表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Forever Local」  作者: こうた
第三章「崩壊の始まり」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/82

第25話「会社の判断」

葬儀から三日後。



---


月曜日。



---


朝七時三十分。



---


河合町の人々はいつも通り出勤していた。



---


コンビニは開いている。



---


信号も動いている。



---


学校も始まっている。



---


世界は止まらない。



---


誰かの人生が終わっても。



---



---


しかし、


ケンジの会社では違った。



---



---


朝礼前。



---


事務所には重い空気が流れていた。



---



---


誰も大きな声を出さない。



---



---


誰も雑談しない。



---



---


全員が事故のことを知っていた。



---



---


ニュース。



---


ネット記事。



---


地域の噂。



---



---


全部広がっている。



---



---


ケンジは十年以上勤めていた。



---



---


仕事は決して優秀ではない。



---



---


しかし長く在籍していた。



---



---


同僚も知っている。



---



---


酒好きなことも。



---



---


飲み会が多いことも。



---



---


飲酒運転をしていたことも。



---



---


実は知られていた。



---



---


何度も。



---



---


何年も。



---



---


皆見て見ぬふりをしていた。



---



---


「そのうち事故るぞ。」



---



---


冗談みたいに言われたこともある。



---



---


しかし誰も本気では止めなかった。



---



---


そして現実になった。



---



---


会議室。



---



---


管理職が集まる。



---



---


部長。



---


課長。



---


人事担当。



---



---


机の上には新聞記事。



---



---


事故の内容。



---



---


死亡事故。



---



---


飲酒運転。



---



---


実名報道。



---



---


会社名は出ていない。



---



---


しかし時間の問題だった。



---



---


課長がため息をつく。



---



---


「最悪やな……」



---



---


誰も反論しない。



---



---


最悪だった。



---



---


被害者が亡くなっている。



---



---


しかも高校生。



---



---


社会的な印象も極めて悪い。



---



---


人事担当が言う。



---



---


「懲戒解雇になると思います。」



---



---


静かになる。



---



---


当然だった。



---



---


飲酒運転による死亡事故。



---



---


会社が守れる話ではない。



---



---


部長が言う。



---



---


「本人の人生も終わったな。」



---



---


誰も答えない。



---



---


しかし全員そう思っていた。



---



---


一方、


ナオトは自席に座っていた。



---



---


パソコンを見ている。



---



---


だが仕事は頭に入らない。



---



---


隣の席では、


若い上司が指示を出している。



---



---


三十歳。



---



---


ナオトより五歳下。



---



---


資格も持っている。



---



---


昇進もしている。



---



---


昔なら腹が立った。



---



---


しかし今は違う。



---



---


羨ましかった。



---



---


そして後悔した。



---



---


勉強していれば。



---



---


資格を取っていれば。



---



---


酒ばかり飲まなければ。



---



---


そういう思いが積み重なる。



---



---


昼休み。



---



---


社員食堂。



---



---


事故の話題になっていた。



---



---


「飲酒運転らしいな。」



---



---


「高校生亡くなったんやろ。」



---



---


「人生終わりやな。」



---



---


その言葉が胸に刺さる。



---



---


人生終わり。



---



---


本当にそうだった。



---



---


ケンジだけではない。



---



---


河合町ソールズ全体が、


どこか終わり始めていた。



---



---


夜。



---



---


グループLINE。



---



---


久しぶりに通知が入る。



---



---


アキラだった。



---



---


> みんな大丈夫か





---



---


既読が付く。



---



---


ナオト。



---


シンジ。



---


ユウスケ。



---


タカシ。



---


マサル。



---



---


全員見ている。



---



---


しかし誰も返事を書かない。



---



---


何を書けばいいのか分からない。



---



---


大丈夫ではない。



---



---


だが、


それを認める言葉も見つからない。



---



---


数分後。



---



---


タカシが短く送る。



---



---


> 無理や





---



---


それだけだった。



---



---


しかし全員の本音だった。



---



---


事故からまだ一週間。



---



---


だが世界は変わってしまった。



---



---


そして変化はまだ続く。



---



---


ケンジは職を失う。



---



---


社会的信用も失う。



---



---


被害者家族との賠償問題も始まる。



---



---


そして残された河合町ソールズも、


少しずつ崩れ始める。



---



---


彼らはまだ知らない。



---



---


次に壊れるのが、


借金を抱えたタカシだということを。



---



---


第26話「消費者金融」へ続く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ