…


斬撃(スラッシュ)


ナルーガは、空中に、大きく刀を振り下ろした。

すると、やはり斬撃した後に残る青い光。まるで、刀を筆代わりに書きぞめでもしているかのようだ。


だが、今回は、『爆発(エクスプロージョン)』を発動するわけではない。


実現(リアライゼーション)


青い光の斬撃が、より一層光を放つ。

そして、ナルーガはそれを確認すると、崖から空中に向かって身を投げた。


と、思われたのだが、なんと先ほど描いた斬撃に足を付いて走っている。

そのまま、斬撃の切れ端に向かって一直線に走っていき、切れ目のところで雄叫びをあげながら跳ぶ。


勢いよく飛んで、そのままドラゴンに向かって接近していく。


「おりゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


刀を空中で、両手に掲げドラゴンの背中に最大まで接近した時、一気に振り下ろす。


体を傾け、広範囲の肉に刃を入れる。

体を捻って肉を下へ、下へと斬っていく。

赤黒い血が、勢いよく飛び出して行き、辺りに血の雨を降らせる。


ズザザザザザと、降下しながら斬っていき、ドラゴンの尻尾辺りで刀を抜き、フィニッシュで尻尾に刺し、落下の反動を抑える。


ーーやっぱり肉が分厚い…


ドラゴンは、少しは呻いたが、それだけだった。

ナルーガは地面に着地する。と、ドラゴンの切り裂いた跡が、縮まっていき、傷を塞ごうとしている。


「させるかっ!『爆発(エクスプロージョン)』っ!」


指を鳴らすと、切り裂いたところから爆発していく。


「グァァァァァァァッ!」

「よしっ!効いてるッ!」


ドラゴンが、大きな呻き声をあげながら、辺りに肉塊や血をばらまいている。

多少のダメージにはなっただろう。


「うわ…グロい…」

「本当に妖刀って感じだな」

「一人であれほどのダメージを与えるとは、あの若造、すごいのぅ」


そう言っているのは、初老の、鎧の上からでもいい体つきをしていると分かる、無精髭の男。

金髪の、チャラい容姿の、青いマフラーを巻いて、革の鎧をしている男。

真っ白なストレートヘアーで、整った顔立ちの、革の鎧をしている女だ。


他にも、赤いベストに身を包んだ、赤髪の身軽な男がいる。


全員冒険者で、同じパーティだ。

パーティ名は「四剣士」。

その名の通り、剣士四人で固めたパーティである。


「さて、わしらも若造一人に負けてはおられん」

「ああ、ジジイの言う通りだ。いくぞ!」

「「了解ッ!」」


赤髪剣士の合図で、他の剣士は一斉に散る。

赤髪は、そこにとどまったまま…


「属性開放、(フレイム)ッ!

紅蓮(プロメテウス)(ソード)』ッ!」


赤髪が、腰に下げている鞘から炎が吹き出すように長剣が抜かれていく。

この剣の属性は火属性だ。剣に炎が渦巻きながら纏っている。


「属性開放、(ウォーター)変換(グレードアップ)(フローズン)ッ!『渦巻(ポセイドン)(ソード)』ッ!」


一方女剣士の方は、鞘から水しぶきを放ち、長剣を抜刀して、正面に両手で構えると、刃が根元から、パキパキという音をたてながら、ゆっくりと、氷を帯びていく。

剣の属性は水だが、氷へと変換している。


赤髪剣士も、女剣士も、一斉にドラゴンへと向かっていく。


ドラゴンに限りなく近づいたところで、二人とも常人ではありえないような跳躍を見せ、そして…


「『創造(オメテオトル)(ファイア)』ッ!」

「『絶対零度(アンリミテッドブリザード)』ッ!」


二人同時にドラゴンの膝辺りへと切りつける。


その斬撃は、斜めに十字、つまりクロスを描いた。

炎の攻撃は傷を広げ、氷の攻撃は自然治癒を許さない。


それに気づき、ドラゴンが尻尾を振って、二人をなぎ払おうとした。

しかし、またもや二人は超人級の大ジャンプを見せた。二人の下を、太くて巨大な尻尾が通過する。


二人は攻撃を避けつつ、再び攻撃を開始する。


「『不死鳥(フレイム)(ダンス)』」


赤髪は、空中を蹴って加速する。

ドラゴンに一直線に接近し、接触する前に体を捻り、背中を前にする。


そしてドラゴンに、片手で、振り向きざまに炎属性の斬撃を入れ、横に傷を入れる。

そのままドラゴンの傷を蹴って、斜め上後方に跳躍。


一定の距離を持てたら、長剣を振り下ろし、その重力に従って赤髪の体は前に回転する。

回転しながら接近すると、振り下ろすような形でドラゴンの肉に引っ掛け、そのまま降下。


豆腐を切るように気持ちよく斬れていき、肉に刃が刺さったまま地面に着地。刃を抜き取る。


ドラゴンの皮膚は、まるで火傷でも負ったかのように焼け焦げている。


その様子を、はるか上空で見上げる女剣士。赤髪が、攻撃をしているときに、ドラゴンの皮膚などを使って跳躍していた。


女剣士は、左手を広げて前に差し出し、その時に壁を蹴っての跳躍の上昇力が無くなったため、そのまま一気に降下。


降下しながらも、ゆっくりと剣を天に掲げ、両手持ちにし、ドラゴンの先ほどできた傷に向かって斬撃。


ただ見ただけでは、対象物が何もない状態で、剣を振り下ろしたように見えるが、これはあくまで、ただの斬撃ではない。


斬撃(・・)の、衝撃波(・・・)


「『(アイス)(ウェーブ)』」


パキィッ!


その衝撃波を浴びた傷は、一瞬にして氷漬けとなった。つまり、これで、ドラゴンの恐ろしいほどの自然治癒能力を封じた。


「ナイスだ。キリア」

「これくらい朝飯前よ。トーガ」


☆☆☆


「まさか、あんなやり手のパーティが居るとは思わなかったナビ」

「確かに、すごいね。あの二人を見ただけでも、十分強さが感じられるよ」


私とナビーちゃんは、今、ドラゴンに驚異的なダメージを与えた二人を、安全な遠いところで見ながら話していた。


剣士特有の能力。属性。

この属性については、魔法攻撃でも用いられるのだが、魔法攻撃は、詠唱や、技の種類によって、出す攻撃の属性が決まってくる。


例えば、地獄火炎(ヘルファイア)は、上級魔法炎属性攻撃。など。

つまりは魔法攻撃では、杖は、属性を持たないが、杖から出す魔法攻撃は、色々な種類を持っているということ。


しかし、剣の場合は、魔法攻撃とは少し違う。

魔法攻撃によって属性が変わるのではなく、剣そのものが属性を持っているのだ。


例えば、あの赤髪剣士。

さっきから、炎属性の攻撃ばかりを出している。それは、炎属性の能力(ちから)を宿している武器(つるぎ)を使用しているからだ。


しかも、あの強さ。

恐らくあの武器で、属性を極限まで解放していると思う。女性剣士も同じだと思う。


気になるのが残りの二人…


「あのパーティは、『四剣士』と言って、数々の難関クエストをこなしてきた、超一流のパーティナビ。その中でも、あの無精髭の大男はとんでもないナビ。冒険者歴43年。現在60歳。雷属性で、普段は穏やかだけど、戦闘になると、凄まじく凶暴になり、その凶暴さから、ついたあだ名が…」


私はナビーちゃんが口にした言葉に、ゴクリと唾を飲み込んだ。


猟犬(ヘルハウンド)…」

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