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ただの召喚士(本人自称)  作者: 進夢 ロキ
第2章 ナルーガ王国の異変
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十六話 闇色の平和

「ふぅぅぅ…」


ナルーガは怪物との戦闘に勝利し、安心感からか、盛大なため息をついた。

全身から力が抜け、ナルーガはその場に倒れこむ。

そこへ、リーシアが、小走りで寄ってきて、ナルーガの前でしゃがむ、と同時に、 ナルーガの表情を、覗き込むように顔を傾ける。


「大丈夫?」

「うん、なんとか、ね。心配してくれてありがと」

「べっ!別に!心配してるわけじゃないわよ!」


リーシアは腕を組んで目を泳がせる。

ほおが、リンゴのように赤くなっている。

ナルーガは気にせず立ち上がり、なぜかきている服についた汚れを、手で三回叩いて汚れを除去する。


「あ、そういえば!借りてた剣!」


ナルーガは思い出し、先ほど怪物が突進してきた方を見る。

剣は、意外とすぐに見つかった。のだが、真っ二つに折れていた。

それを見て、ナルーガはめまいがした。


「あれ、借り物なんだけど、どうしよう…」

「そりゃあもちろん、あなたが弁償するしかないでしょう?」

「ですよねぇ〜…」


今更どうにもならないと諦める。


「スバルゥーー!」


突如響いた甲高い声に、ナルーガたちは驚く。

その他にも、たくさんの人数で階段を降りてくる足音も聞こえてくる。

そして、登り階段に一人の少女が現れる。

サクラだった。


☆☆☆


時は、遡ること、ナルーガが目を覚ます頃のこと。

私は洞窟を出たところだった。


「はぁ、はぁ…」


夢中で階段を駆け上ったばかりで、息が切れている。気がつかなかった。

膝を曲げ、そこに手をつき、うつむく。

顔からどんどん汗がこぼれ落ちていく。

いやいや、なにを休んでいるんだ私は。早く、この事態を王都に戻って伝えないと…

身体が悲鳴をあげているのに、それを殺し、また走り出そうとした時だった。


「どうしたんですか?冒険者殿」


私に声をかけてきたのは、ナルーガ王国総合兵長、ダツノさんだった。

今、ちょうどこの洞窟を探索するところだったらしい。

私は、気持ちが抑えきれなくなり、ダツノさんへ掴みかかり、揺らしながら言う。


「スバルがッ…スバルがッ!スバルが危険なのッ!早く助けに行かないとッ!スバルが……スバルがぁッ!」

「お、お待ちください冒険者殿!まずは落ち着いて!一体…何があったのですか?」


ダツノさんにそう言われ、ようやく私は落ち着くことができた。

そして、今度は冷静に、2回ほど大きく呼吸してから言う。


「私の仲間が、危険なんです。怪物に襲われて、私を、逃がすために囮になってくれて、今…一人で…戦ってます…」

「そうなのでありますか!?ならば、すぐに入って助けにいかないと…」

「行きましょう!早くしないと!」


短く会話をした後、すぐに振り向き、私を先頭に、連れの兵士たちは階段を下っていく。

私は、息が切れているはずだったが、関係なかった。

だってスバルが、高いところで綱渡りしているほど、窮地に立たされているのだもの。

疲れとか、息切れとか、全く関係ない。

ただ、ひたすら、無我夢中に、走る。


待ってて、スバル。

あなたはッ、私が!私達がッ!


☆☆☆


「スバル!どこ!スバル!」


現れた少女は、大声で、”スバル” と言われる物を探す。

探している時の顔は、泣きそうで、これはただ事じゃないと、ナルーガとリーシアは思った。

やがて、少女は、あるところで、慌ただしく動いていた体を硬直させる。


「スバル!」


そのところとは、先ほどナルーガが剣を借りた人のもとであった。

少女は、その姿を見つけると、目に涙をにじませ、口をへの字にして、今にも泣き出しそうな表情をして、剣を借りた人のもとへ歩み寄る。

壁に背をもたれ、目を瞑っていて、傷だらけで血が出ている身体を、少女は少しだけ持ち上げ、そして、胸に耳を当てる。

すると、しばらくしてから少女の顔は崩れ、その人の胸に顔を押し付け、赤ん坊にも負け無いくらいの大声で泣き出した。

泣き始めた頃、苦しそうに階段を下ってくる、武装した人たち。

そのうちの1人が、ナルーガとリーシアで並んでいるところを見て…


「王女様ァ!」


と叫ぶ。

すると、武装人は一斉にこちらを見て、「おう王女様だ!」「ご無事でしたか!」「よかったぁ!」などの声が響く。

王女様というのは、リーシアの事である。リーシアは、「あ、あなたたち」

と、平然と答える。

一方で、「おい!あいつ殺害犯じゃないか?」「殺害犯だ!」「捕まえろ!」

などの声も響く。

殺害犯、といったものは、ナルーガのことを指差していた。


ーーえ?どういうこと?


ナルーガは困惑を重ねる。


「観念しろ!」

「抵抗してもムダだぞ!」

「殺してやる!」

「「「うぉぉぉぉっ!」」」


武装人は、剣を構えて、ナルーガに突撃してくる。


ーーな… くそ、やるしかないのか?


ナルーガは刀の柄を握る。

だが…


「やめなさい!」


なんと、リーシアが、ナルーガの前に立ち、身体を大の字にし、仲裁に入ってきた。

その行為に、武装人は、


「なにをするんですか王女様!」

「そのものはお父様を殺したんですよ!」

「そこをどいてください!」


などと言う。

それに対し、リーシアは反論する。


「違うわ!こいつはお父様を殺してない!あれは人間操作(マインドコントロール)にかかってたのよ!自分の意思でやったわけじゃないわ!これは本当よ!」


リーシアの迫力に、武装人達は圧倒される。

人間操作(マインドコントロール)というのは、その名の通り、人間の頭を乗っ取り、操作してしまう魔法だ。

本当は、中身はナルーガなのだが、リーシアは、どうせ信じてもらえ無いと思い、嘘をつくことにした。

その嘘を、武装人達は信じてしまった。武装人達は、取り出していた剣を鞘に戻し、槍を構えた状態から、直立させて持ち、ナルーガも構えるのを止める。

それを確認すると、リーシアは構えていたが為に、態勢を低くしていたナルーガに、


「どうせ信じてもらえないから嘘ついたわ」


と、耳打ちする。


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、」


そこに、また一人、階段を降りてくる人がいた。

息を切らしている、中年の男だ。


「へぇ…みんな、足が早すぎるぅ………あ!王女様!」

「ダツノ!」


リーシアは、友と、久しぶりに再開した時のような声を出す。


「いやー、王女様!ご無事でしたか!」

「えぇ、無事よ。……それよりダツノ、あの女の子はだれ?」

「はい?…ああ、はい!」


リーシアはずっと気になっていた。

あの、未だに泣いている少女は誰か。


「冒険者様です。名はサクラというらしいです」

「へぇ」


リーシアは頷きながら、スタスタとサクラに歩み寄った。

そして、座って泣いているサクラに問う。


「ねぇ、サクラ…さん?」


サクラは、依然として泣いたままだった。リーシアが問いかけても、もちろん反応がない。


「サクラさん!」

「…グズッ……わ、だじ?」


やっとサクラは反応し、顔についた涙をそのままに、振り向く。

サクラの目元は、泣きすぎで赤くなっていた。


「あなた、その人の恋人か何か?」

「こ、こっ!恋人!?恋人…だなんて…そんなッ!者では…ない、です」


リーシアはサクラが顔を赤く染めて、ひどく動揺したのを不思議に思うが、続ける。


「まぁ、どうでもいいけど、その人を助けたのは、あそこにいるナルーガだから、お礼ぐらいはしなさいよ…」

「本当ですか!?」


サクラは話を遮って、大きい声で言った。

それを聞くなり、ナルーガの処へトコトコと歩いて行き、手を握った。


「なっ、なにしてんっ!」


リーシアの声も届かず、サクラは話し始める。


「スバルを助けてくれて、ありがとうございます…」


ナルーガは、その、切ない瞳に見惚れてしまい、


「い、いやぁっ、そんなこと、別にお礼なんて…」


目が泳ぎ、口調もどこかかっこ悪くなった。


「ありがとうございます…」


サクラの瞳に涙が滲む。

ナルーガはなにもせず、黙って見とれる。


「スバルって、はっきり言って、ちょっと変だけど、優しいし、かっこいいし、頼れるひとなんです。…私、彼の事が大好きで、大好きで、すごく大切なんです。失ったら…どうしようかと思って…」


サクラの大粒の涙が、頬を伝って流れ落ち、雫となって、ナルーガの握られた手に落ちた。ジュッ… 蒸発した。


「本当に…ありがとうございます!この事は、一生忘れませんっ!」


サクラは頭を下げ、再度あげ、ナルーガの手にキスをした。そして手を離し、スバルの元へ戻っていく。

そしてナルーガは鼻血を流し、顔から白い煙をだし、気を失っている。

兵士達は、みんな歯を食いしばり、泣いていた。

一番感動していたのはダツノだった。泣きながら、頭を床になんどもぶつけている。秒速三回。


「何よ、ナルーガ、鼻血なんか垂らしちゃってぇっ!あの女ぁ…許さないぃ…」


一方リーシアは禍々しいオーラを放つ。

このオーラは、怪物以上であった。


「ナルーガ起きろっ!」


リーシアはナルーガの顔面に飛び膝蹴りを与える。

ナルーガはよろけ、目を覚ます。

すると、ナルーガはすぐさまリーシアに話をする。


「あっ、リーシア。いい夢見たんだ。

サクラさんと浜辺で手を繋いで歩く夢」


語り手側としては、ナルーガ、それ以上言うな。と言いたいところである。

なぜなら、リーシアが禍々しいオーラを放ちながら、ナルーガの胸ぐらを掴んでいるのだから。


「でさでさ、”ナルーガさんの事が好きです”って…あれ?リーシアどうしたの?」


ナルーガは気付いていない。

リーシアを怪物にしてしまったことを。


「ナルーガ、ちょっと刀貸して」


(刺激的な描写が多いので、このあと、どうなったかはご想像でお願いします)









この、平和でのどかな雰囲気の中、ある肉塊から、赤いオーラが外へ逃げ出していたことは、この中の人は知る由もなかった。

彼等全員が、これからもこのように、平和に過ごせる日は、こうなってしまった以上、二度とこないだろう。

後からgdgdでした。

すいません。飽きたらすみません。

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