24「真実の行方」
24「真実の行方」
店のソファーで眠る晴季さんと、明人の母親を余所に
店の片付けは、夕方から翌朝まで掛かった
日の出の時間を過ぎて、カフェスペースの開店時間が近づき
明人の祖父がモーニングセット用のパンを抱え現れる
店内にふんわり美味しそうな焼き立てパンの香りと
明人の父親が準備するコーヒーの芳しい香りが広がり始めた。
明人の祖父のスマホから朝のニュース番組が流れる始める
スマホからは・・・この場所、同じスマホで見た
「トラックに轢かれた子供」のニュースを伝えている
そのニュースでは・・・
その子供が昨日、亡くなった事を重ねて伝えていた。
前には気付かなかった事が見えて来る
聴き覚えのある名前、現場の風景には見た事があった
エスタシオン・・・いや、史樹の家の近くだ
亡くなった子供の顔写真には、見覚えのある顔
明人は、晴季さんを起こしに行き
透矢は、自分のスマホでそのニュースを検索した。
事故の日付に悪寒が走る
それは・・・悠流がネット世界の住人になった日の日付
その日の直前、前日の夜更け
エスタシオンにモルスを紹介された
『私達寄りのダンジョンをクリアして来てください』
と、言われ・・・何の約束も無く
モルスに、クリアすればどうなるのか確認を取る事無く
その日に、モルスが指定したダンジョンへ入り
夜中の内にクリアしたのは、不味かったかもしれない
「悠流がトラックに轢かれた」のは、その数時間後
その後、噂通りにエスタシオンは・・・
ゲームの世界に姿を見せなくなったが、史樹に
「この世」で、出会えてはいない・・・そう、会えていない
噂は所詮、噂・・・
噂は真実の全て伝えていないのは明白だった。
明人と透矢、晴季さんは・・・
エスタシオンに手を貸した事を今更、後悔する
だが「ちゃんと聴いておけばよかった」と、後悔しても遅い
「エスタシオンの願った事」が、とても気になった。
時間を置いて繰返される朝のニュースを再確認し
『今日、夕方に御葬式だと思うの・・・2人には時間ある?』
明人と透矢が頷くと晴季さんは『後で連絡するわ』と立ち上り
明人の祖父と、明人の両親に挨拶して、店を出て行った。
放課後、ウジニョーロで待ち合わせ
何故か、明人の父と仲の良い「さっちゃん」
ウジニョーロの「男性常連客」が運転する車で葬儀場に向かう
トラックに轢かれ、意識不明のまま亡くなった
・・・「悠流の御葬式」・・・
晴季さんに連れられ、明人と透矢は参列する
生前の元気な悠流の映像を流す小さな会場
そこへ、姿を露わしたのは史樹の母親「節花さん」だった。
節花さんは会場のプロジェクターに近付き操作をする
映像を切り替え、流される画像
それは、悠流が史樹の母親に送った・・・
書き掛けの遺書とも読めるメール画像だった
・・・どよめく会場・・・
激怒し映像を停止させようとする悠流の母親
それに対し、狂気を感じる程に抵抗し
逆に悠流の母親を羽交い絞めにする節花さんの姿が恐ろしかった。
『これを見ろ!お前は見るべきだ!』
節花さんの叫びが、形相が・・・
節花さんを排除し、事態を収拾しようとした者だけでなく
その場にいる全員の動きを止める
悠流のメール画像の後に続いて、流れる動画・・・
それは、悠流のメールの内容に出てきた
史樹が自分の携帯で撮影していたと言う映像
それは、いつか見たネットの動画の中で傷だらけだった史樹が
携帯を固定する所から映っていた
画面から出ていく史樹、続いてチャイムの音
呼び出され、連れ出されたらしい悠流の母親
・・・史樹と悠流の母親の2人が映る動画・・・
初めの方の会話は小さく聞き取れなかったが
会話が白熱してきたのか
次第に会話の内容が聞き取れる様になっていく
『アナタが引っ越してくる前に父は死んでいるんです
「僕の父を知らないアナタ」が何故
僕の父の事を知っている様に話すんですか?』
史樹の訴えが・・・悠流の母親に対する質問が、虚しく響く
『何でそんな気を使わなきゃいけないの?ストレス溜るわ!』
・・・ざわつく会場・・・
悠流の死が、ニュースになっていたが為に
明らかに面識の無さそうな、大人や子供達が集まっていた
悠流の母親の返しに、苦痛の表情を浮かべながら
留まらない史樹の言葉
『フリーマーケットにアナタが指定した商品を
母に無理やり出品させたのに何故
アナタは「ゴミを出品した」だなんて母を罵ったのですか?』
一緒になって強要し、罵った他の母親達が
動画の中の史樹の訴えにたじろぎ・・・
会場から逃げ出そうとするのを、節花さんは見逃さなかった
『まて、何処へ行く当事者ども』と、睨み怒鳴りつけ
『逃がさない、お前達の事は絶対に許さない』
大人しそうに見えた外見から発せられる「憎悪」
節花さんが、当事者1人1人の名を呼んだのと・・・
『言われる方が悪いんでしょ?馬鹿じゃないの?
言われたくなければ、しなければ良かったじゅない』
映像の中の悠流の母親がそう言うのは、ほぼ同時だった
当事者と面識のない、何も知らなかった人達が
野次馬根性で「当事者」を見付けだそうと視線を走らせる。
何故、自分の親が非難されているのか理解できる子供は・・・
母親を見捨て、巻き込まれないようにその場をこっそり抜け出し
理解できない子供、史樹を虐めていた子供が・・・
小馬鹿にしたように、騒ぎを起こした張本人を非難した
例外として・・・自分の親が気に入らなかったらしき子供達が
『もっとやれ』と、場を煽る
知りたがりの「ゴシップに飢えた獣達」が
「美味しい餌」に群がり・・・会場は異常な熱気に包まれていた。
ストレス解消で、人様の家庭を妄想して喋る女と・・・
自由参加の筈のフリマに『これを出しなさい』って
所持品を指定して出品を強要した挙句
『こんなゴミをフリマに出すなんて』と、罵った女・・・
リアルに存在するから、人間観察は止められません
「一時的な不快感」と引き換えに
一生残る「ネタ」として使わせて頂きました・・・
彼女等に出会えた「幸運」をココに書き留めます。




