十八話 終わる戦闘 始まる戦闘
今回は少し短めです
木の匂い、麻の匂い、血の匂い、女の匂い。
いろんな匂いが鼻いっぱいに飛び込んでくる。
「………うぅ………」
体を動かすと、少しだけだが、ピクリと動いたのを感じる。
目も、多分、開ける。開いてみる。
真っ黒に見えていた視界が、やっと色鮮やかになる。
まず開いて見えたのが、少女。
この少女、見覚えがある。
たしか………ナ…
「スバル…?スバルッ!スバルッ!」
少女が、その時を待ちわびたかのように感激し、涙がぼたぼた落ちていく様子が見える。
顔がくしゃくしゃで、なんというか、感動っていうか、心配っていうか……
そんな表情をしている。
さっきから、俺の偽名を呼んでいる。
俺は答えてやる。
「な……つ…き……?」
「スバルっ!!」
「うっ!?」
突然、少女が俺の胸に飛び込んでくる。ていうかのしかかってくる。
俺の体に積み重ねるように体を預けてくる。
「スバルぅ…スバルぅぅ…」
少女は、ぐずぐずと泣き、麻の掛け布団を濡らしながら、俺の偽名を何度も何度も呼んでくる。
ーーあれ?夏木、どうしたんだ?こんな感情的じゃなかったはず……
いや、……こいつは夏木じゃねぇ。
………………… サクラ…
「サクラっ!?」
「うわああん、よかったぁぁ……よかったぁぁぁ」
俺の知る少女、サクラは泣いてはよかったよかった言っている。
ーー心配してくれたんだな。
「なぁ、サクラ」
「ぅ…なぁに」
「どいてくれないか、起き上がれない」
「はっ!?ぎょ、ぎょめんなさい」
サクラは、俺の体からサッとどけて、正座する。
どけたのを確認し、上半身だけ起き上がろうとしたところで、腰がズキッと痛む。
やはり、まだ完全回復とはいかないようだ。
まぁ、でも、起き上がることに支障はきたさないので、ゆっくりと起き上がる。
「スバルぅ…いたいところない?」
「ああ、まぁ腰がちょっと痛いけど、まぁ大丈夫だろ。……ところで、どのくらい寝てた?」
「もう3日だよぅ…私…もう目をさましてくれないんじゃないかと思うと……夜も眠れな…ぅっ…うぅ」
3日……
どうやらそうとう心配をかけてしまったらしい。
「わるい、心配かけて……」
サクラは、泣きながら、首だけをコクリとうなづかせる。
だが…
「でもなぁ、夜はちゃんと寝てくれよ。戦闘で疲れが溜まってるだろうし」
「な、なに!?心配して言ってるのに…」
サクラは、目にまだ雫が残っているが、少し頬を膨らませて言う。
「心配なんていらなかったろ、俺は絶対に戻ってくるって、言ったじゃないか。もしかして、信じてくれなかったのか?」
「信じてたけど…信じてたけどぉ…うっ…うっ」
「もう泣くなって。せっかくお前に会いたかったのに、そんな顔されちゃ、素直に喜べないだろ」
「えっ」
俺はサクラの背中を右手で引き寄せ、胸に抱いた。
サクラの力が、スッと、抜けていくのを感じる。
「ずっとお前に会いたかった」
「……わ、…私も…スバルに…」
言いかけたところで、サクラが胸からバッと抜け出す。
あら、いつの間に拘束をとく術を覚えたのやら。
サクラの顔がリンゴのように赤くなる。
ーーああ、まずい。やっぱり怒ってるか?
「す、すまん、いきなり」
「なんで謝るの?」
「え?だって、いきなり抱き寄せたら怒るだろ?」
「怒ってないよっ」
「そ、そうか」
なら、何故顔が赤いのか、うんまぁ、どうでもいいか。
「んもぅ…ずるい…私が先に…」
「ん?なんか言ったか?」
「なっ、なんでもないよ!」
「?」
さっきからサクラの様子がおかしい。
顔が赤いから熱でもでたのか?熱のせいで頭がやられたのか?
「熱が出たのなら…」
「熱じゃないの!……スバル」
「何だ?」
「ずっとまえから…言いたかった…
わ、私…スバルが……す…」
バタン!
突然、この、木の家のドアが勢いよく開かれる。
ドアの中から出てきたのは…
「大変ナビ!王都の北に突然巨大なドラゴンが現れたナビ!」
ナビどらごんだった。
俺がナビどらごんを認識した途端に、大きな爆発音が響き、大地が揺らいだ。
☆☆☆
王都から北にある、草原あたりに、そのドラゴンは存在していた。
そのドラゴンは、全長で、中世風のお城を二個積み上げた高さくらいはある。
そのドラゴンは、暴れるように、憎しみを吐き出すように、大きな火球を四方八方に吐いて、あたりを焼け野原にしている。
そのドラゴンに応戦すべく、ナルーガ兵が出陣したが、28万はいた兵が、一気に3000人程度に減ってしまっていた。
火球で焼かれたり、爪で薙ぎ払われたり、踏み潰されたり、あの、ナルーガ兵長のダツノでさえ、戦意喪失して自殺をはかろうとする程だった。そこまで状況は苦しかった。
しかし、そんな状況を打開する光があった。
ナルーガだった。
ナルーガは、妖刀 「龍滅」 を持っていたので、ただの鉄製の武器を扱う歩兵よりはマシ…いや、莫大な戦力になるほどだった。
不思議なのが、なぜか、ナルーガはその妖刀の扱い方、特別剣技の出し方まで知っていた。
しかも、その剣の能力まで…
その剣の能力、それは…
「斬撃」
空気中で刀を振る。
すると、空気中にうっすらとした、青い斬撃の跡が残る。規模で言うとだいたい、拳三つくらい。
すると、ドラゴンが大地を揺らしながら近づいてきて、危うく踏み潰されそうになるが、卓球選手のような反射神経で、フットワークを使ってスレスレでかわす。
そして、ナルーガが元居たところに、足を置かれたのを確認し、ナルーガはニヤリと笑い、右手で指をパチンとならす。
すると、その音と共に、さっきできた斬撃のあとが突然…
「爆発…」
した。
そう、この妖刀の能力は、天、地、生物問わず、斬った場所を爆裂させる能力だった。
しかし、拳三つ分の斬撃では、小さな爆発しか怒らないので、このドラゴンには、何が起こったのかわからないほどの攻撃であった。
ナルーガは爆発したのを確認し、大きく地面を蹴って左に飛ぶ。走り出す。
走り出すと同時に、ナルーガは考える。
ーーこの剣は、大きな斬撃ほど大きな爆発が起きるから、大きな斬撃を描くためには、時間、速さが必要になる。
「苦しいなぁ。このドラゴン大きすぎるよ… 足元ばっかり攻撃してたら全然進歩しないし、空でも飛べたらなぁ…
…空…そうだ!」
そして、ナルーガはある方法を思いつき、周囲の歩兵達に言う。
「僕!次の攻撃をするから!ちょっと頑張ってぇ!」
非常に無責任だということをナルーガは知っていた。だが言った。
なぜなら、この剣の、二個目の能力
を発動させるには、少々時間がかかるからだった。
技名の英語ですが、合ってると思いますが、合ってなかったら、言ってください。




