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ただの召喚士(本人自称)  作者: 進夢 ロキ
第2章 ナルーガ王国の異変
17/52

十四話 決められない者

更新遅れてすみませんっ!


(7/7)タイトル変更しました。

大脱出→決められない者

ここは、先ほど激闘があった広場。

まだ、兵士やらゴブリンやらの血は乾いていない。


そんな広場で、立ち上がる人影が一つあった。


「う、…うぅ…」


呻きながら、体をゆっくりと持ち上げる。

その人影は、大人、男。

驚くことにそいつは、王を殺した男であった。


と言っても、中身が違う。

中身は、五百年前、遊び半分で宝箱を開け、剣を握ってしまったナルーガだった。


「ここは…?」


目を開いて見た光景に驚き、ナルーガは目をパチパチさせる。

無理もないだろう。死んだと思っていたら、500年ぶりに目が覚めたのだから。


ナルーガは手を膝についてゆっくりと立ち上がり、辺りを見回した。

すると、ナルーガは思い出した。


「あの洞窟!?」


ナルーガは、ここが、刀を手にしてしまった場所だと、やっと気付いた。

それに、ここには見覚えがあったからだ。


「僕は、眠っていたのか?ここで…」


ナルーガは、一歩踏み出す。


ペチョ……


「ん?」


ナルーガは、何かを踏んだような感触に、下を向く。


「うわぁっ…なんだよこれ!」


ナルーガが踏んだものは、ウィザードゴブリンだったものの肉塊だ。

ナルーガはとっさに踏んでしまった足を浮かせ、振る。


「なにが、あったんだ?」


ナルーガが見る限り、ここには異臭が漂っているし、まだ乾いていないおびただしい量の血が、床に付いている。


これを見て、ナルーガは、まだ経験の浅い11歳の頭で真剣に考えた。


まず分かることをまとめた。

ここは昔入った洞窟。

血の量から、何か事件があったこと。


次に分からないことをまとめた。

なぜ自分は目覚めたのか。

なぜ自分は大人の姿なのだろうか。

なぜこのような事件がおこってしまったのか。

事件の内容は何か。


ナルーガが考えた限りでは、分かることより、分からないことの方が多いので、困った。


一番疑問なのが、なぜ、自分は大人の姿なのだろうか。

なぜ声が大人なのだろうか。

手も大きい。

足も大きい。

筋肉がついている。

見える景色も広がった。

このようなことから、大人になったということが分かったが、自分はなぜ大人の姿なのだろうか。


「……パパ…パパ…」


困って頭を悩ませていると、背後から小さい声が聞こえてきた。

涙ながらに、パパ、パパと、嘆く声。


ナルーガは、振り返って背後を見た。

そこには、ピンク色のドレスに返り血をかぶり、両手で顔を抑えながらしゃがんで震えている、8歳くらいの幼い女の子がいた。


「なぜ、…こんなところに…」


ナルーガは幼女に駆け寄った。


「君、どうしたの?大丈夫?」


少女の小さい身体に手を置いて、幼女の顔を見ようとする。

それに幼女は、痙攣したようにビクッと跳ねる。


「あ、ごめん…」


ナルーガは一旦幼女から距離を置く。


「君、名前は?」


ナルーガは幼女に名前を問う。

幼女は顔から両手を離し、ゆっくりと顔を上げる。

すると、その幼女は、まるで怪物を見るかのように目を大きく見開き、恐怖を覚える。


「キャァァァ!?」


突然の断末魔の如き声に、ナルーガは驚き、のぞける。


「やだ、ヤダヤダヤダヤダヤダッ!来ないでッ!何もしないでッ!」


幼女は、両手を顔の前で振りながら、後ろに退いていく。

転がっている死体にも気にせず、ブチャブチャと踏みながら退き、壁に背中が張り付く。


「ま、待って!落ち着いて!僕は何もしてないじゃないか!」

「ヤダ…来ないでッ!」


少女は、ナルーガを見たくないかのように目をつむり、涙を流して震えている。

ナルーガは困りながらも、母に歌ってもらった、迷子の子猫ちゃんを思い出し、犬の兵士さんと自分を照らし合わせて苦笑する。

だが、そんな暇などないのだ。


(早くこの子を説得しないと…)

「待って!落ち着いて!僕は、何もしないからさ…」

「……ホントに?」

「ああっ!ホント!ホントだよ。……だから、怖がらないで」


ナルーガの言葉に、少女の震えはゆっくりと止まっていく。


「やっとわかってくれた…」


ナルーガは、脱力したようにため息をつく。

そして、ナルーガはまだ慣れていない体を動かして少女に歩み寄る。


「君、名前は?」

「…知らないの?」

「ごめん、よく、知らない…」

「あなた…知らないで誘拐したの!?」

「誘拐?」

「あなた、私の、お父様を、殺して、私を担いでここまで誘拐してきたんじゃないの?」

「…殺す?…この子を誘拐?」


無論、ナルーガは誘拐などやった覚えがない。

ましてや殺人などやる気すら起こらない。


「なんか、すっかり覚えてないみたい」

「ごめん、よく、思い出せないや」

「あなた、私を担いで逃げてる時、ものすごい怖い顔して逃げてたのに、なんか人が変わったみたいね。ずっと困った顔してるし、口調も変わったし」


ナルーガは思った。この子は察しがいい。本当のことを話しても受け入れてもらえるんじゃないか。相談相手がいるのは心強い事である。例え、どんなに幼くてもだ。


「違うんだ。僕、500年前に死んだはずで、そして、気づいたら生きてたし、体格が大人になってるし」

「はぁ?500年前?気づいたら生きてた?…寝言は寝てから言いなさいよ。」

「いや、本当なんだ。本当のこと」

「まぁ、でも、口調も違う…雰囲気も違う…信じなくはないかな。半信半疑ってことで」

「よかったぁ」


ナルーガはため息をつく。


「よかったぁ、じゃないわよ。私はまだ信じてないし、作り話だったらぶっ飛ばしからね」

「は、はい、分かりました」

(この子、幼いのになんて怖いんだろう)

「あなた、私が怖いとか思ってない?」

「い、いえ思ってません!」

(なんて鋭いんだ…)


ナルーガは冷や汗をかく。


ドカァァァァァンッ


突如響いたその音に、ナルーガと幼女は振り向く。

振り向いたのは、背後で音がしたからだ。


「なんなの?さっきの音」

「行ってみよう」


そう言ってナルーガは走って行ってしまう。


「あ、ちょっと!待ちなさいよ!」


それを、幼女は追いかけた。


☆☆☆


スバルside二回目キターーーって言ってる場合ではない。


俺は、今、このガチムチ怪物と戦闘中だ。

はっきり言って、自分が生き残れるかどうかは厳しい。相手が優勢だ。


相手は、ガチムチの割には早く動き、パンチも強力。で、俺は、剣術を駆使して戦ってるけど、現在左手をやられている。

幸い、右利きだ。


しかし、次に手か足をやられたらおしまいだ。まともに戦えなくなり、結果死ぬ。

いま、相手の攻撃を全て紙一重で交わしている。

かわさなければならないんだ。あのパンチを食らったらひとたまりもない。


となると、俺の勝率は、まず、ない。

とんでもなく絶望的である。俺もまだまだ戦闘術が未熟だ。鍛えねばならないな。

しかし、そんな呑気なこと言ってられない。死んでは鍛えるとかどうとかは元も子もないのだ。


勝率がないなら、この場に生き残るために必要なことはただ一つ。


逃げること。


では、いつ、逃げるのか。

はっきり言ってこいつにはスキが一つもないし、戦闘を辞めて強引に逃げても、こいつは足が速いので捕まってご臨終だ。

やはり、助かるためには多少の犠牲は必要のようだ。

そこで俺は手段を3つ考える。


ひとつ、召喚獣に任せて逃げる。

ふたつ、召喚獣に爆発系の魔法をかけてもらい相打ち。

みっつ、サクラによる増援が来るのを信じて戦い続ける。


一つ目だが、こんな緊迫した雰囲気だからだろうか。

なんとも下劣なことを考えてしまったものだ。自分が情けなく感じる。


だが、こちらにとっては不利になる。

こんな強いやつに、俺の持ってる召喚獣が叶うかどうかは分からない。

いや、俺の持ってる召喚獣の器量では全滅だ。断言できる。


そうなってしまっては、俺は召喚獣の命を守りきれなかったとして、俺の体が破裂へと近づく事となる。

それに、できればそんなことはしたくはない。

保留。


二つ目は、捨て身の作戦だ。

イフリートの魔力が残っていればだが、周辺を巻き込んで大爆発する極大な魔法を唱えてもらい、怪物とともに魔法をくらう。

この魔法は、パワーをため終わるまでの時間がとても長いので、スキがありすぎる。ので、俺がこいつの足止めをする。


死ぬかもしれないが、死なないことを信じてやるしかないのだ。



しかし、まだ、死ぬことを躊躇っている俺がいる。

死ぬんじゃないか。

生き残れないんじゃないか。

もし相手の力が想像以上で、俺だけが死んだら無意味じゃないか。

あまりにもリスクが大きい。

まあ、まだ三つ目もあるので一応保留。


三つ目だが、これが一番都合のいい展開なんだろう。増援でも来てくれれば、一番安全に助かることができる。

しかし、待ち続けるというのは一体どのくらいだ?

一時間?遅い。

三十分?遅い。

十五分?まだまだ遅い。

体力的に、あと二分だ。二分でこないときつい。

……保留。


このことから、この3つの手段をまとめると……


一つ目。危険度最大値5とすると4。

成功率は50%くらい。

二つ目。危険度5。成功率70%

三つ目。危険度2。成功率20%


さて、この中から選ばなければならない。

どれだ?……どれだ!


剣と拳が混じり合い、つばぜり合いが生じる。

そこで俺の意識は一旦現実に戻ってくる。


「グォォォォォッッ!!!」

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」


俺は再び意識を頭の中に戻す。


…………………………クソ。


きまらねぇ。きまらねぇ。くそったれ。都合が悪い。なんでこんなことになった。


『………ッ!早く決めろッ!』


クソ、なんでこんな時に思い出すんだ。あんなこと、もうとっくに忘れたはずなのに……


『………ッ!このせ……す……るの………まえだ………だ…』


頭が痛くなりやがる。


俺は、いつだって、決断できない愚か者だ。


だから俺は、あの頃の記憶を思い出さないために、名前を捨てたんじゃないか。


俺はまだ、………なのかよ……。


「クソが死ねぇぇぇっ!」


その時、頭に鈍い衝撃が走った。

気づいたら俺は、鼻血を出しながら宙を舞っており、そのまま壁に叩きつけられていた。


殴られた。

と気づいたのは、うっすらと見える視界の中で、怪物が左手を前に突き出していたからだった。


鼻の骨が折れた。

言い忘れていましたが、スバルがなぜ剣術をつかえるのかは、話の中で明らかになります

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