27「史樹が叶えた願い」
27「史樹が叶えた願い」
突然、晴季さんの「頭に飾られた花」と同じ物が
「明人のビアンコ」と「透矢のインヴェルノ」にも飾られる
・・・スノードロップの花飾りだ・・・
『御2人も、将来よかったら私に御用命ください
どちらか御1人亡くなられた時に、必要になると思いますので
私の事は御忘れなきよう、何なら・・・
今からの御迎えでも、かまいませんよ?』
想定外の事で、画面の前の3人は言葉を失った
「そんな御迎えは、欲しくない」と、思ったのと
無視され過ぎて・・・他人事感覚になっていたのと
側頭部に花を飾られたのと、で・・・
『さて私は、この「御客様待合室」での仕事が
残っておりますので、そろそろ退散させていただきます』
モルスは一瞬で「黒色のサンタクロースの衣装」に着替え
宝箱から降りて・・・宝箱を開くと、クリスマスソングが流れ始め
画面に「重要」と書かれたテロップが流れ始める。
*「クリスマス12月25日夜明けまで延長のお知らせ」*
ゲーム存続を望む方々から有志で集められた寄付金が
多数送られてきました、ありがとうございます。
しかしながら当ゲームのサーバーはレンタルサーバー故に
次の利用業者が決まっており、存続はできません
そこで、サーバー会社との協議の末
ギリギリまでの期間延長をさせて頂く事と相成りました。
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『これは少し早い、私からのクリスマスプレゼントです
どうぞ、御別れまでの時をお楽しみください』と
モルスは、トナカイのコスプレをした3個の首を持つ
ケルベロスの様な犬が牽く「犬橇」へと、飛び乗り・・・
ゲーム画面の空へと飛び立ち、遠くへ消えて行った。
その光景を眺めながら
『男キャラで、頭に花飾りとかアリエナイんですけどぉ~』と
明人が呟くと・・・
『大丈夫!御客様候補の方にしか、それは見えませんから』
と、モルスの声が響く様に聞こえて来た
その場にモルスの姿がなくても、モルスには関係なのかもしれない
そう言うモルスとのやり取りしている内に・・・
何処からともなく、エスタシオンとグリースが姿を現す。
『あぁ~!こんな所にいた!訊いて聴いて聞いて!!
私がエスタシオンと一緒にいる理由思い出したよぉ~!』
・・・グリースの破天荒な態度の登場に・・・
『私のママがね!「史樹」のママに・・・
とぉ~っても、意地悪していたからなのでしたぁ~!
それと、私ってば親同士の諍い事に同級生が参戦して
「史樹」を虐めてるなんて知らなくてさぁ~』
・・・画面の前の3人は・・・
『嫌になっちゃうよね
自分が巻き込まれたくなくて、見て見ぬ振りしてたのに
ママの所為で、私が・・・
「史樹」虐めてる側の人間になってただなんて』
・・・何を言えば良いのか分からず、何も言えなかった・・・
「巻き込まれたくなくて」とか
「見て見ぬ振り」とか・・・「酷いな」とは、思ったが
その、グリースの後ろでは・・・
史樹であったモノ、エスタシオンが微笑みを浮かべている
若干、不憫にも思えるのだが・・・
本人が納得して一緒にいるのならそれでいいのだろう。
『エスタシオン・・・願いはもう、叶ったのか?』
明人の言葉にエスタシオンは・・・
『叶っている最中ですよ』満面の笑みを湛え
『グリースが、僕と一緒の存在になってくれた御蔭で
僕が願った以上に、願いが叶っているんです』と、言う
「願い」の正体に気付いたかもしれない透矢が質問する
『それって・・・呪いの類じゃなくて、本当に願いなのか?』
エスタシオンは不思議そうに首を傾げた。
『僕の願いは、僕の身の回りの人への「因果応報」
目には目を、歯には歯を・・・
好意には、ちゃんと好意が帰る様に願ったんですよ?
他人を心配したり、思い遣ったりした人間には
それ相応の好意が帰って来るべきだと僕は思うんです。』
史樹が抱えた闇で芽吹き、花を咲かせた狂気の華は
晴季さんに幸運を呼び込んだのかもしれない・・・
が、しかし・・・
『だけど・・・虐めた奴は、虐められればいい
もしくは、それ相応の罰が降り注げばいいと思いませんか?』
彼は、人に諸刃の剣を握らせていた
エスタシオン・・・史樹は、「自分の母親」が
その「諸刃の剣」で「復讐した事」を知っているのだろうか?
それを訊こうとした透矢を・・・明人が止める
『透矢、口出しするのは止そう・・・
晴季さんが約束した事だけど、俺等もやるべきじゃない
もう「史樹と悠流」は、やり直せないんだから』
明人の言葉に透矢は折れた。
『そうだ、課金アイテム無料解放されてるから
それでパラメーターの底上げして
まだ、遊びに行けてないフィールドまで遊びに行こう』
明人の言葉に、エスタシオンとグリースが大喜びし
『だな、久々に遊ぶか』と、透矢もやる気になった。
晴季さんが・・・
『私はレベルに余裕があるからコスプレしようかしら』
と、言うと・・・グリースが過剰反応する
『私もコスプレしたい!』
今日は結局、無料開放の課金アイテムでの
コスプレパーティーになってしまい
フィールドに降りる事はできなくなってしまった。
平日の間の昼間・・・
明人と透矢が学校に行き、バイトに行き
晴季さんが、仕事に行ってる間に
エスタシオンとグリースはレベル上げをしながら
いける所まで2人で行って遊ぶ
夜は・・・パーティーを組んで、5人で
遊び尽していないフィールドに降り立ち
ゲームのメインストーリーを進め・・・
先にメインを進めていたメンバーの、今まで気付かなかった
サブストーリーに盛り上がっては笑い合った
土日祝日を迎えると・・・
前日の晩から画面の前の誰かが寝落ちするまで遊び
時間の許す限りいつものメンバーで楽しむ事ができた。
明人と透矢、晴季さんは・・・そんな空気を壊す事ができず
その中で、エスタシオンが語った言葉の中に見付けた
「エスタシオンの真意」と・・・
悠流であった「グリースの現状」に目を瞑る
グリースが・・・
「他のプレーヤー」に『声を掛けたのに無視された』と
帰って来て『もう一回、行って来る』と向かった時
『頑張れ』と、優しく笑顔で見送るエスタシオンは
・・・小さく呟く・・・
『無視される孤独と不快感を味わえば良い』と・・・
・・・END・・・
設定が「ホラー」なので・・・「ホラー的」にはここで御仕舞✿
2013・12/4(火曜日)に投稿する「Epilogue」は・・・
ちょっと「ホラー」では、ありません
ちょこっとだけでも、「幸せであれば良いな♫」と、言う
御話で締めくくられていますので・・・
御好きな方は、『読んで頂けると良いな』なんて、思っています。




