十二話 殺害犯捜索 前編
私、やってしまいました。
なんか、お風呂上がり、身体を拭いているときに、スバルが入ってきて、私は裸をみ、見られてしまった。
それで、何故か知らないけど、剣を振り回していたら、スバルの横っ腹に、刺さっちゃって、今現在スバルは絶賛生死の境目を彷徨い中です。
って、そんな呑気に言ってるばあいじゃねぇんだよ!いや言ってないか……いやそこじゃなくて!
スバルさんが死んでしまって、私は殺人犯として囚われ、一生牢獄の中なんて嫌だよ!?一回は覚悟したけど。
あぁー。まじどうすっぺ。
これさ、どうすっぺな。
……私ってこんなキャラだったっけ?
「サクラ!何やってるナビ!早く治療しないと!」
「はっ!そうだった!」
ナビーちゃんの大声で私は目が覚めた。
治療治療治療…。これ以上スカートを千切ったらスカートじゃ無くなってしまう。包帯として使うのは無理そうだ。
くそ!副職業を医者にしとけば良かった!まずい!本当に死んじゃうよぉ〜。ウワァ〜。
「サクラ。なに泣いてんだ?」
突然、目の前でムクって起き上がったものが見えたので、目を移すと、なんとスバルだった。
……………え?なんで?
主人○補正とか?
「ふぅー。こんなときのために、きあいのタスk…じゃなくて身体に魔法をかけてもらってたんだ。」
「え?いつ?」
「村にいた時な、教会に行ってきたんだ。そこで、〈絶対生命〉っていう、生命が危機に晒された時、少しずつ回復して、完全まで回復させるっていう魔法をかけておいたんだ。だから大丈夫。」
ふう。なんだよ。ものすごくヒヤヒヤしたじゃない。
「もう、スバルったら!そういうことは先に言ってよね!」
(パチン!ぐえっ!どさっ!)
私は言った。
……返答がない。
見ると、スバルは仰向けで倒れていて、顔に赤い手形があった。私のと同じくらいの。
………ちょ?スバル?
え、待って、ヤバイ。ヤバイぞ。
スバルーーーーー!
☆☆☆
翌日の早朝。
私達は、城の門前に来ていた。
今日はいよいよ殺人犯を捜索する日だ。
文字通り、殺人犯なので、生命に関わる大事な事なので、ここからは気を引き締めないといけない。
門前に集まったのは約30人程度の冒険者達だ。その中に、私たちも入っている。
ダッダッダッダッダッ……。
門の方から、兵が鎧の音をジャラジャラ鳴らしながら、美しい行進で来た。
うわ。多いなぁ。これだけで探せば多分すぐ見つかるだろうなぁ。
「ぜんたーい…なまれ!」
「いづぬ、いづぬ。」
「まちがえた…。止まれ!」
いやいや、ちょっとまってーちょっとまってーおにぃさぁーん。ラッス…
「なまれ」と「止まれ」をどうやったら間違えるんだよ。それに従う兵士さんもすげぇな!真面目か!
「それでは!この350人の兵のうち50人は私、ナルーガ城総合兵長、ダツノが受け持ちます!冒険者様達は、15班作って、一班20人の兵を連れて行ってください!」
私は安心した。一人で兵を受け持つ訳ではないらしい。こんないろんな意味で未熟な私に任されたら、その班が破滅しかねない。
班を受け持つ人数は自由だが、ちゃんと、15班、合わせなければならない。
私は、一発では合わないかなと思ったが、ちゃんと合ったので、冒険者達の協力意欲はあるらしい。
そして、言うまでもないが、私はスバルと同じ班だ。
私とスバル、二人で班を受け持つ。
と言っても、ほとんどスバルが仕切ってくれると思う。
いわば私も兵みたいなものだ。
「別れましたか?それでは、出発!」
ダツノ兵長が先頭に立ち、兵達が続く。
また、兵達は美しい行進を見せる。
多くの兵たちの後ろで、冒険者達も跡を続いた。
☆☆☆
王都の門を出て、冒険者達は、北、南、西、東、あらゆる方向へと拡散した。
それで、私達は情報を手に入れるため、村の情報屋を回る事にした。
ナビーちゃんの奨めで、ここから一番近い、「ルルンバ村」に行くことにした。
ルルンバ村は、小さめの村だという。
道中、スライムなどが寄ってきたが、特に苦戦することもなく、倒していった。
正直言ってしまえば、スライムなんての蚊のようなものだ。うざったいが、いとも簡単に殺せる。
そして、しばらく歩いて、ルルンバ村へとたどり着いた。
私達が入るなり、村人達は、地面に膝をつき、両手を上げ、身体を前に倒す。別に、情報屋に寄るためだけなので、そんな事必要ないが、見てると面白いので別に良かった。
スバルは、情報屋に、話を聞いたが、どうやら有益な情報は得られなかったらしい。
そのまま、次の村も、その次の村も、有益な情報が得られなかった。
しかし、6回目の村で、やっと耳寄りな情報が得られた。
その村は、王都からかなり離れている村だった。
情報屋によると、赤い血がついた甲冑を着た人が、白い服を着た美女を抱えて、ダンジョンの中へ入っていったのだという。
普通の冒険者が、甲冑を着るとは思えないので、王都の兵だと考えられる。
美女でもなんでもいいが、人を抱えてダンジョンの中へ入っていくのは、あまりにも不自然である。
こんな情報をもらったからには、そのダンジョンに行って、確かめなくてはならない。
私達はダンジョンへ行くことにした。
ダンジョンは、『赤と青の地底洞窟』
という名前のダンジョンらしい。
この村をぬけ、東へ進む。
ダンジョンに行くためには、まず、森に行かねばならなかった。その森をぬけたところにそのダンジョンがあるらしい。
冒険者ギルドが定めた攻略難度は7。
私が足手まといにならないか心配だ。
攻略難度が高ければ高いほど、出現するモンスターも手強くなってくるため、戦闘経験が未熟な私は敵いっこないかもしれない。
でも、スバルがいれば、なんとかなるだろう。
なるべく死なないように気をつけよう。
考えているうちに、今まで高い草ばかりで先が見えなかった森から、急に開けた場所に出た。
そこにはダンジョンの入り口らしき大穴が、奥まで続いていた。
見る限り、中は暗そうだ。
ダンジョンをより安全に探索するためには、明かりが必要だ。
ところが兵士たちは、歩兵なのか、剣と盾と槍しかもっていない。
魔法を使えそうな兵士はいないようだ。
仕方がないから、暗い道のまま行くことにした。
入る前にスバルが言った。
「さあて!これから探索する訳だが、気を引き締めて行けよ!」
『おーーー!!!』
スバルの激励で、兵士達は一斉に拳を天に突き上げ、大声をあげる。
威勢のいい兵士達で心強いと思う。
そして、スバルは入り口の方へ向き、暗闇へ消えていく。
私もあとを続いた。
☆☆☆
甲冑を着た兵士は、ダンジョンの最深部の部屋で、自分のしたことに後悔していた。
王の暗殺には成功したが、王女の誘拐はリスクが伴った。
透明のまま、王女を担いで逃げると、王女が浮きながら移動しているように見えてしまう。
そのため、あまりにも不自然に感じる人がいるだろう。
だから、王都を出てから、すぐ透明化を解いて、ここまで走ってきた。
なるべく急いだつもりだったが、誰かに見られてしまった可能性が大いにある。
そして、ナルーガの兵が、聞き込みをして、ここを突き止められたら、もう兵士には勝ち目はなかった。
今更だが、兵士はなぜ王女を誘拐したのか、後悔していた。
王を殺すだけでもよかったのだが…。
「あああぁぁぁぁっ!くそがぁぁっ!」
兵士は壁を思い切り蹴った。
辺りに鈍い音が響いた。
兵士は振り向く。
すると、さっきまでそこにはなにもなかったのだが、なんと部屋の中央に黒い宝箱らしき物があった。
「ん?なんだこれは。」
兵士は、宝箱に近づき、開けた。
鍵はかかっていなかった。
中に入っていたのは、赤紫色の大刀のようなもの…だが、太刀よりは少し短い。
武器らしいが、兵士はこんな武器は初めて見た。
兵士は、自然と武器に手を伸ばした。
兵士は呼ばれているような気がしたのだ。
さあ、俺を手に取れ。
俺を解放しろ。
お前に力を与えてやる。
頭に声が直接響いてくる。
力?………力…。
力が欲しい。
なんでもねじ伏せられるような…
なんでも支配できるような…
俺にはそんな力が欲しい…。
いいぞ。くれてやる。
さあ、手を伸ばせ。
俺を手に取れ。
さすれば、お前に力を与えよう!
兵士が武器を握った。
その瞬間、赤紫のオーラが、兵士の身体を巡った。
突如、押しつぶされるような激痛が走った。
「ぐ…ギ…っアァァァァァ!」
兵士はあまりの痛みに断末魔をあげる。
また頭に声が響いてきた。
耐えろ。耐えろ。もう少しだ。
もう少しで、この力は、
お前の者だ!
オーラが拡散し、辺りに赤紫の何かが拡散する。
その時、兵士は兵士ではなくなっていた。
甲冑は弾け飛び、上半身を完全に露出。
筋肉が異常なほどに膨れ上がり、背中からは皮膚を突き破り、血が飛び散り、黒い翼が生えてきた。
目は、瞳が無くなり、赤く光っている。
宝箱に入っていた刀は、兵士を悪魔に変貌させ、戦闘能力を拡大させた。
この刀は…ナルーガによって封印されたドラゴン討伐時の刀。
妖刀 龍滅
その刃は、龍を一刀両断したと言われている。
誤字等、ありましたら、報告お願いします。
この回をもちまして、執筆活動を、一時休ませていただきます。(テストorz)
次回、番外編を入れる予定です。




