ep15
食事が終わり、それぞれ自室に戻ることとなった。
とりあえず、ティアは俺の部屋で寝ることになり何かあればベルで呼ぶことで方針が決まった。
ただ、ティアの事情を聴くためにまずは父の書斎へ二人で来るようにと言われているためティアの手を握りゆっくりと案内する。
コンコン、と書斎をノックし「アレンです。」というと中から入るように返事が返ってくる。
扉を開けると、中にはアレクシスとミシリアが居た。
アレクシスもミシリアも顔がとても険しい。これはお説教の続きかな、そんな風に思っているとミシリアが口を開いた。
「ティアちゃん、わざわざごめんなさいね。でも確認したいことがあるから少しだけ話を聞かせてもらえるかしら。」
優しい声で語りかけたミシリアに対し、明らかに怯えるティア。
「ごめんなさい、ごめんなさい・・・」
そんなティアを見て、ミシリアは思わず立ち上がりティアに駆け寄る。
椅子が軋む音がした瞬間、ティアの肩が跳ねた。
「ひっ・・・!!」
とっさに頭を抱えるティアを見て、ミシリアはその手の上からゆっくりとなでる。
「い、いや、やだ・・・もう残さないので・・・もう痛いのはいや・・・」
「怒ってないわ、大丈夫。ここにあなたを責める人なんていない。痛い事する人なんていないわ。大丈夫、大丈夫。」
そういって、優しくなでながら抱きしめる。
最初はおびえて拒絶していたティアも、だんだんと落ち着いたのか震えが収まっていく。
「ティアちゃん、ここに来る前にどんなことをされたのかは知らないけれど私たちはあなたの味方よ。大丈夫だから、ゆっくり私たちに何があったか教えてくれる?」
落ち着いたのか、なされるがままだったティアがこくりと頷く。
ティアの口から言葉が紡がれるたび、アレクシスの表情が険しくなり関節が軋むほど拳を握りしめた。
ミシリアの表情は優しいままで、ティアの言葉が詰まるたびにやさしく撫でる。
内容は壮絶なものだった。
双子の姉と連れていかれた後、別の部屋に通され持ち物や衣服はすべて没収された。
代わりに腕や足に硬いものを着けられた。
ご飯や水は腐ったようなものがたまに与えられ、吐いたり食べなかったりするとひたすら暴行を加えられていたという。
暴行の内容まで話そうとするティアをミシリアは静止し、そこまででいいと優しく諭す。
その後は、部屋に戻された。
ティアは相変わらず俺の腕をつかみ、離さない。
部屋に戻って、メアリーに頼んでティアを着替えさせてもらう。
夜も更けてきた為寝るためにベッドに向かうが、ティアは離れたがらないので一緒に寝ることにした。
疲れていたのか、ベッドに入るなり寝てしまったようだ。
「どこ・・・お姉ちゃん・・・」
独り言を言ったティアのその言葉で理解した。
昼間に夢で出てきた声はティアなのだと。
ふと、部屋のすみに目を向ける。
ヤタがいるベッドを見てみるが、ヤタもこちらをじっと見ていた。
「おまえ、なんでこの子のところに俺を連れて行ったんだ?」
ヤタは返事をしない。代わりに、大きなあくびをして眠りについた。
「まぁ、いいか。」
独り言のように呟き、俺もゆっくりと眠りについた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
アレンとティアを部屋に戻した後、アレクシスとミシリアは二人で話をしていた。
「ティアちゃんについてだけど、いくつか分かったことがあるわ。
まず、あの子の手足の黒ずみは奴隷用の楔のせいね。体内の魔力回路と閉ざすためにつけられたから付いたものよ。間違いない。」
「つまり、教会はあの子を奴隷にしようとしていた?いや、違うか。双子ってことは・・・足かせか!」
「わたしもそう思うわ。きっと、ティアちゃんのお姉ちゃん側が祝福の子で、その子を育てるために殺そうとでもしたのかしら。」
「くそっ、あのジジイども気でも狂ったか!明日にでも直接詰めてやる・・・!」
怒り心頭なアレクシスをなだめるミシリア。
「落ち着いて。教会も何か裏があるのだろうけれど、今教会に話をしたらティアちゃんに何があるか分からないわ。とりあえず、うちで匿ってしばらく様子を見ましょう。あの子の魔力、少し気になる部分もあるし。」
「気になる部分?」
「えぇ、魔力回路が傷ついてるように感じたのよ。でも傷ついてる割には内包魔力がキレイだったのよ。」
「つまり、魔法適正が高いと・・・」
「だから、治療ついでにあの子が身を守れるように私が魔法の面倒を見ようかと思うの。」
ミシリアは決意に満ちた顔だ。
アレクシスは知っている。ミシリアが決めたときは何を言ってもなんだかんだ丸め込まれてしまう。
勇者も妻には口で勝てないのだ。
「なら、俺はティアを守れるようにアレンをしっかり鍛えないとな。今後教会が絡んでくると考えると、生半可じゃいけない。それに、魔族関係も少しきな臭い部分がある。」
一呼吸おいて、アレクシスが続ける。
「あいつの体内からたまに魔族と似た気配を感じるときがある。この間絡んできたやつといい、もしかしたら知らないうちに何かされた可能性もある。だから、あいつを勇者の器レベルまでしっかり強くしないといけない。」
「魔族の気配・・・?それって、前にあった闇魔術の暴発と関係あるのかしら?」
「ないとは言い切れない。ただ、嫌な予感だけはずっとあるんだ。だから、あいつが魔族に利用されないためにも、きっちり育てていくつもりだ。」
方針は決まった。
ティアがアレンから離れたがらないところから、しばらく二人はそばに居させること等細かいことを話していくのであった。
なんだかんだ、続きが思い浮かぶ時期が来ましたね。
次回は少しかかるかもです。気長にお待ちください。
続きが気になる、更新されたらまた見たい!
そう思ってもらえるように気ままに書き綴っていきます。
是非ブックマークと評価をお願いします!
誤字脱字報告、感想等もお待ちしております。
気軽にお送りください!




