表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Forever Local」  作者: こうた
第四章「転落」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/82

第32話「深夜の配送」

裁判から数日後。



---


十月。



---


夜風が冷たくなり始めていた。



---



---


タカシは車を運転していた。



---



---


時刻は午前一時。



---



---


高速道路。



---



---


助手席には黒いスポーツバッグ。



---



---


トランクには段ボール箱。



---



---


今回の仕事は今までと違った。



---



---


荷物運びだけではない。



---



---


指定された場所まで運ぶ。



---



---


受取人へ直接渡す。



---



---


それが条件だった。



---



---


報酬は十万円。



---



---


以前の倍だった。



---



---


高すぎる。



---



---


だから危険だった。



---



---


だがタカシは引き受けた。



---



---


借金はまだ残っている。



---



---


事故以来、


精神的にも追い込まれていた。



---



---


普通の判断ができなくなっている。



---



---


「今回だけ。」



---



---


またその言葉だった。



---



---


人は何度も同じ言い訳をする。



---



---


そして気付けば戻れなくなる。



---



---


サービスエリア。



---



---


タカシは車を止める。



---



---


トイレへ向かう。



---



---


鏡を見る。



---



---


疲れた顔。



---



---


目の下のクマ。



---



---


三十六歳。



---



---


昔ならこんな人生になるとは思わなかった。



---



---


高校時代。



---



---


河合町ソールズ。



---



---


毎日遊んでいた。



---



---


未来はずっと続くと思っていた。



---



---


しかし今は違う。



---



---


借金。



---



---


違法かもしれない仕事。



---



---


友人の死亡事故。



---



---


人生は想像もしなかった場所へ来ていた。



---



---


スマホが鳴る。



---



---


佐伯だった。



---



---


「順調か?」



---



---


「はい」



---



---


「余計なこと考えるな」



---



---


「荷物は開けるな」



---



---


短い通話。



---



---


しかしその言葉が不気味だった。



---



---


荷物を開けるな。



---



---


普通の荷物なら、


そんなことは言わない。



---



---


タカシは車へ戻る。



---



---


トランクを見る。



---



---


段ボール。



---



---


ただの箱。



---



---


しかし中身は知らない。



---



---


知りたくない。



---



---


知れば戻れなくなる気がした。



---



---


いや、


既に戻れない場所まで来ているのかもしれない。



---



---


再び車を走らせる。



---



---


目的地は繁華街の裏路地。



---



---


午前二時。



---



---


指定場所に到着する。



---



---


街灯は少ない。



---



---


人通りもほとんどない。



---



---


そこに数人の男が立っていた。



---



---


黒い服。



---



---


無表情。



---



---


タカシは荷物を渡す。



---



---


男は中身を確認する。



---



---


無言。



---



---


そして封筒を渡してくる。



---



---


報酬だった。



---



---


十万円。



---



---


現金。



---



---


税金も引かれない。



---



---


記録も残らない。



---



---


異常だった。



---



---


だが金は本物だった。



---



---


帰り道。



---



---


タカシは封筒を握る。



---



---


嬉しいはずだった。



---



---


しかし違う。



---



---


胸の奥が重い。



---



---


不安。



---



---


恐怖。



---



---


罪悪感。



---



---


色々な感情が混ざっている。



---



---


その時、


ふとバックミラーを見る。



---



---


後ろに一台の車。



---



---


偶然かもしれない。



---



---


だが気になる。



---



---


曲がる。



---



---


後ろも曲がる。



---



---


心臓が強く鳴る。



---



---


さらに曲がる。



---



---


後ろも曲がる。



---



---


汗が出る。



---



---


数分後。



---



---


後続車は別の道へ消えた。



---



---


ただの偶然だった。



---



---


しかしタカシの手は震えていた。



---



---


危険な世界に足を踏み入れた。



---



---


その実感が初めて湧いた。



---



---


一方その頃。



---



---


マサルは病院から帰宅していた。



---



---


検査結果はさらに悪化。



---



---


医師から強く警告された。



---



---


「このままでは合併症が進みます」



---



---


「本当に危険です」



---



---


しかし帰宅途中、


コンビニで酒を買ってしまう。



---



---


やめたい。



---



---


でもやめられない。



---



---


それはアルコール依存の入口だった。



---



---


そしてナオト。



---



---


資格試験の日が近づいていた。



---



---


彼だけが、


少しずつ別の道を歩き始めている。



---



---


だが河合町ソールズ全体で見れば、


崩壊はさらに加速していた。



---



---


事故で一人が落ちた。



---



---


次は借金。



---



---


次は病気。



---



---


そしてこの先、


さらに大きな破滅が待っている。



---



---


第33話「結果発表」へ続く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ