16「知らない事、怖い事?知らなくて良い事?」
16「知らない事、怖い事?知らなくて良い事?」
なんだかんだで、当初の方針
『安全第一って事で、宝箱を開けに行く寄り道はしない方向で行こう』
って、言うのが無かった事になったダンジョン攻略
ダンジョン内の全ての敵を、無駄に倒して回った結果
制限時間ギリギリでのクリアとなってしまっている
後、10分足らずでAM3時になってしまう
ダンジョンのボスを倒す事で出現した、ボスを倒した特典の「宝箱」
それを「1人1個」を各自で開け
画面上に表示された中身の情報を皆で確認し・・・
同じく、ダンジョンの「ボスを倒す事」で出現した「出口」
外へと通じる「ワープゾーン」へと向かったのだが・・・
『うそっ!どうしよう出られない!!』エスタシオンが焦り出す
画面の向こうの明人と透矢・・・晴季さんも・・・
ワープゾーン付近で、出られない現状に焦りを感じる。
『これで、ダンジョン攻略失敗とかになったりするのかな?』
明人の疑問に、誰も答える事は出来なかった
『普段のダンジョンだと、どうなんだろう?
ボス倒した後でタイムアップになったら、どうなるんだろう?』
その事に関しては、誰も知らなかった
『後、2~3分だし・・・「しりとり」でもしてタイムアップを
待ってみようか?』
『明人、お前と一緒にいると時々・・・
真剣に「どうしよう」って悩んだ自分が嫌になるよ・・・』
と、透矢・・・
『僕も「どうしよう」って色々、怖い事を考えちゃってたんですけど
何か・・・救われた気がします』
と、エスタシオン・・・
『ホントそうよね・・・真剣に悩んでた自分のが馬鹿みたい』
晴季さんまでもが、「明人の言動」に「ある意味」で「癒され」
明人提案の「しりとり」が開始される
そして何故か白熱する「しりとり」・・・
時間を忘れ、画面の向こうの3人とエスタシオンは楽しんでいた。
ふと気が付くと、画面の端っこに「モルス」の姿が・・・
一人ぼっちで体育座りして、こちらをじぃ~っと眺めている
それに最初に気が付いたのは明人だった
『あれ?・・・モルスさん?』
明人の言葉に『え?』と、声を上げ・・・全員がモルスを探す
モルスが居たのは、飾りの様に配置された樽の横だった。
『どうしてこちらに?
ここには、1人しか入れないんじゃなかったんですか?』
晴季さんがモルスに声をかけると
モルスは生き返ったかの如く、元気になり・・・
『初夏の朝に聞こえる小鳥のさえずりの様に美しい
貴女の声が聞きたくて・・・
蝶が花を求める様に、貴女の元へやって来てしまいました』
と、答えになってない答えを晴季さんに返した。
『本来なら、この階以外の生き残った敵のデータを使って
出られる場所まで誘導するつもりだったのですが
まさか、全ての敵を殲滅させてしまっているとは思いませんでした
御蔭で、私自ら来る事になって時間がかかってしまいました』
モルスはそう、独白するように言い
『貴女の様な可憐で美しい花を
一時的にでもこんな場所に閉じ込める事になってしまって・・・
私は、こんな場所に貴女を向かわせてしまった事を
地獄に落ちるかの様に後悔しています。』
と・・・晴季さんに向けての言葉を紡ぎ出す
・・・出口への案内の道中も・・・
モルスは晴季さんへの口説き文句は留まる事は無かった。
『モルスさん・・・あなたの目的は何ですか?
ここを俺等にクリアさせた理由には何かあるんですか?』
透矢の質問に・・・嫌な顔しただけで、モルスは答えない
但し・・・晴季さんが同じ質問をすると、モルスは答えてくれる
『これは、エスタシオンが欲しい花を手に入れる為の
儀式みたいなモノだったのですよ』
一呼吸置き
『もし私にも、貴女を手に入れる為の儀式が存在するのならば
私は何時、如何なる犠牲をも惜しまず
その試練に命を掛けて立ち向かう事でしょう』
やはり・・・口説き文句は欠かさなかった。
憶測にはなるが、エスタシオンが欲しい花とは・・・
グリースの本体「悠流」の事なのだろう
エスタシオンの取敢えずの目的は・・・
『この世界から脱出「する・しない」の前に
色々誤解があって怒り狂ってる悠流と話がしたい』と、言う事
何をどうして、どうしたら・・・
エスタシオンと悠流が話せるようになるのかは不明だが
画面の向こうの3人は・・・
エスタシオンの願いが叶う事を切に願った。
ダンジョンから出る事ができた頃には
リアルの外は少し明るくなっていた、朝焼け彩る日の出の時間
画面の向こうの3人は、眠る為にログアウトした。
隣の部屋から壁が軽くノックされる
明人はカーテンと窓を開け・・・ベランダに出る
同じ様にして、透矢もベランダへと出てきた
『流石に徹夜でネットゲームするとは思わなかったよな』
『本当にそうだよな・・・ところで、明人・・・
今から焼き魚を食いにこっちに来てくれないか?』
透矢はうんざりした顔で・・・自分の母親が「朝食を準備した」
と、アピールしている事を明人に伝える
明人はそのまま・・・
30㎝程開いたベランダとベランダの隙間を飛び越え
透矢の家へ御邪魔し、朝食をしっかり取って
再び、30㎝程開いたベランダとベランダの隙間を飛び越え
自室の戻る・・・
連休になると、必ず家に帰ってこない両親を持つ明人は
透矢自信が嫌がっているのは知っていても
「高齢出産」で、生まれた「一人っ子」の為
透矢の両親が、「透矢への接し方」が分からず・・・
不器用ながらも透矢との「接点を求めている」姿は
羨ましく思えていた。
透矢は透矢で・・・
「放任」して貰えている明人が羨ましく思えていた
ただ、一方的に何でも与えようとする自分の両親が嫌いだった
「子供扱いしない」で1人の人間として扱って貰っている明人が
羨ましくて仕方がなかった。
互いが互いを羨む2人は・・・今日も2人で
互いが互いを羨んでいる事に気が付かず、互いに互いを羨んでいた。
昔、集合住宅の割合「高い位置」に住んでいた友人が
隣に住む友人宅に行くのに・・・
面倒だからとベランダ経由で行っていました。
私も・・・その方達と遊ぶ時は同じ事をしていましたが
危険なので、やっちゃ駄目ですよ!




