十一話 戦闘を終えて……
設定を変更しました。(土属性を新たに追加しました。)
スバルが、ゴブリンの剥ぎ取りを終えて、魔法陣にしまうと、私達は王都への帰還を開始する。
道中で、私のサポーターが話しかけてきた。
『お見事でした。初めての戦闘にしてはなかなかいい立ち回りでしたよ。』
『そ、そうかなぁ?』
私はちょっと照れる。
『では、これにてサクラ様の属性が解放されました!』
『えっ、本当に!?』
今、すごい感激したのによく声に出さなかったなと思う。
ていうか無表情で本当に!?って思っちゃったよ。
『はい、本当です。それでは!その属性を発表したいと思います!』
ワクワク……。(無表情)
『発表します!無属性です!』
……………は?
はい?ちょっと待ってください。言葉になってないじゃないですか?
『だから無属性ですって』
うわ。読み取られた。
こいつ地味にやだ。
『あ、そういえば、まだ属性について話してませんでしたね』
うん。私もその属性について聞こうというのを忘れてた。これは、お互い様だ。
ということデーー。
マリー先生の属性講座〜!
『出席をとります。サクラさん!」
『はい!』
『以上です!』
わーい家庭教師……いや、ここは脳内だから脳内教師か。
『それでは、属性について解説しまーす。みんなー教科書、24ページを開いてくださーい』
『はーい!』
何故か手に教科書を持っていた。分厚いやつ。
言われた通り24ページを開く。
『では、サクラさん!一行目から読み上げてくださーい。』
『はーい!……えーっと……ここで皆さんにビックなお知らせ! なんと! ジャパ○ットたかたから、新たな商品を発売! その名も! ラクラク収納魔法陣!』
『あ…まちがえました!25ページです。』
ズコッ。
気を取り直して私は25ページを開く。
読み上げる。
「属性というのは、剣や棍棒など、物理攻撃系の武器から解放される特殊能力のことです。属性を解放することを属性解放と言います。
属性を解放するためには、何回か武器で敵や物体を攻撃します。
属性には種類があります。
火を操る火属性。水を操る水属性。
自然を操る自然属性。
電気を操る雷属性。
大地を操る土属性。
特殊な力を持つ無属性です。』
『はい、ありがとう!そしてサクラさん!あなたが無属性だということです!』
『先生!特殊な力って何ですか?』
『それは戦闘を積み重ねていくうちにわかるでしょう!今回の授業はここまでです!』
え?ちょっと!…どういうことだよ…。
「……クラ………サクラ……」
あ、いけない。完全に脳内授業に没頭してた。現実に戻らないと…。
「……キャッ!」
現実に戻ったら、スバルの顔が目の前にあった。本当に目の前。目と鼻の先。
私は顔が少し熱くなっていくのを感じた。
「サクラ。どうしたんだ?立って目開けたまま寝るなんて器用だな。死んだ魚みたいだったぞ。」
「あ、うん。ごめん。」
死んだ魚…。
白目?うわ恥ずかしい。
「さて、さっさと行くぞ。日が暮れちまう。」
「うん。分かった。」
上を見上げると空がオレンジ色に染まっていた。
私達は王都へと歩みを進めた。
☆☆☆
王都に入って早々、ギルドへと向かった。
スバルは、クエストカウンターに、受注証明書とゴブリンの遺品を出す。
「終わったぜ。」
「ひぃ、ふぅ、みぃ、……はい!確認致しました!それでは報酬をお受け取りください!」
受付嬢が小さな袋をカウンター台に置く。ジャラ、という音がした。
私は500エルが入った袋を受け取る。
人生最初のクエスト達成だ。
「それでは、またのお越しをお待ちしております!」
後ろ姿を受付嬢に見せて、私達はギルドを出た。
「今日は、ここの宿屋に泊まって行こう。」
「うん、分かった。」
ということになったので、宿屋へ向かおうとすると、ナビーちゃんがまた勝手に魔法陣から出てきた。
他の召喚獣は勝手に出れないのに、何故ナビーちゃんだけは出れるのだろう。
「部屋は二つとった方がいいナビ。」
「何故だ?」
「決まってるナビ!スバルがサクラを襲う(意味深)からナビ!」
「お前ぇに言われたきゃねぇよ!第一、俺がそんなやつに見えるか?サクラ?」
「ふぇっ?…み、見えないけど…でも、襲ってきても…それはそれで…うれs…」
「ああ!しまった!スバル!僕の見えないところでマインドコントロールしやがったな!?許さないナビ!」
「してねぇよ!もう俺をロリコン呼ばわりするのはやめれ!」
…私、すごい爆弾発言したんだけど、スルーされてよかった。
それで、ナビーちゃんのすすめで、結局個室部屋になった。
途中で食堂を見つけたので夕食はあとでそこで食べることにした。
なんだかんだあってやっと宿屋に着いた。日はすっかり沈んでいて、辺りは薄暗くなっていた。
宿屋のドアを開けると、カウンターにヨボヨボだが元気そうなお婆さんが座っていた。
スバルはそのお婆さんにチェックインをお願いする。
「ふた部屋お願いします。」
「…フタヘイヤお願いします?フタヘイヤ狩りたいならギルドへ行ってくれ。ここは宿屋だよ。」
フタヘイヤなんて魔物いるんだ…。じゃなくて!このお婆さん、わざとかって思うほど耳が悪いようだ。
「違います。ふた部屋です。」
「今いまーすフタヘイヤでーす?わー!追っ払ってきてーフタヘイヤに王都が荒らされるー!」
「いや、だから!フタヘイヤ…チッ…。
ふた部屋お願いします!」
聞き間違いがうつってしまったみたい。
「今舌打ちしたね。覚悟はできてんの?」
お婆さんが怒った。めちゃくちゃ殺気はなってくる。筋肉もりもりになってるし。こぇー。このお婆さん世界滅しちゃうんじゃないの?
「ふ た へ や お ね が い し ま す」
「ああはいはい。ふた部屋ね。ほれ、鍵。」
「はぁ〜……どうも。」
やっと通じた…。めんどくさいおばあさんだなぁ。
私達は鍵を受け取り、番号が書かれた部屋へと行き、別れて中へ入った。
部屋はなかなか広かった。
大きなベッドが一台。窓付き。
そして、お風呂もあるらしい。
私は真っ先にお風呂場へ向かう。
風呂場は石でできていて、浴槽にお湯が溜まっている。
よし、疲れたし、真っ先に入ろう。ゴブリンの血もかかったままだったし。
そう思い、私は服を脱ぎ始めた。
☆☆☆
皆さん。こんにちは。スバルです。
何故、俺がいきなり語り手になったのかは知りません。
それで、俺はベッドに仰向けで寝ていた。
ベッドはそんなに硬くなくて、布団が二枚付いている。
結構お上品なベッドである。
天井を見ながら、ナビどらに話しかけた。
「なあ、ナビどら。お前ってイドナに来て何年経つんだ?」
イドナとは、この世界のことだ。
「忘れちまったナビ。もっと前は現世の事、はっきり覚えていたけど、時間がたつにつれ、記憶からスーッと抜けていくんだナビ。」
「……俺もいずれ忘れちまうのかな。」
「?なんか言ったナビ?」
「いや、なにも。」
サクラが居ないから言えるけど、ナビどらごんはもともとチキュウという星の人間だったらしい。
ある日、本屋でエロ本を立ち読みしていた時、奇妙な感覚が漂ってきて、本屋のビルの二階に上がったら、成人向け雑誌の撮影スタジオで、カメラマンがモデルを襲おうとしていたらしい。
ナビどらごんが止めに入ったところ、カメラマンが隠し持っていたサバイバルナイフで脇腹を刺されてしまい、なんとかモデルの女は助けたが、その後、ナビどらごんは死んでしまった。
そして、気がついたらイドナにいて、身体が小さなドラゴンになっていたらしい。不思議な話だ。
「もともとの僕の名前も、忘れちまったナビ。」
「……気の毒だな。」
少し鬱になる。
俺は5年前にナビどらごんと出会った。
そして、俺の案内人として、冒険してくれた。ナビどらごんには本当に感謝しているのだ。
「さて、そろそろ飯食い行くか。」
ベッドから起き上がり、ドアを開けて、サクラの部屋へと向かう。
つっても、向かいなんだけど、
「サクラーそろそろ…」
ドアを開けて部屋を見渡す。
サクラはベッドの前にいた。が…
どうやら俺はやってしまったらしい。
ラッキースケベとやらを。
サクラは全裸になっていた。
濡れていたので風呂上がりなのだろう。タオルで身体を拭いている最中だった。
サクラは俺をキョトンとした目で見て、口をポカーンと開けている。
まぁ、体拭いてるところに俺が入ってきたらそうなるわな。
ということで、俺はやっちまった。
クソ!急に俺が語り手になったなと思ったらこういう事だったのか!
おのれ作者め!彼女いないからって俺にこんなことさせやがって!
サクラは身体が赤くなり、付いていた水滴がジュワッと一気に蒸発した。
あれ、生玉子乗っけたら目玉焼きできんじゃね?
サクラは胸を隠してしゃがんだ。
「み、見た?」
うん、見ました。見ました。目に焼き付いてる。
多分、一生忘れられないだろう。
質問されたとは言え、真実を語るわけにはいかない。だってさ、見ました!はっきりと!とか言ったらぶった斬られそうだも。ということで、俺は嘘をついた。
「す、少し…」
「ああ、見ちゃったんだ。」
「すいやせんでしたーっ!」
なんかサクラがすっげぇ怖い目してたから腰を90度に曲げて謝り、自分の部屋に音速で戻ろうと思った。が…
サクラは胸を片手で隠して、剣で攻撃してきた。ちょ、落ち着けー!
え?ということは…。死ぬの?俺?
サクラは顔を赤くしたまま、怒ったような表情…じゃすまないなこれは…。
「このっ…。…このっ!」
剣が長いので、俺は紙一重でかわしていく。やばい、このままじゃあいつか攻撃があたっちまう。
ていうかそもそもこれわざとじゃないし!話せば分かってくれる!と思う…。
説得するしかない!
「サクラ!すまん!わざとじゃないんだ!」
「うっさい!」
ビュン!ビュン!
あぶねぇ!まずい、話聞いてくれなグサッい。本当に死んじまう!
もっと大きな声で!
「s…」
「あ!スバル!」
サクラは俺の声を遮っていった。
サクラの顔を見ていると、眉毛が逆のへの字からへの字になっちゃって、顔の色が赤から青に……。
あれ?…意識が朦朧としてきた……。
だんだんと見えていた景色が薄れてきて、急に立っていられなくなって…。
あれ?…おっかしいなぁ。
なんか変なものたべたっ…け……。
…ああ。おはなばたけがみえるなぁ。
はねのついたきんぱつのあたまにわっかがついているおとこのこがてまねきしているのがみえるぞぉ。
まって〜。おれも〜。
誤字等、ありましたら報告していただけると幸いです。
注:スバルは死んでません(笑)




