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Forever Local」  作者: こうた
第六章「終わりの始まり」

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第49話「判決」

九月。



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空は高くなり始めていた。



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夏の終わり。



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秋の気配。



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しかしタカシには季節など関係なかった。



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人生を左右する日が来ていた。



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判決の日。



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地方裁判所。



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午前九時。



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法廷。



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静かだった。



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傍聴席。



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裁判官。



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検察官。



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弁護人。



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そしてタカシ。



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痩せていた。



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逮捕から数か月。



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顔つきも変わった。



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昔の威勢はない。



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借金に追われ、


違法な仕事へ手を出し、


逮捕された男。



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それが今の自分だった。



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法廷の空気は重い。



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裁判長が判決文を読み上げる。



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内容は頭に入らない。



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言葉が遠い。



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耳には届いている。



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しかし理解が追いつかない。



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ただ一つだけ。



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最後の部分だけは鮮明だった。



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「被告人を懲役三年六か月に処する」



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懲役。



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実刑。



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その言葉が胸に落ちる。



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執行猶予ではない。



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家に帰れない。



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自由ではない。



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刑務所へ行く。



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現実だった。



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裁判終了。



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法廷を出る。



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手続き。



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移送。



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全てが機械的に進む。



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感情が追いつかない。



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移送車の中。



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窓の外を見る。



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街。



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人。



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車。



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当たり前の日常。



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もうしばらく触れられない。



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数年。



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長い。



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とても長い。



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その時。



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ふと思い出す。



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高校時代。



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河原。



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花火。



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仲間たち。



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笑い声。



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未来は無限だった。



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少なくとも、


そう信じていた。



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なぜこうなったのか。



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答えは分かっている。



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一度だけ。



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その一度が積み重なった。



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最初の借金。



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最初の嘘。



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最初の違法行為。



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どこかで止まれた。



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だが止まらなかった。



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結果が今だった。



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その頃。



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病院。



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マサルはリハビリを続けていた。



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義足の練習。



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転ぶ。



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立つ。



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また転ぶ。



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それでも続ける。



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以前のマサルなら投げ出していた。



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だが今は違う。



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失ったからこそ、


残ったものの大切さを知った。



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生きていること。



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歩ける可能性。



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未来。



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まだ少しだけ残っていた。



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一方、


シンジはさらに悪化していた。



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休職。



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通院。



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依存症治療。



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しかし酒は完全には止まらない。



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隠れて飲む。



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嘘をつく。



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典型的な依存症の状態だった。



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そしてユウスケ。



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婚活を休み、


身体づくりを始めていた。



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十代の頃以来の運動。



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苦しい。



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だが続ける。



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アキラも勉強を続けていた。



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少しずつ。



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本当に少しずつ。



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人生を変えようとしている。



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河合町ソールズ。



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全員が同じ方向へ進んでいたわけではない。



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壊れる者。



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立ち直ろうとする者。



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諦める者。



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足掻く者。



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それぞれだった。



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そして秋。



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シンジの身体が限界を迎え始める。



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長年の飲酒。



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依存。



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栄養失調。



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肝機能障害。



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それらが一気に表面化する。



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彼はまだ三十代だった。



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しかし身体は、


それ以上に老いていた。



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そして河合町ソールズは、


再び仲間の命の危機に直面する。



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第50話「肝臓」へ続く。

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